近年人気の醤油の種類や特徴(生醤油、魚醤、丸大豆醤油、減塩醤油)

減塩醤油

 減塩醤油は普通の醤油を製造後、脱塩法という製法でこいくち醤油から塩分を半分以下に取り除いて作られています。塩分濃度が9%以下と塩分が普通の醤油の半分以下になっているのが基準になります。他にも減塩する方法はありますが、脱塩法の方がよく使われているようです。

醤油は作る過程で、一定の量の塩を入れないと発酵が行われなかったり、雑菌が繁殖してしまい醸造することが出来ません。そのため、始めから塩を減らして減塩醤油を作っているわけではないのです。
製造工程に手間と時間がかかるため、普通の醤油より価格は少し高めになっています。また、塩分が少なくなっているので賞味期限が短く、保存も冷蔵保存になるので開封後は注意が必要です。
ちなみに、一般的な醤油に比べて塩分は半分以下のものが”減塩醤油”、半分以上80%以下のものは“うす塩醤油・あま塩醤油・あさ塩醤油”と呼びます。
 
 健康志向の人を中心に需要が高くなっており、使用率はここ10年の間で2倍ほど増えているそうです。
しかし、減塩と言っても塩は入っています。薄味に仕上がることからついつい醤油を多く入れてしまうと減塩の効果は薄れてしまうので、使用する際は計って使ったり、しっかりとだしを取るなど工夫をして醤油の使いすぎを防止しましょう。

丸大豆醤油

 油を搾る前の丸い形をした大豆を使って作っている醤油になります。
一般的な醤油は大豆から油をしぼった後の”脱脂加工大豆”というものを使っていることが多いです。割合で言うと国内では約80%が該当します。しかし私たちが見慣れている、油を搾る前の大豆を丸ごと使うことで油脂分が多くなり、その他の原材料も小麦と塩しか使っていないことから、味がまろやかでコクやうま味が感じられる醤油となっています。
窒素分の数値などから見ても一般的な醤油よりうま味成分が高いのが特徴で、全体的に深みがありバランスも良いです。

大豆をまるごと使ったうま味の違いを楽しんでもらいたいので、直接つけたりかけたりして使うのがおすすめ。

生醤油(きじょうゆ)・生醤油(なましょうゆ)

 本醸造方式で作られた醤油の中でも“大豆・小麦・塩”のみの表記があるものだけが「生醤油(きじょうゆ)」と名乗ることが出来ます。料理人を中心に業界では火を入れただけの純粋な醤油と、だしやみりんなどを入れて味付して作られた醤油の区別をするときに使われています。

 また、上記とは別に本醸造方式の過程で火を入れずろ過して微生物を取り除いたものを「生醤油(なましょうゆ)」と呼びます。こちらは火入れをしていないので、調理時に加熱すると醤油の香りが強く感じられ、そのまま使用すると香りや味が強くないのが特徴です。
同じ字を書きますが製造の過程によっては呼び方が変わり全く別物になります。

生醤油(なましょうゆ)は火を入れた時の香りを感じてもらいたいので、炒め物や煮物など加熱する料理に使うのがおすすめ。

生醤油についてより詳しい解説はこちら

魚醤(ぎょしょう)

 普段使っている醤油は大豆や小麦を発酵・醸造して作られる“穀醤(こくびしお)”と呼ばれるものになります。しかし国内でも地方や海外では魚を発酵して作られている“魚醤(ぎょしょう)”を好んで使っています。
日本では三大魚醤というものがあり、秋田の「しょっつる」・石川の「いしる」・香川の「いかなごしょうゆ」が有名です。

  • 秋田のしょっつる
     ハタハタやイワシを使って作られた魚醤
     魚をまるごと塩で漬けて作られているので塩味は強めですが、淡い色をしており他の魚醤に比べると香りは穏やか。
     魚の内臓は取り除いて作られています。
  • 石川のいしる
     イカの内臓やイワシを使って作られた魚醤
     こちらも魚をまるごと塩で漬けて作られるため塩分は高めです。アミノ酸が多く含まれたうま味たっぷりの魚醤になります。
     イカの香りがするので料理にアクセントをつけたい時におすすめ。
  • 香川のいかなごしょうゆ
     いかなごと言うスズキ目の魚を使って作られた魚醤
     しょっつる・いしるよりさらに塩辛く塩分濃度は28~30%です。いかなごしょうゆを使う伝統的な料理がなかったため、一
     度生産が途絶えてしまったそうです。ですが、再注目された後に現在では生産が再開されています。

日本の魚醤は熟成期間が長く、1~2年寝かせるのが特徴です。使う魚によって味わいが変わるのも魚醤を楽しむ特徴の1つとなっています。醤油の代わりに使うとしょっぱくなってしまうので、いろいろな料理の隠し味やドレッシングに使うのがおすすめ。

 また、最近ではアジア地域の料理を身近に食べられるようになったことから、ナンプラーやニョクマムという言葉を聞いたことがある人も多いと思われます。これは海外で使われているイワシを使った魚醤の1つです。「ナンプラー」はタイの魚醤で、熟成期間は2~3年と日本より長いです。反対に、「ニョクマム(ヌクマム)」はベトナムの魚醤で、熟成期間は1年弱と短く作られるのが特徴です。どちらも国際色が影響されているので、独特な香りはありますがうま味が強いので普段の料理に加えると一気にアジアンテイストの料理に変身します。
かけて使うことも出来ますが、香りが気になる方は火を加えると弱まるため炒め物や焼き物などに使うのがおすすめです。

醤油加工品

 醤油以外に普段の生活で使うことも多い「だし醤油」や「めんつゆ」、「味付ぽん酢」などは醤油の区分には入らず、“醤油加工品”と呼ばれています。

だし醤油
 だし醤油とはかつお節や昆布、煮干しなどのだしを混ぜた醤油です。だしを取る手間を省いて使えるので、手軽に料理に使うことも希釈してつゆとしても使うことも出来ます。

醤油の比率は高いですが、だしが加わることにより塩分が少なくなるため醤油を使うより薄味に仕上がります。しかし、だしのうま味や風味が加わるので香りやコクがプラスされ、ひと手間加えたような味わいになります。
ちなみに、だし醤油の代用として白だしが使えます。白だしは白醤油やうすくち醤油をベースに作られており、だし醤油はこいくち醤油をベースとして作られていることが多いです。そのため、少し甘みが強くなるので砂糖などの調味料を抑え、こいくち醤油を少し加えると全体のバランスがよくなります。

◆だし醤油の種類

  • 昆布だし醤油:さっぱりとしたうま味と甘みの昆布だしは、まろやかな味わいでどんな料理にも相性抜群です。
  • かつおだし醤油:かつおの濃厚なうま味と高い香りが感じられ、卵かけごはんなど直接かけるものにおすすめ。
  • あごだし醤油:あごとはトビウオのことで、コクがありながらもさっぱりとした味わい。九州地方を中心に愛用されているの
          で、甘みのある醤油を使って作られているものが多いです。
  • 牡蠣醤油:牡蠣のエキスを抽出して混ぜているため牡蠣のうま味が強く、ダイレクトに感じることが出来る醤油。冷や
         やっこなど直接かけると味に深みが出ます。炊き込みご飯や煮物にもおすすめ。

◆珍しいだし醤油

  • しじみ醤油
  • うに醤油
  • にんにくだし醤油
  • 真鯛だし醤油 ほか

使われているだしの種類や醤油の種類により、風味が大きく変わるのがだし醤油のいいところ。料理によって種類を変えたり自分の好みのだし醤油を見つけてみるのも楽しいかもしれません。

めんつゆ
 醤油・だし・みりん・砂糖をベースに作られています。醤油の割合は低く甘みが強いのが特徴。基本的には薄めてそのまま麺つゆとして使うことが多いですが、いろいろな料理に使用したり素材に甘さや照りをつけたいときにも使える万能調味料です。
濃縮倍率によっては塩分や醤油、砂糖などの調味料が多く味が濃くなるので、だしの風味は感じにくくなります。その代わり、醤油の代用として料理に直接かけて使うことも出来ます。

 また、スーパーなどの店頭ではめんつゆと一緒にそばつゆやそうめんつゆ、うどんつゆなどが並んで売っていることが多いと思います。違いとしては、めんつゆは大体の商品が薄めて使う濃縮タイプなものに対して、そばつゆ・そうめんつゆはそのまま使えるストレートタイプであることが多いです。そうめんつゆはあっさり食べられるように醤油が弱め、そばつゆはそばの香りが感じられるようにだしが弱めに作られているのも特徴となっています。
うどんつゆは関東か関西かによってだしの種類やベースの醤油の種類が変わります。いずれにしても、濃縮よりは味が薄味に作られているので塩分を抑えたい人やだしを強く感じたい人はストレートタイプのつゆを使うといいでしょう。

ポン酢醤油・味付ぽん酢
 まず、普段よく呼んでいるポン酢とは柑橘類の果汁のこと、またはそこに醸造酢を加えたものです。そのため、食塩などは入っていないものになります。ポン酢に醤油・かつお節や昆布などのだし・みりんを加えた合わせ調味料を「ポン酢醤油・味付ぽん酢」と呼び、普段よく見たり聞いたりする茶色いポン酢は「ポン酢醤油・味付ぽん酢」となります。
 ポン酢醤油にはゆず・すだち・かぼす・だいだいなどの柑橘類の果汁が入っているものが多いですが、醤油と醸造酢を合わせただけのものやだしを加えたものなど種類は幅広く作られています。