日本にはわさびやからしなど日本ならではの調味料があります。中でも柚子の香りが特徴の「柚子胡椒」はさまざまな料理に使える万能調味料の1つですが、わさびなどに比べると常備している家庭は少ないのではないでしょうか?今回は柚子胡椒の特徴や名前の謎について紹介していきます。
柚子胡椒の特徴と名前の謎
柚子胡椒は名前の通り柚子を使った調味料です。細かく刻んだ柚子の皮に生の青唐辛子・塩を加え3か月~1年ほど熟成させて作られています。シンプルな原材料から作られていますがとても風味豊かで、柚子の香りと青唐辛子のピリッとした辛さが特徴です。
柚子と青唐辛子から作られているとなると、柚子胡椒の“胡椒”は一体何なのか?というところが気になりますよね。実は柚子胡椒は九州が発祥になります。諸説はいくつかあるため明確な発祥地は不明ですが、なかでも大分県日田市が有力とされています。そして、九州では唐辛子のことを方言で「こしょう」と呼んでおり、これが浸透して柚子胡椒という名前がそのまま広まっていったそうです。
そのため、名前に胡椒がついていますが原材料に香辛料のコショウは使ってはおらず、九州では一般的なコショウを「洋胡椒」と呼んで区別しています。また、発祥は九州ですが九州以外にも徳島や高知、山梨、埼玉などでも作られています。
鍋料理や汁物に使われるイメージが強い柚子胡椒ですが、九州では万能調味料として調味料としても薬味としても使われているため、鍋、みそ汁、湯豆腐、おでん、刺身、焼き鳥、餃子、焼肉、うどん、そばなど使われる料理の幅が広く、使用頻度もとても高いです。
和食との相性が良いイメージが強い柚子胡椒ですが和食以外との相性も良く、パスタやサンドイッチ、カルパッチョなどの創作料理にも使われています。さらに2000年代に入ると柚子胡椒の人気は海外まで及び、洋食のシェフなどを中心に使われており、隠し味としてサラダのドレッシングに使われることもあるほどです。
緑と赤の柚子胡椒
柚子胡椒に使われている柚子は、秋冬にかけて黄色くなる前の青い柚子を使っています。さらに唐辛子も青唐辛子を使っているため、一般的に販売している柚子胡椒は“緑色”をしており、パッケージも緑色のものが多いです。
ですが中には、黄色くなった柚子と赤唐辛子を使った“赤色の柚子胡椒”も存在しており、辛味が強い緑色の柚子胡椒に対して香りが強いのが赤色の柚子胡椒の特徴です。メーカーによってはにんにくや豆板醤を使って作られているものもあります。また、ゆずをメインに使うことで辛味を抑えた黄色の柚子胡椒を販売しているメーカーもあります。
かんずりとは?
新潟には赤色の柚子胡椒に似た「かんずり」という伝統的な調味料があります。原材料に柚子・唐辛子・塩を使うことは同じですが、かんずりにはそこに“米麹”が加わります。さらに、あく抜きの効果や甘味を増すために塩漬けした唐辛子を雪の上に3~4日ほどさらしてから使い、発酵・熟成させて作られているため、柚子胡椒とは別物の調味料となります。麹の力を使い熟成させる期間は3~4年のものが多く、長期間熟成させたかんずりは、辛味だけでなく甘味や旨みも感じられます。使い方は柚子胡椒とほとんど変わらず、鍋、焼き鳥、おでん、うどん、そばなど幅広く、他にもマヨネーズと和えたりサラダやトマトソースに加えたりとジャンル問わず使うことが出来ます。
柚子胡椒の作り方
柚子胡椒は原材料がシンプルなうえに、作り方もシンプルなため簡単に手作りすることが出来ます。
流れとしては、
1.青い柚子の皮と種を取り出した青唐辛子を細かく刻む
2.塩と混ぜて1週間ほど冷蔵庫で寝かせたら完成
レシピによっては、柚子をすりおろす、柚子と青唐辛子を一緒にミキサーにかけてしまう、最後に柚子の搾り汁を加えるなど多少の違いはありますが、基本的な作業内容は同じです。だだし、唐辛子を使うため痛みやかぶれなど炎症が起きてしまう可能性があるため、手袋の着用や必要であればメガネをして保護するなど取扱いには注意して下さいね。
いかがでしたでしょうか。柚子胡椒はシンプルであるがゆえにさまざまな料理との相性が良く万能な調味料・万能な薬味です。通常の使い方だけでなく、オリジナルの使い方を見つけるのも柚子胡椒ならではの楽しみ方かもしれません。また、一般的な緑色の柚子胡椒だけでなく赤や黄色の柚子胡椒も食べ比べてみてぜひその違いやそれぞれにより合う料理を見つけてみてください。