ジューシーで甘い香りと味わいが感じられる桃は、そのまま食べてもスイーツとして食べても美味しい果物です。出荷時期が6月~9月末、最盛期は7月~8月の品種が多く、夏の暑い日にはよく冷やすことでよりその美味しさやジューシーさを味わうことが出来ますが、切ってみたら少し早かった、熟しすぎて上手に切れなかったなんてことも起こりやすいです。せっかく食べるなら1番美味しいタイミングで食べたい桃の食べごろのタイミングや桃の切り方・むき方などについて紹介していきます。
桃の食べごろのタイミング
桃はおしりの方からピンク色に色づき柔らかくなるため、白さや青さが残っているヘタ側の柔らかさと色を見て食べごろかどうかを確認します。非常に繊細な果物である桃は熟して柔らかくなると簡単に傷んでしまうため、出荷の段階ではまだ全体に白さが残っている硬い状態のまま発送されることや店頭に並ぶことが多いです。
タイミングとしては
- 甘い香りがある
- ヘタの周りを触ると柔らかくなっている
- 全体が濃く色づいてきている
- 皮の部分が透き通った感じにみえる
このような変化が見られれば食べごろの合図です。ただし、桃の種類によっては濃く色づかないものもあるため、香りや柔らかさを重視して確認してみて下さい。触って確認する場合には、強く押しすぎるとその部分が傷みやすくなるため軽く触って確かめましょう。また、店頭のものを購入する場合、触って確かめることは避け、産毛が多いものや左右均等な形、香りの強いものを選ぶようにするのがよいです。他の人が触っている可能性が高いものは傷んでいる場合や傷みやすくなっている可能性があるため、気になる人はあえて熟していないものを購入して自宅で追熟させていく方がよいでしょう。
追熟の仕方と冷蔵庫に入れるタイミング
桃がまだ硬く熟していない場合は、常温で保存して追熟していきましょう。常温保存することで柔らかくなり甘みも増していくため、直射日光の当たらない場所でヘタ側を下にして保存します。風通しのよい冷暗所での保存や緩衝材を下に敷くとより傷みにくく追熟させることが出来ます。しかし、繊細で傷みやすいとはいえ、まだ硬いうちに冷蔵庫に入れてしまうと追熟が止まり、甘さも出にくくなるため硬いうちは出来るだけ冷蔵庫に入れるのはおすすめしません。また、冷房や扇風機が当たる場所も冷えて追熟しにくいうえに乾燥もしやすくなるため出来るだけ常温や冷暗所で保存するようにして下さい。
反対に、食べごろを過ぎた桃はその後も熟成が進みます。熟しすぎると今度は傷む一方になってしまうため、完熟した桃は追熟しないように冷蔵庫に入れて早めに食べるのがよいです。完熟した桃が多い場合は、乾燥しないよう新聞紙やラップなどで包みビニール袋に入れておくと1週間ほど保存することが出来ますが、時間が経つごとにどんどん美味しさが落ちていくため、なるべく早めに食べるか皮がついたままの状態でまるごと冷凍保存するのがよいでしょう。
このように、冷えと乾燥に弱い桃は追熟して美味しい状態だとしても、冷蔵庫に長時間入れておくとせっかく出てきた甘さが徐々に失われていくため、桃を冷やしてから食べる場合は、食べる2~3時間前に冷蔵庫に入れておくのがおすすめです。さらに、桃の甘さと香りを最大限に楽しむのであれば、冷蔵庫ではなく洗って産毛を取った桃を氷水に10分程度浸けておくのもおすすめです。甘みが引き立つのは低温、香りが引き立つのは高温と正反対の性質を持っているため、冷蔵庫でしっかり冷やすと香りが少し分かりづらくなります。そのため、氷水で短時間冷やすことで内側までは冷えず甘さも香りも感じられるようになるのです。しっかり浸からない量の氷水で大丈夫ですが、途中でひっくり返すと全体を均等に冷やすことが出来ます。
皮のむき方と切り方
桃は薄い皮をむいて中の種を取り出すことで甘くジューシーな果肉を食べることが出来ますが、タイミングを見逃すと果肉が潰れてしまい上手に切ることが出来ません。せっかくの桃を美味しく食べるためにおすすめの皮のむき方や切り方をいくつか紹介しますね。
基本の切り方
硬すぎず柔らかすぎないベストなタイミングの桃であれば、基本の切り方で綺麗に桃を切ることが出来ます。
1.やさしく水で洗い全体についている産毛を取る
2.桃の割れ目に包丁を入れ、種に沿ってぐるっと1周切れ目を入れる
3.切れ目を中心に両手でひねり2等分する
この時、桃の硬さによっては種をスプーンでくりぬくか手でひねると簡単に取れる場合がありますが、難しい場合はついたまま次の工程に進んでください
4.どちらも切り口を下にして2~4等分する
種ありの方は種にあたるところで切り込みを入れるように等分すれば大丈夫です
5.種なしの方は皮をむき、種ありの方はひっくり返して包丁で種を切り離して皮をむく
種ありは4の工程で切り込みを入れているため、種に沿って軽く包丁を入れていけば簡単に取り外すことが出来ます
基本の切り方の応用
基本の切り方は割れ目に沿って切り込みを入れ2等分する方法になりますが、割れ目に沿って切り込みを入れた後、2等分した桃の間にさらにもう1周切り込みを入れて4等分になるようにしていきます。4等分することでひねった時に種が残る範囲が少なくなるため、種が取り外しやすくなります。ですが、柔らかい桃だとひねることが難しく潰れてしまう可能性があるため、ある程度硬さの残った桃で試してみて下さい。
柔らかくなってしまった桃の場合
柔らかくなってしまった桃は基本のやり方の切り込みを入れた後のひねる工程が出来ず潰れてしまうことがあります。その場合は無理にひねらず、切り込みを入れて1ずつ切り離すことで簡単に切り分けることが出来ます。
1.やさしく水で洗い全体についている産毛を取る
2.桃の割れ目に包丁を入れ、種に沿ってぐるっと1周切れ目を入れる
3.ひねらず、6~8等分サイズのくし形になるよう切り込みを入れる
柔らかくなった桃は切り込みを入れるだけで簡単に取り外すことが出来ます。一気に切り込みを入れるのではなく、1つを切り離したらまた切り込みを入れて切り離す行程を繰り返します。部位によっては種があり切り離しにくいことがありますが、種に沿って包丁を入れるだけで簡単に種も切り離すことが出来ますよ。全部を切り離して皮をむいておしまいです。
この方法、実は柔らかい桃だけでなく硬さのある桃でも使える切り方になります。この方法で切るとたねをくり抜かないためとても綺麗な見た目に切ることが出来、スイーツ作りづくりなど綺麗な仕上げにしたい時にも使えます。
皮だけをむいてまるごと使う場合
用途によっては皮だけをむいて切らずにまるごとの状態で使う場合があります。切り込みを入れて熱湯と氷水に数十秒つける方がよく用いられますが、さらに簡単に皮をむく方法を紹介します。それはつまようじを使う方法です。
桃のおしりのてっぺん辺りにつまようじを実と皮のすき間に横向きになるように通し、そのままつまようじをスライドさせて皮をむいていきます。途中で残った皮は手でむけば大丈夫です。あとはその工程を繰り返していくと簡単に皮をむくことが出来ます。簡単なうえに熱湯や氷水を用意する手間も省けるため、まるごと桃を使う場合はぜひ取り入れてみて下さい。
今回は、夏が旬となる桃の食べごろのタイミングや切り方、追熟の仕方などについて紹介しました。桃の種類にもよりますが、繊細で傷みやすい桃だからこそ美味しく食べられるタイミングを見極めて、暑い夏を乗り切りましょう。