お米の研ぎ方と美味しい炊き方

古くから日本人にとってなくてはならないお米は、産地や品種、収穫される時期によっても美味しさが変わってきます。しかし、どんなお米であっても間違った研ぎ方や炊き方を取り入れることによって最大限の美味しさを引き出すことは出来ません。炊き上がった時の美味しさに大きく影響するため、正しいお米の研ぎ方や炊き方を知っておくことが大切です。今回は精米済みのお米の研ぎ方や美味しい炊き方について紹介していきます。

お米の研ぎ方

研ぐ時のポイントと手順

  • お米を正しく計量する
  • 良質な水を使い手早く洗う
  • 力を入れずに洗う

1.お米を正しく計量する

美味しくごはんを炊くには、お米を正しく計量する必要があります。まずはじめにやることとしては、専用の計量カップで1合=約150g(液体は約180ml)をすり切りにして正しい量を計りましょう。品種によってはお米の粒の大きさや形が違うため、目分量で炊くと水分量とのバランスが悪くなり失敗しやすくなります。また、一般的な料理用の計量カップは1合=200mlと容量が違うことから、必ず専用の計量カップを使って計量するようにして下さい。

2.良質な水を使い手早く洗う

お米は乾物であるため最初に入れた水を特に吸収します。しかし、最初の水は米ぬかや汚れなどが出て1番濁るため、時間をかけて洗うと黄ばみの原因となったり米ぬかのにおいがお米に吸収され炊き上がりにも大きく影響が出てしまいます。そのため、最初は水を入れたら10秒を目安に手早くすすぎ洗い素早く水を捨てるのが大切です。可能であれば軟水のミネラルウォーターや浄水器を通した水を使うのがベストです。

3.力を入れずに洗う

手早くすすいだ後はお米を研いでいきますが研ぐ時のコツがあります。それはゴシゴシと力を入れずに洗うことです。水がほとんどない状態で指を立てて優しくかき混ぜ、お米同士で摩擦が起こるように研ぎます。10~20回程度を目安にかき混ぜたら水を入れ、白く濁った水を素早く捨てて下さい。この工程を2~3回繰り返してお米を研ぎます。この時研ぎ終わった水が多少濁っていても問題ありません。

もともとお米を研ぐ理由としては、昔の精米技術が低く米ぬかが多く残ってしまうためしっかり洗って米ぬかを落とす必要がありました。しかし、現在は精米技術が向上したため軽く洗ってお米の表面の汚れやごみを洗い流す程度で十分であり、ゴシゴシと力を入れて研いでしまうとお米が割れてベタつきが出る原因となってしまいます。ザルを使って洗う場合も、必要以上にお米が傷つき割れる可能性が増えてしまうためおすすめはしません。ただし、購入してから1年以上経過してしまった「古米」は表面が古くなり風味が落ちてしまうため、古米を使う場合はギュッギュッと少し強めに洗う方がよいです。

また、水を張ったまま洗うと反対にお米同士の摩擦が起きにくく上手に研ぐことが出来ないため実は取り入れない方がよい方法になります。さらに、長時間水に浸ける・水が透明になるまで洗うとお米の持つ“栄養・旨み・甘み”がすべて流れ出てしまい美味しくなくなってしまうため、水を張って洗うのも避けましょう。

基本的にはお米を洗う水は良質な冷たい水がよいですが、すすいだ後の研ぐ工程であればミネラルウォーターではなく水道水や浄水器を通した水で洗えば大丈夫です。しかし、約35度以上のぬるま湯で洗ってしまうとお米の吸水率が上がり、米ぬかのにおいを吸収しやすくなることや炊きムラが出る可能性が高まるため、寒いからといってぬるま湯やお湯などで洗わないようにすることも美味しいお米を炊くことに繋がります。

お米の炊き方

お米を炊く時のポイント

  • 正しい分量の良質な水を使う
  • 炊き方や状況によって浸水させる

正しい分量の良質な水を使う

お米が研ぎ終わったらあとは水を入れて炊くだけですが、ここでの美味しく炊くためのコツは正しい水分量で炊くことです。水分量の目安としては米1に対して容量1.2倍、重量1.4倍であるため、1合(150g=180ml)を炊く場合は210mlが目安となります。また、内釜の水位線を目安に水を入れる場合は、必ず平らな状態の場所で水を入れるようにして下さい。

少しの量の違いでお米の硬さは大きく変わってしまうため、好みの硬さに応じて水分量を調整する場合は様子を見ながら微調整するようにして下さい。さらに、美味しく炊くためには良質な水を使うのがおすすめです。炊飯時に使う水によってはごはんの味や美味しさにも大きく繋がるため、ここでは浄水器を通した水や軟水のミネラルウォーターを使うのがよいでしょう。

炊き方や状況によって浸水させる

炊くときに迷ってしまうのが、浸水させるか・浸水させないかということです。浸水させるとお米の芯までしっかり水分が行き渡り、ふっくらした炊き上がりになるため取り入れる人も多いのではないでしょうか。しかし、近年の炊飯器には水の温度を上げて浸水させやすくする工程が組み込まれているため実は浸水させる必要はありません。早炊き機能の場合も浸水と蒸らしの工程が時短されて組み込まれているためいずれにしても基本的に浸水しなくても大丈夫なのです。そのため、事前に浸水してしまうと水分量が多くなりかえってベチャっとした仕上がりになるため浸水しない方がよいのです。

正しい分量の水を入れた後は、通常通り炊飯器のスイッチを押して炊き上がるのを待ちます。炊飯器の場合、炊き上がりの後に行う蒸らしの工程も基本的には含まれているため、炊き上がったらごはんの粒を潰さないようしゃもじで十字に切れ目を入れ、釜の底からすくうように優しくほぐしたら完成です。

炊飯器では浸水が必要ないとなると、一体どのような場合に浸水が必要になるのでしょうか。

浸水が必要な場合

  • 炊飯器のパワーが弱い・炊いた仕上がりがイマイチ
  • 土鍋や鍋を使って炊く

炊飯器で炊く場合、基本的には浸水させる必要がありませんが、価格が安価なものに多いマイコン方式などの炊飯器は火力が弱く熱がお米全体に通りにくいことから、炊き上がったお米に芯が残る・炊きムラが出るといった仕上がりになってしまうことがあります。そういう場合には、事前に浸水しておくことで火が通りやすくなり改善することが出来るため取り入れるのがよいでしょう。

また、夏場など暑い時期に夜のうちに予約炊飯しておくと雑菌が繁殖しやすくなってしまうため、雑菌を予防するために前日の夜から冷蔵庫内で浸水させておき、朝に早炊きで炊くのもおすすめです。

土鍋を使ったお米の炊き方

土鍋などを使ってお米を炊く場合にも浸水機能がついているわけではないため事前に浸水する必要があります。土鍋でお米を炊く方法は、一見手間や時間がかかりそうですが、実は短時間でふっくらした美味しいごはん炊けることや1合からでも炊くことが出来るため土鍋を使った方法を取り入れる人も増えています。炊飯器で炊いた時とは違った美味しさを味わえるため、浸水する時間の目安と一緒に土鍋を使った炊き方の手順も紹介していきますね。

浸水する時間の目安(炊飯器・土鍋どちらも)
通常:30分
冬場:60分

1.下準備をしたら浸水させる
計量し研いだお米を土鍋に移し浸水させます。通常は30分程度で問題ありませんが、古いお米を使う場合や柔らかいのが好みの場合は通常時間より長めに浸水させ、硬めが好みの場合は短めに調整するのがよいです。また、冬場など水温が低い場合には60分を目安にさらに長めに浸水するのがおすすめです。

この時、水を吸いやすい素材で作られた土鍋の場合はボウルなどで浸水させてからお米を移すようにして下さい。使う水は浄水器を通した水や軟水のミネラルウォーターを使うのがよいですが、さらに冷たい水を使うことでお米がゆっくり水を吸い上げ美味しく仕上がるためおすすめです。

2.中火→弱火にして加熱していく
土鍋に蓋をして中火で加熱し、10分くらい時間をかけて沸騰させていきます。土鍋の種類によっては沸騰しているかが分かりづらいため、慣れないうちは蓋を開けて中の様子を必ず確認するようにして下さい。湯気が出て勢いよく泡が全体から上がっていれば大丈夫です。沸騰が遅い場合は強火にし、早い場合は火を弱めて調整してみて下さい。

沸騰したら弱火に火力を下げ、さらに10~15分加熱していきます。音が静かになったら軽く蓋を開けて水分が残っていないか確認します。水分がなければ炊き上がりですが、残っていた場合1~2分を目安に追加し、確認しながら水気がなくなるまで加熱して下さい。

3.蒸らす
炊き上がったら蓋をしたまま火を止め10分蒸らしていきます。蒸らす工程を入れることで余熱によりごはん全体に熱が伝わり芯までふっくらした仕上がりになるため、この10分間待つことがとっても大事となるのです。また、蒸らす前に沸騰しているかの確認のため何回か蓋を開けてしまった場合は全体の温度が下がってしまっているため、火を止める前に蓋をしたまま10~15秒ほど加熱してから火を止めるとしっかり余熱で蒸らすことが出来ます。

蒸らし終わったら蓋を開けてしゃもじでそこからすくいあげるようにさっくり混ぜ、余分な蒸気を逃がしたら出来上がりです。

蓋があるため沸騰や水分の状態が分かりづらいことや火加減を見ておかなければならないこと、土鍋の種類や大きさ、厚みなどにより時間などを調整する必要がありますが、コツを掴めば簡単にそして炊飯器より早く美味しいごはんを炊くことが出来ます。

炊飯器は炊く工程が自動であるため手軽にごはんが炊け、土鍋で炊く場合は火を使うことでしか味わえない美味しさを楽しむことが出来ます。しかし、炊き方関係なく美味しくごはんを炊くために計量することや研ぎ方が大切なことは同じです。特にどちらの方法で炊くとしても研ぐ工程は仕上がりに大きく影響するため、正しくお米を研いで美味しいごはんを味わってくださいね。