かつおだしの特徴と出汁のとり方、かつお節の種類

 かつお節から取るかつおだしは鰹の香りと強いうま味を感じる代表的な万能だしの1つです。

私たち日本人は日常生活の中で、みそ汁をはじめとした汁物、煮物、つゆを使ったうどん・そばなど和食を食べることが多いと思います。この何気なく食べている和食を作る際に味の決め手になるのがだしです。だしを取るのは面倒と思われがちですが、特に鰹から取るかつおだしは思っているより簡単にだしを取ることが出来ます。

ここではかつおだしの特徴や産地と一緒にだしの取り方も紹介していきます。

かつおだしの特徴

 かつおだしはかつお節を使ってだしを取るため、風味がとても良くうま味も強いです。このかつおだしのうま味はイノシン酸と呼ばれるアミノ酸がかつお節に多く含まれているのが影響しています。他にもかつお節には30種類ものアミノ酸が含まれており、たんぱく質、カルシウム、ビタミンなど多くの栄養素を持ち合わせているため、それがだしにも風味やうま味として表れています。

かつおだしを上手に生かすには、豆腐やわかめなどシンプルな素材のみそ汁や、汁もののだしとして使うことで喧嘩せずバランスを取ってくれます。一番だしは芳醇な香りが特徴で、その香りを活かすため醤油や味噌などを多用する料理には向いていません。二番だしは旨味が強く味噌や醤油を使用する料理にも出汁の旨味が負けず、濃い料理に向いています。

おすすめの料理
一番だし:お吸い物・茶碗蒸し・だし巻き卵・おひたし
二番だし:煮物・うどん・おでん

かつお節の産地と種類

 かつおだしの主原料になるかつお節は鹿児島:枕崎・山川、静岡:沼津の3か所が三大産地と呼ばれ、鹿児島と静岡の2県で生産の約99%を占めています。

普段何気なく使っているかつお節は大きく分けると“荒節”と“枯節/本枯れ節”の2種類に分けられます。さらに、ふわっとした見た目が特徴の薄く削られた“薄切り”や鰹をそのまま削ったような見た目の“厚削り”、”細削り”、”かつお粉”などかつお節の削り方によって特徴や用途も変わってきます。

この荒節と枯節/本枯れ節と呼ばれるかつお節は途中までは同じ製法で作られていますが、最終工程が違うのが大きな特徴です。

荒節
1、鰹の頭や内臓を取り除き切り分ける
2、長時間かけ煮熟させ、汚れや骨を取り除く
3、燻しながら熱と煙によって乾燥させる

この工程によって出来たかつお節は“荒節”と呼ばれ花かつおの原料になります。製造期間は約1か月弱で出来上がり、比較的安価で販売されています。だしを取る用やお浸し・お好み焼きなど料理に直接かけるかつお節はだいたい荒節をうす削りして作られた花かつおやさらに細かく砕いたタイプが多いです。

花かつおで取るだしは、簡単に短時間でだしを取ることができ、一般的に使われることが多いです。香りが良くうま味を感じる黄金色をした上品なだしになるのが特徴です。また、荒節を厚く削った厚削りのかつお節は花かつおより時間をかけて煮だすことで、さらに香りの強い濃いだしを取ることが出来ます。厚削りはだし専用のかつお節として使われることが多いかつお節になります。

枯節/本枯れ節
荒節と同じ3までの工程の後、一度表面を削り安全性のあるカビを吹きかけ定着させます。その後、天日干しとカビ付けを2回以上繰り返して完成させたものを“枯節”と呼びます。

また、天日干しとカビ付けを4回以上繰り返しさらに熟成させたものを“本枯れ節”と呼び、高級品として扱われています。荒節に対して枯節は製造に約3か月、本枯れ節は約6か月かかり、手間暇かかることでうま味も多く上質なかつお節が出来ます。

安全性があり認定されているカビを吹きかけ定着する工程により発酵が行われており、荒節にはないまろやかさやうま味を持ち、琥珀のような澄んだ色の雑味のないだしを取ることが出来ます。発酵して作られる枯節は実はかつお節にはイメージのない発酵食品となっているのです。値段も荒節に比べると高価なため、一般的に使われることより日本料亭や蕎麦屋などで好まれて使われることが多くなります。荒節とはまた違うかつおだしを味わうことが出来る高級なかつお節です。

だしの取り方

簡単なかつおだしの取り方(一番だしの取り方)
1、1リットルのお湯を沸騰させ、沸騰したら火を止める
2、30gの花かつおを入れ1~2分置き、キッチンペーパーなどで濾したら完成
※濾す際に搾るとえぐみや苦みが出るため搾らないのがコツです。
※この方法は花かつおを使用しています。

簡単なかつおつおだしの取り方(二番だしの取り方)
1、1リットルのお湯を沸騰させる
2、一番だしで使用した鰹節をお湯に加え4〜5分煮出す

 花かつおを使用すると簡単に出汁を取ることができます。一番だしと二番だしは料理によって使い分けるとより料理を美味しくすることができます。しかし、二番だしを取るには一番だしを取る必要があり、今回の料理に一番だしは使用しないというときは粗熱を取り冷凍保存することもできます。冷凍保存をするとすこし香りなどが落ちてしまうため、できればできる限り早く使用することをおすすめします。

 かつお節以外にも、 甘みとコクの強いだしが取れる“さば節”や、まろやかでさっぱりしただしの“あじ節”、高知や九州、紀伊半島で獲れる宗田鰹を原料にした“そうだ節”などかつお節以外の節があり、かつお節と一緒にだしを取るとまた違った味わいやうま味を感じることが出来ます。好きなかつお節や削り方、かつお節以外の節をブレンドをして、だしの美味しさと同時に味の深みをぜひ楽しんでみて下さい。