北海道 お土産としても人気のある北海道のグルメ・郷土料理

広大な土地や豊かな海があり、夏場でも冷涼な気候など特有の環境を持っている北海道では魚介類をはじめ、野菜、フルーツ、牛乳・乳製品など非常に多くの美味しい特産物があります。さらに、その特産物を使ったグルメやお菓子、加工品も多く、美味しさと種類の多さから各地で行われている物産展でも人気の高さが伺えます。そんな中でも今回は、北海道では定番で人気が高くお土産としても購入することが出来る北海道のご当地グルメや郷土料理について紹介していきます。

スープカレー

子供から大人まで年齢問わずに好まれているカレーですが、北海道には一般的なルーを使うカレーとは少し違い、大きめの野菜や肉がゴロっと入ったインパクトの強いスープ状のカレーがあります。北海道では“スープカレー”という名前で認知されており、長時間煮込まず短時間で作るため、ルーを使うカレーよりスパイスの香りや辛さを強く感じるのも特徴です。2000年代のスープカレーブームや北海道出身の著名人がメディアで紹介したことをきっかけに全国でも認知されるようになり、現在は札幌市を中心に北海道はもちろんのこと、東京や大阪などの主要都市以外でもスープカレーを提供しているお店が多数あります。

スープカレーの発祥としては1970年代初旬に札幌市にあるアジャンタという喫茶店で販売していた薬膳カリィが原形とされています。旅をするのが好きだった当時の店主がインドで出会ったインドカレーを改良し、鶏肉のダシをベースにスパイスと漢方を加えた薬膳カレーのスープを作りました。はじめは自分で飲むために作った具なしのスープでしたが、お客さんの要望で販売を始め、せっかくならダシで取っていた骨付きの鶏肉を入れて欲しいという声から具材を入れる形に変わっていったそうです。その後、別のお店で同種のカレーを“スープカレー”という商品名で取り扱うようになったことでその名前が浸透し、少しずつ親しまれるようになっていきました。販売当初、名前や見た目からは味の薄いカレーでは?という印象が強かったそうですが、実際に食べると多種類のスパイスや漢方、鶏肉、野菜から生まれるコクや旨みの強い奥深い味わいと辛さがイメージを覆しそのギャップから口コミで人気が広まっていきます。札幌では次第にスープカレーを取り扱うお店が増えていったため、一般のカレーを“ルーカレー”と呼び区別しているのも特徴的です。

基本的には鶏・野菜・スパイスなどを使って作った辛口のスープに大きめの具材を添え、別々で出されるご飯をカレーにくぐらせて食べるのが一般的ですが、これといった明確な定義がないことから、ダシに使う素材やトッピングの具材、カレーの辛さ、煮込み具合などがお店によって違うのもスープカレーの特徴になります。そのため、お店を選ぶ際には人気店だけでなく見た目やベースに何を使っているのかなど自分の好みから選ぶのも楽しいですよ。まだまだ全国的な知名度は低めではありますが、根強い人気があることからレトルトとして販売している商品も多いため、お土産として身近な人に勧めたり近くにスープカレーを食べられるお店がない場合にはレトルトを活用してみるのもおすすめです。

ジンギスカン

ジンギスカンは羊肉と野菜を中央が盛り上がった専用のジンギスカン鍋で一緒に焼いて食べる北海道の郷土料理です。使われる羊肉は“ラム”と呼ばれる生後1年未満の子羊の肉と“マトン”と呼ばれる生後2年以上の成羊の肉が使われており、柔らかくクセが少ないラムに対して多少クセは感じますがしっかりとした羊肉の脂やコク・旨みを味わえるのがマトンの特徴になります。地域によってタレに漬け込んでおいた羊肉を焼くタイプ(味付けジンギスカン)と焼いてからタレにつけるタイプ(生ジンギスカン)の2種類の食べ方があり、家庭やお店によって違いはありますがどちらも醤油ベースのタレを使うことが一般的です。

羊肉には独特の臭みがあるため、食べ慣れていない方や北海道以外の地域によってはクセを強く感じジンギスカンに苦手意識があるという方も多いです。東京など道外のお店ではクセが少ないラムを提供しているお店も多くありますが、北海道ではクセや噛み応えのあるマトンを使う方が一般的になります。郷土料理であるほどジンギスカンが身近にある北海道は道内で羊を飼養しており、鮮度がよく品質の高い羊肉を仕入れることが出来るため、マトンでもクセが少なくラムのような柔らかい羊肉を食べることが出来るのです。こういった理由から北海道のジンギスカンはクセが少なく美味しいという声が多いのことに繋がっています。反対に、食べ慣れている道民にとってラムのクセの少なさはジンギスカンとして物足りなく感じることが多いため、北海道ではラムよりマトンの方が親しまれていることが多いそうです。

北海道以外ではあまり食べる習慣がない羊肉ですが、もともとは北海道でも食用としてではなく羊毛の生産のために明治時代に羊を輸入したのがはじめと言われています。しかし、その後第一次世界大戦の影響で羊毛の輸入が止まり、軍服や毛布の調達をするために綿羊の国内生産を目指したことで次第に羊の頭数が増えていきました。頭数が増え輸入などに頼らなくてもよくなるほど普及すると、北海道では綿羊から食用としての飼育へと変わり、クセの強い羊肉の消費を促すためにいくつかあった調理法の中から根付いたのがジンギスカンだったとされています。

こういった長い年月をかけて行ってきた研究や改良の結果が北海道では浸透し、郷土料理として広い範囲でジンギスカンが親しまれているのです。北海道の有名なジンギスカン店では、店舗で食べられるだけでなく真空パックにした味付けされている羊肉を販売しているところも多いため、家庭料理として自宅でジンギスカンを味わうのもまた違った美味しさを味わうことが出来るかもしれません。

ラーメン

全国的に人気の高いラーメンは、北海道でもご当地グルメの1つとして非常に人気があります。北海道では特に味噌ラーメンのイメージが強いですが、味噌だけでなく醤油・塩といった王道のラーメンをはじめ他県では見られない個性的な種類などさまざまなラーメンを楽しめるのも北海道ラーメンの特徴です。

有名なラーメンとしては“旭川の醤油ラーメン・函館の塩ラーメン・札幌の味噌ラーメン”の人気が高く、3つを合わせて「北海道三大ラーメン」として地元の方を中心に観光客や全国のラーメン好きの間で注目を浴びています。中でも全国的に1番知名度が高いのが札幌の味噌ラーメンであり、豚骨や鶏ガラを使った濃厚な味噌スープに太めのちぢれ麺とたっぷりの野菜が乗っているのが特徴です。北海道をイメージしやすいコーンやバターが乗った味噌バターコーンラーメンも観光客には人気が高く、味噌ラーメンに使われるラードやバターは寒さの厳しい北海道においてラーメンを冷めにくくさせる働きを持っています。

全国では醤油や塩が主流だった昭和中期頃にお客さんの要望で誕生したのが味噌ラーメンです。今までになかった味わいや特徴を持つ味噌ラーメンは、瞬く間に人気が出て全国的にも有名になりました。当時は珍しかったことや味わったことのない美味しさが話題となり、こういった理由から北海道の代表的なラーメンに味噌ラーメンが浮かびやすくなっているのです。しかし、味噌ラーメンが生まれる前から親しまれていた旨みの強いスープとストレート細麺が特徴の函館の塩ラーメンや豚骨と魚介、ラードを使った濃厚な旭川の醤油ラーメンの人気も強く、広い北海道だからこその土地や環境、風習の違いがそれぞれのラーメンの特徴の違いに繋がっています。この三大ラーメンはまったく異なる特徴を持つため、北海道のラーメン店では醤油・塩・味噌の3種類の味を取り扱っているお店も多く、北海道ならではの特徴にもなっています。また、三大ラーメンの食べ比べが出来るよう3種類のラーメンがセットになっている商品も多く販売しており、ギフトやお土産用として購入する方も多いです。他にも北海道には地域によって、旭川ラーメンとはまた違ったあっさり醤油の釧路ラーメンやカレースープを使った室蘭カレーラーメン、昆布の旨みがたっぷり詰まった利尻ラーメンなど個性的なラーメンが多くあるため、三大ラーメンと一緒に他のラーメンにも注目してみて下さい。

ザンギ

北海道物産展のどこの会場でも毎回行列が出来るほど人気があるのが“ザンギ”です。ザンギとは北海道の郷土料理の1つであり、簡単に言うと醤油で下味をつけた鶏のから揚げのことになります。北海道では家庭料理として1年を通して食べられており、濃いめの味つけはご飯やビールとの相性がとてもよく子供から大人まで人気のある料理です。見た目もから揚げのようですが、実は一般的なから揚げとは少し違ったポイントがザンギにはあります。

ポイントとしては下味の有無・衣のつけ方・使う部位です。ザンギは醤油や酒、ニンニク、生姜などを使って濃いめの下味をしっかりつけておきますが、から揚げは下味をつける定義がないため北海道では味の濃い薄いでザンギかから揚げかを区別することが多いそうです。衣のつけ方も違い、揚げる前の鶏肉に小麦粉や片栗粉をまぶしてから揚げるから揚げに対して、ザンギは下味をつけた鶏肉に直接卵と小麦粉を加えて混ぜ合わせてから揚げます。しっかり衣が絡むため厚めのザクっとした衣とジューシーな鶏肉が特徴です。また、ザンギもから揚げも基本的には鶏のもも肉や胸肉を使うことが多いですが、ザンギはもともとぶつ切りにした鶏肉を使っていたため骨付きの部位や手羽先なども使います。さらに鶏肉だけでなくタコやイカといった魚介類やジンギスカンなど何を使ってもザンギと呼ぶのが大きな違いとなっています。

ザンギの発祥地としては北海道釧路市が有力であることや中国語で鶏のから揚げを意味する「炸鶏(ザーチ)」がザンギの名前の由来として有力であるとされていますが、発祥地や名前の由来にはいくつか諸説があり、実際のところ詳しいことは分かっていないとされ謎に包まれたままなのです。そんな有力な発祥地の1つである釧路では、ザンギに甘辛いタレをかけて食べる“ザンタレ”という進化系のメニューがあります。お店によってタレの味わいが違い、提供方法も事前にタレをかけた状態で出されるパターンと別添えのタレにつけるパターンの違いがみられます。現在はその人気の高さから釧路以外の飲食店でもザンギとザンタレを提供するお店が増えているため、ザンギは食べたことがあるという方はぜひザンタレの美味しさも味わってみて下さい。北海道以外でも物産展や北海道の郷土料理が食べられる飲食店・居酒屋でザンギを食べることが出来るため、見かけた際には出来立て熱々のザンギを食べてみて下さいね。

いかめし

駅弁でも有名な“いかめし”も北海道の郷土料理です。足の部分であるゲソや内臓を取り出したイカにもち米やうるち米、タケノコ、山菜などの具材を詰めて爪楊枝で固定し、醤油や砂糖と一緒にじっくり炊き込んで作られています。柔らかく煮こまれたイカとイカの旨みを吸ったお米がとても美味しく、駅弁フェアや北海道物産展では定番の商品でもあります。北海道の中でもスルメイカ漁が盛んな函館や渡島(おしま)地方の郷土料理として有名であり、実は家庭でも簡単に作ることが出来るため場所によってはおやつの代わりや酒のつまみとしてもよく食べられています。

そんないかめしは今から80年以上も前の第二次世界大戦中、米不足が深刻化した時代に誕生しました。その当時、小ぶりで商品にならないスルメイカが大量に水揚げされ、現地の駅弁を販売していた業者が少しでもお米を節約しながら満腹感が得られないかとイカにお米を詰めてみたのが始まりです。イカの食べ応えもプラスされることで腹持ちがとてもよく、手軽に食べられることから当時の陸軍兵にも人気の食べ物となっていました。戦後、東京で行われた全国駅弁大会で大好評だったことがきっかけでいかめしの人気と知名度は一気に上がり、現在に至るまで変わらず愛されています。駅弁だけでなく、真空パックになっているものやスーパーで調理されたいかめしを販売していることも多く、北海道内外問わず比較的手に入れやすいのもいかめしのよいポイントです。また、近年ではいかめしを具材に使ったいかめしコロッケの人気も高く、物産展ではいかめしと並んで購入していく方が多く見られます。実はこのいかめしコロッケ、もともと物産展用の商品として開発されたため、北海道では食べられないのです。現在は多少変更しているかもしれませんが、物産展でいかめしコロッケに出会った際にはぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。