紅茶 ウバとセイロンティーの違いと特徴

ウバの特徴

 ウバとは世界三大銘茶と呼ばれる紅茶うちの1つです。スリランカの南東部にあるウバ地方の標高900~1500mにある高地で栽培されている紅茶で1年を通して生産出来る茶葉になります。爽やかな香りや渋みと同時にバラやすずらんのような花の香りも感じることが出来るのが特徴です。特に旬のクオリティーシーズンと呼ばれる7~9月に収穫された良質な茶葉は、ミントやメンソールのような香りを感じることが出来るものもあります。

もともとウバが育てられている高地は昼と夜の寒暖差が大きく、霧が発生しやすい土地です。さらにこのクオリティーシーズンと呼ばれる時期は乾いた季節風が強く吹くことが多く、これが茶葉に良い影響を与え、品質の良い茶葉が育ちます。ですが、品質の良さと収穫期間が限定されているため、クオリティーシーズに収穫された茶葉はとても希少なものとなっています。

茶葉のおすすめは、2番目に大きい“ブロークンオレンジペコー”タイプです。これはオレンジペコーと呼ばれる1番大きい乾燥茶葉を2~4㎜に揃えた大きさでブロークンオレンジペコーで紅茶を入れることにより、ウバ特有の味や香り、深みを感じることが出来ます。水色は濃い赤みがかったオレンジ色をしており、特に上質な茶葉であれば紅茶として注いだ時にカップに“ゴールデンリング”と呼ばれる金色の輪を見ることが出来るのも特徴です。

香りや色味を楽しむならストレートで飲むのがおすすめですが、ウバはコクや力強い味わいを持つためミルクティーとして飲むのも違った味わいが感じられおすすめの飲み方となっています。

セイロンティーとは?

 紅茶の中でも、セイロンティーという紅茶を聞いたことがありますか?もしかすると、ウバより聞いたことがあるという人もいるのではないでしょうか。では、なぜここでセイロンティーを紹介するかというと、実はウバはセイロンティーの1種だからです。

そもそもセイロンティーとはスリランカで作られた紅茶の総称とされています。そのため、スリランカで作られているウバはセイロンティーの1種となります。ちなみにセイロンとはスリランカの旧国名であり、セイロンの時代から国内での紅茶の生産が盛んであったため、そのままセイロンティーと呼んでいるそうです。

スリランカは北海道より小さい島国であり、国内の高低差が大きいことが特徴的な国です。この高低差が気候や環境に違いを生み、国内で違った種類の紅茶を生産することが出来ます。また、スリランカの中央にある山脈を境目に東西で乾季と雨季が真逆になっていることも大きく影響しています。国内でも環境の違う場所で作られたセイロンティーには味や香りも様々です。作られている土地の特徴と一緒に紹介していきますね。

まず、セイロンティーは標高の高さによって大きく3つに分けられます。

ハイグロウンティー:標高1,200m以上    紅茶の種類/ウバ・ヌワラエリヤ・ディンブラ
ミディアムグロウンティー:標高600~1,200m 紅茶の種類/キャンディ
ローグロウンティー:標高600m以下     紅茶の種類/ルフナ・サバラガムワ

ハイグロウンティーは特に香りが良く渋みも感じられる個性豊かな紅茶です。ミディアムグロウンティーは3種類の中で1番バランスが良く飲みやすい紅茶になっています。標高の低い場所で栽培されるローグロウンティーは香りや渋みはハイグロウンティーに比べると弱くなりますが、濃厚で甘みを感じる茶葉のため、ミルクティーで飲むのがおすすめとなっている茶葉です。

また、標高が高いほど味や香りの個性が強くなるのに対し、水色は淡くなり、ミディアム、ローグと標高が低くなるほどコクや香りは深く、水色は濃くなるのも特徴の1つです。

セイロンティーの種類と特徴

ヌワラエリア
 スリランカで作られる紅茶の中で1番標高の高い場所で栽培されている種類です。その標高は1,800~2,000mにもなります。標高が高いことから日照時間が長く、昼夜の寒暖差も激しい環境で作られるヌワラエリアは発酵が浅く爽やかで華やかな香りと渋み、黄金色のような水色により見た目と風味ともに楽しめる紅茶になります。

ディンブラ
 標高1,200~1,600mで栽培されているディンブラは「セイロンの王様」とも呼ばれており、バラや柑橘を感じさせるフルーティーでさわやかな香りが特徴です。水色も濃いオレンジをしていますが、味わいはクセが少なくすっきりとしたとても飲みやすい紅茶です。日本でもペットボトル飲料やティーバックとして多く使われている品種のため、馴染みやすくバランスが良いのもディンブラの良さになります。

キャンディ
 クセも渋みも少なく、紅茶を飲み慣れていない人にも飲みやすいのがキャンディです。標高600~1,200mの場所で栽培されており、安定した気候の中育てられるため1年を通して生産されているのも特徴です。モルティーフレーバーと呼ばれるスモーキーでありながら甘みを感じる香りがあり、マイルドな味わいをしており、さまざまなスイーツとの相性が良いです。

ルフナ
 セイロンティーの中では1番低い場所で栽培されており、その標高は200~700mほどです。標高が低く、南国のような気候や環境で育ったルフナは味わいも力強く、コクがあり、水色も特に濃い紅茶になります。ですが、見た目と反対に渋みは少なくすっきりとした味わいがあります。冷めた後にうま味や甘みが増す特徴を持ち、ストレートとして飲むのも美味しいですが、ミルクを入れるととてもマイルドになるためストレートとしてもミルクティーとしてもどちらで飲むのもおすすめです。

このように、ウバをはじめとしたセイロンティーには同じスリランカで作られた紅茶でも、見た目や香り、味、水色など環境や気候によって種類も特徴も多種多様な紅茶になります。

紅茶初心者の人にはクセの少ない品種を選んで紅茶の良さやおいしさをぜひ体感してもらいたいです。また、普段から紅茶を飲んでいるという人には飲んだことのない品種や収穫の時期が違う茶葉を試して、香りの違いやコク、味、渋みなど紅茶の奥深さを味わってさらに紅茶の魅力を感じてもらいたいです。