寒い冬は体を温めるために鍋が食べたくなる季節です。いろいろな種類の鍋がありますが、水炊きや湯豆腐などシンプルな鍋に欠かせないのがポン酢ですよね。ですが、みなさんが普段使っているポン酢は実はポン酢しょうゆや味付ポン酢と呼ばれるものになり、ポン酢とは別物になります。今回はこのポン酢とポン酢醤油の違いについてご紹介していきます。
ポン酢とポン酢しょうゆの違い
もともと“ポン酢”とは柑橘類の果汁にお酢を混ぜ加工された調味料です。そのため、見ためも柑橘系の黄色やオレンジ色をしており、さっぱりした味わいが特徴となっています。使い方はドレッシングや鍋や湯豆腐、焼き魚など素材の味を楽しむ料理との相性が良く、柑橘系の香りや味わいを直接感じることが出来ます。
このポン酢に醤油や出汁などを加えて風味豊かに調整した調味料が“ポン酢しょうゆ”となります。普段家庭でも使うことが多く、ポン酢=茶色いイメージが強いものはこちらのポン酢しょうゆの方ではないでしょうか。ポン酢とポン酢しょうゆの大きな違いは醤油や出汁などが含まれているかいないかになります。
ポン酢しょうゆは醤油や出汁が加わっているため、ポン酢より使いがってがよく、様々な料理につけたりかけたりすることが出来ます。また、お酢が入っている分、醤油よりあっさりとした味付をすることも出来るため家庭に常備しておくと便利な調味料でもあります。
ポン酢のポンはオランダ語
ポン酢は江戸時代に長崎で生まれた調味料です。そのため、ポン酢という言葉もデコポンのポンなどを使った日本語かと思いがちですが、実はオランダ語が語源と言われています。オランダ語で「ポンス(pons)」は柑橘類の搾り汁または柑橘の果汁を使ったお酒の名称のことを言い、そこに酢を当てた造語となっているようです。
さらにポンスをたどると、インドのヒンディー語で“5つ”を表すフルーツパンチにも使われている「パンチ」という言葉が語源となっています。パンチとはインドで蒸留酒・砂糖・レモン果汁・水・香辛料または紅茶の5つを使ったカクテルで、これがオランダに伝わりポンスへ、さらにこのカクテルがポンスとして日本へ伝わったのが始まりと言われています。後に日本では、ポンスに使われる柑橘類の果汁のことだけを表すようになり、果汁と酢を合わせた調味料をポン酢という造語で呼ぶようになったそうです。
ポン酢しょうゆが多い理由と地方による扱う数の違い
ではなぜ、ポン酢=ポン酢しょうゆのイメージが強くなってしまったのか?というと、圧倒的に商品数が違うからです。現在スーパーなど直接お店で確認出来る“醤油などが含まれていないポン酢”はミツカンから出ているぽん酢という商品くらいで、ネットなどを探してもポン酢単体を作っているメーカーはとても少ないです。
反対に醤油などが含まれたポン酢しょうゆは各大手メーカーには1商品以上扱っているところが多く、ヤマサやミツカンは5商品以上扱っています。さらに全国にある地方メーカーまで含めると数えきれないほどあり、スーパーにも数種類のポン酢しょうゆが並んでいることが多く、商品名にも「ポン酢・ぽん酢・ぽんず」という文字が使われているからです。
ポン酢しょうゆの種類も柑橘類を数種類ブレンドしている商品から、よく使われているゆず・すだち・かぼす・橙をはじめ、珍しいデコポン・みかん・シークワーサーなど単体の果汁を使って作られている商品、醤油や出汁の種類の違い、最近では醤油ではなく塩で味付されたものやごま・たまねぎ・大根おろしなど具が入っている商品など数多くのポン酢が販売されています。これだけ多いと、使っている柑橘類や出汁の違い、メーカーの違いによる味がどれだけ違うのか、どこのものが好みなのかいろいろ試したくなりますね。
ここで面白い点があります。それは関東と関西ではポン酢しょうゆの扱う数が違うということです。お店の大きさによって違いはありますが、関東では5~10種類前後に対して関西では20~30種類前後扱いがあり、多いところでは50種類近く扱っているお店もあるほどです。各家庭でも関東では1本常備している家庭が一般的であることに対し関西では数種類常備している家庭が多いという違いがあるようです。
これは、関西、特に大阪ではてっちりなどを含め水炊きの文化が根強く、昔からポン酢しょうゆを使う習慣があったことが大きく影響しているそうです。そのため、鍋以外にもポン酢しょうゆを使うことが多く、食材や料理によってポン酢を使い分けることが多いため、常備している種類やお店で扱っている種類が自然と多くなっています。関東は鍋文化に関しては寄せ鍋など味付きの鍋が多かったため、ポン酢しょうゆなど調味料を使うことが少なかったことが関西に比べると扱う数や常備する数が少ない理由となっています。
ポン酢しょうゆの作り方
柑橘類の果汁やお酢、醤油、出汁などが入ったポン酢しょうゆは味がしっかりしていながらもうま味が強い調味料です。そのため、鍋などのつけダレとして使うだけでなく、ドレッシングやハンバーグなどのかけダレ、炒め物の味付など様々な料理や食材との相性が良いものが多く使いがってもとても良いです。
そんなポン酢しょうゆですが、実は自宅で簡単に手作りすることが出来てしまうのです。特におすすめの『白ごはん.com』さんのレシピをご紹介します。
白ごはんさんのレシピは“材料を容器に入れ、冷蔵庫で寝かせる”それだけです。もちろんレシピはたくさん存在し、醤油とお酢だけで作るレシピやみりんを入れる入れない、柑橘の果汁や出汁のありなしなどの違いがありますが、せっかく作るのであればぜひ柑橘類の果汁を入れてみて欲しいです。搾りたての果汁から作られたポン酢しょうゆは市販では味わえない爽やかな酸味を感じることが出来、中には手作りしてからは市販のものを買えなくなってしまったほど美味しかったという人もいるくらいです。
使う柑橘類の種類によっても酸味が強いのかまろやかになるのかが変わったり、醤油の種類やお酢を足すのかでも味が変わってきます。レシピ通り作るのもアレンジを加えられるのも手作りの良さです。気になる人はぜひ1度ポン酢しょうゆを手作りしてみてはいかがですか?