野菜だしとしいたけだしの特徴

 和食などをはじめに料理には欠かせないだしですが、一般的にはうま味の強いかつお節や昆布を使ってだしを取ることが多いと思われます。ですが実は、料理で使った際に出る野菜の皮や芯、へたなど、通常ではごみとなってしまう部分や椎茸を使っても一味違った美味しいだしを取ることが出来ます。

野菜だしにはどんな野菜を使うのか

 野菜でだしを取るときは、料理に使った野菜のくずや切れ端を使います。野菜の皮やへた、芯などどこを使っても大丈夫です。また、野菜でだしを取る場合は、1~2種類ではなく数種類の野菜と様々な部分を使うことでうま味が増し美味しいだしを取ることが出来ます。

たまねぎや長ネギなどのネギ類や人参の皮・切りくず、キャベツ・しいたけの軸などは甘みが出やすいため一緒に入れるとおすすめです。他にも、きのこの石づき、根菜やほうれん草などの根、ピーマン・パプリカの場合へただけでなく中の種も一緒に使うことが出来ます。

しかし、ゴーヤやピーマンなど野菜自体に苦みがあるものやブロッコリーなどのアブラナ科の野菜は量によってはだし自体に苦みが出てしまうため苦手な人は少量にするか避けた方が良いです。また、数種類入れる場合にんにくのような香りが強いものを入れてしまうとだし自体にも強い風味がついてしまうためこちらも避けた方が良いです。ですが反対に、だしを取る野菜の種類が少ないときに少し加えると風味を出してくれます。野菜だしを取る際の量や種類によって特徴的な風味を持つ野菜は調整すると良いでしょう。

他にも、りんごやトマトをはじめとうもろこし、さつまいも、かぼちゃ、白菜など季節の野菜を加えると風味にも変化が出ます。季節ごとの野菜のくずや切り端も一緒に入れてだしの違いや季節感を楽しみましょう。

だしの取り方
水・・・1ℓ
野菜のくずや切れ端・・・250g前後(目安としては両手いっぱいくらい)
酒・・・小さじ1杯

野菜のへたや根についた土を洗って落とし、水・酒と一緒に鍋に入れます。沸騰直前に弱火にし、20~30分煮つめます。ここで火が強すぎると煮崩れしてしまうため野菜が躍るくらいの火加減で煮詰めて下さい。煮詰めたらざるで野菜を濾して冷めたら完成です。

保存方法
そのまま保存する場合は容器に移し、冷蔵庫で3日くらい保存が出来ます。長期保存する場合は小分け出来るようにして冷凍保存で3週間程度保存出来ます。

野菜のくずや切れ端は生のまま使う方がだしが出やすいためおすすめですが、1回に使う野菜の量が少ない場合はジップロックなどに入れ冷凍保存しておき、量がたまった時にまとめてだしを取り出すことも出来ます。

野菜だしは甘みがあり優しい味わいをしているため、和食はもちろん、洋食や中華などジャンルを問わず相性が良く様々な料理に使うことが出来ます。また、野菜の持つ栄養をそのままだしとして摂り入れることが出来、フードロスにも繋がるため、体にも環境にも優しいのが野菜だしの良いところです。

しいたけだしの特徴と椎茸の種類

 めんつゆなどによく使われている椎茸のだしは、独特の風味があるため単体ではあまり使われませんが、他のだしと合わせることでうま味を引き出す働きをしてくれます。

椎茸にはグアニル酸と呼ばれるうま味成分が含まれており、鰹の持つイノシン酸、昆布の持つグルタミン酸と合わせて”3大うま味成分”とされています。イノシン酸やグルタミン酸は他の食材にも含まれていますが、このグアニル酸は椎茸にしか含まれていないうま味成分です。そのため、だしを取る際に椎茸を入れることでうま味が増し味に深みが出ます。

しいたけだしを取るために使われている干し椎茸には大きく分けると2種類あります。

香信(こうしん)
傘が開いていて薄い見た目の椎茸です。太陽の光をたくさん浴びて育った香信の干し椎茸は、水で戻しやすくだしが出やすいのが特徴です。うま味がたっぷりのだしを取ることが出来る香信は安価で使いやすいため、一般的に使われていることが多い品種になります。

冬菇(どんこ)
肉厚で丸い形をしている椎茸です。じっくりと育てられているため高価な品種であり、あまり流通されていません。すこし臭みがありコクも少ないためだしを取る用に使うより食用として使われることが多いです。

だしの取り方
干し椎茸は生の椎茸を干して水分を抜くことでうま味を凝縮させています。そのため、時間をかけて水に戻すことで美味しいだしを取ることが出来ます。ここでは簡単で美味しい昆布との合わせだしの取り方についてお伝えします。

水・・・1ℓ
干し椎茸・・・50g
昆布・・・10g

干し椎茸を軽く洗い表面の汚れを落とします。容器に水・干し椎茸・昆布を入れラップをして冷蔵庫で10時間以上寝かせて完成です。干し椎茸単体でだしを取る際も、同じく水に干し椎茸を入れラップをして冷蔵庫で寝かせれば大丈夫です。どちらも、保存方法は冷蔵庫で3日程度、長期保存する場合は小分け出来るように製氷皿などに入れ冷凍すれば3週間程度保存することが出来ます。

だしを取るときに使われることが多いかつお節や昆布ですが、野菜や椎茸でも簡単に美味しいだしを取ることが出来ます。料理によって使い分けることで料理の風味や深みが変わってくるため、普段使っていないだしを使って味の変化を楽しんでみてはいかがですか。