兵庫県神戸市で人気がある「とくれん」とは?

みなさんは「とくれん」という名前の食べ物があるのをご存じですか?兵庫県神戸市で根強く人気がある食べ物らしいのですが、馴染みのない人にとってはどのような食べ物なのか想像もつかないですね。食べ物と言われなければその姿形も全く予想がつかない「とくれん」について調べてみました。一体どのような食べ物なのでしょうか。

とくれんとは?名前の由来

とくれんとは神戸市の学校給食で提供されている“オレンジゼリー”です。1974年頃に初めて給食で提供されてから現在に至るまでその人気は衰えることなく長い間神戸市民に愛されています。

ほどよく甘く爽やかなオレンジ味のとくれんは、なんと果汁が80%も使われており濃厚な味わいを楽しめるのが特徴です。実はとくれんという名前は正式名称ではなく、「プデナーオレンジ80」が正式名称になります。果汁を80%使っているプリンのようなデザートというところから名前が付けられています。

さらに、献立のメニューには初めて提供された時には“フルーツゼリー”、そして現在は“みかんゼリー”という表記がされます。となると、とくれんという響きは一体どこから来ているのか疑問ですよね。

元を辿ると、とくれんは徳島県産の温州みかんを普及するために神戸の食品卸売会社と共同して企画し開発した商品でした。この製造元である「徳島県加工農業協同組合連合会」の略称からとくれんと呼ばれるようになったのです。さらにゼリーのフタに書かれている正式名称の上にも赤文字でとくれんと書かれており、プデナーオレンジ80よりとくれんの方が小学生をはじめとした幅広い年齢の子にも親しみやすく馴染みやすかったのではないかと思われます。

2000年に徳島県加工農業協同組合連合会は他県の組合と合併し解散してしまっていますが、県内にある浅井缶詰株式会社に生産が移り、容器やフタのデザインが多少変更されている以外は味も当時のまま変わらずに作り続けられています。そして製造会社が変わった現在でもその名前は呼ばれ続けているため、フタにも変わらずとくれんの文字が印刷されています。

なぜ神戸で人気なのか?

とくれんは徳島で生まれ徳島で作り続けられていますが、その人気は徳島より神戸の方が圧倒的に高いです。その理由ははっきりしていませんが、学校給食で提供されていたこととその提供される回数がカギになっているのではないかと思われます。昔は今よりもデザートが給食に出される回数が全体的に多く、特に神戸ではこのとくれんが年10回ほど提供されていたと言われています。

通常はつるっとしたのどごしが良い食感のとくれんですが、給食で提供される日には冷凍されて運ばれてきます。それが給食の時間にはほどよく解凍され、シャリっとした食感とつるっとした食感が両方楽しめるのがまた人気の高い理由でもあるでしょう。味も食感も良いとくれんが1年の間に何回も出てくるとなると、人気が高くなるのは必然ですね。さらに、学校給食でデザートが出ると意味もなく特別感を感じてしまいます。その記憶も含めて神戸では絶大な人気があったのではないでしょうか。

現在はデザートが出る回数が減ってしまったため、とくれんが学校給食に出る回数も減ってしまいましたが、それでも年に1回卒業の季節である3月に提供されているようです。

とくれんは購入出来るのか

学校給食でよく食べた世代には大人になった今でも懐かしく、ふと思い出した時には食べたくなってしまいます。また、とくれんを食べたことがない人でも学校給食で出たデザートということや80%果汁を使っているということからどのような味なのか気になるかと思います。そんなとくれんですが、実は購入することが出来るのです。

販売しているお店

  • 大丸須磨店
  • 神戸市内にあるイオン・コープ
  • 神戸市内に展開しているスーパー

時期や入荷状況によっては販売していない場合や店舗もありますが、基本的には神戸市内にあるスーパーで購入することが出来ます。さらに、神戸発祥のとんかつ屋「吉兵衛」や神戸にある「CoCo壱番屋」の一部の店舗ではメニューとして販売しており、店内で食べることもテイクアウトやデリバリーで食べることが出来ます。ちなみに吉兵衛は大阪にも2店舗あるため、神戸以外でも購入することが出来ます。

しかし、通販などによる販売はしていないため直接現地に行くしか手に入れることは出来ません。以前はネットで販売していた通販サイトもありましたが、現在は扱っておらずコープこうべによって兵庫県、大阪北地区、京都府京丹後市であれば1箱単位で配達可能になっています。

そしてオレンジ味が特徴のとくれんですが、実は他の味も作られています。オレンジ以外には、アップル、巨峰、白桃、パイナップルの5つがあり学校給食には提供されていない味になります。

  • プデナーオレンジ80
  • プデナーアップル50
  • プデナー巨峰50
  • プデナー白桃50
  • プデナーパイナップル50

サイズは大きくなく、つるっと食べられるとくれんは懐かしい定番のオレンジ味に加えて好きな味を食べるのも大人ならではの楽しみ方ではないでしょうか。

2023年11月には学校給食向け食育推進デザートとして兵庫の特産フルーツである“ゆず”を使ったとくれんを新たに開発し、学校給食で順次提供されています。他にも期間限定でとくれんのコラボグッズを販売したり、ホテルとコラボした際にはとくれんをイメージした内装にするなど現在でもその熱は冷めず変わらずに愛され続けているのが分かりました。ぜひ、神戸近辺を訪れた際には食べてみたい食べ物の1つにとくれんを加え、その美味しさや懐かしさを味わってみて下さい。