中濃ソース・ウスターソース・とんかつソースの違い

ソースを購入する際にスーパーなどでよく見かけるウスターソース・中濃ソース・とんかつソース。実際にどのソースを購入したらよいのか迷ったことはありませんか?なんとなく購入していることや昔から家で使っているソースをそのまま買っているなんてことも多いかと思います。今回はそれぞれのソースの特徴や相性のよい使い方を紹介していきます。

中濃ソース・ウスターソース・とんかつソースの違いとは

まず、中濃ソース・ウスターソース・濃厚ソースと呼ばれる3つのソースはJAS規格(日本農林規格)によって全て「ウスターソース類」と呼ばれる種類に分類されています。その定義とは「野菜若しくは果実の搾汁、煮出汁、ピューレー又はこれらを濃縮したものに砂糖類、食酢、食塩及び香辛料を加えて調製したもの」 さらに「でん粉、調味料等を加えて調製したもの」となっています。この定義に加えてとろみなど粘度の強さによってウスターソース・中濃ソース・濃厚ソースに分けられており、とんかつソースは濃厚ソースの中の1種類となっています。

中濃ソースとは

中濃ソースはほどよいとろみと甘味・酸味・辛みのバランスがよく使い勝手がよいソースです。粘度は0.2pa・s以上2.0pa・s未満という定義があり、ちょうどウスターソースととんかつソースの間にあたるソースとなっています。そのため、まろやかで口当たりがよく揚げ物に使えるだけでなく料理の隠し味やお好み焼きソースなどの代用としても使うことが出来ます。東日本で広く使われており、アジフライやカキフライなど魚介系のフライトの相性が特によいです。

中濃ソースの代用

中濃ソースがないときは、ウスターソースで代用することが出来ます。しかし、中濃ソースに比べるとさらさらしており酸味も強いことから直接かける代用方法よりも料理などの隠し味に使う際の代用方法として使うのがおすすめです。ただし、家庭にウスターソースと濃厚ソースがある場合は1:1で混ぜ合わせることで中濃ソースに近いとろみや風味を再現することが出来ます。

より詳しい中濃ソースの解説はこちらも参考にしてください

ウスターソースとは

ウスターソースはイギリスのウスター地方で生まれたソースであるためその名前がついています。江戸時代後期から明治の初期にかけて日本にウスターソースが伝わり、その当初から作られてきた歴史があります。熟成方法などメーカーによる違いが1番大きく反映するソースでもあります。

他の2つに比べると粘りが少なく粘度の定義も0.2pa・s未満であるため1番さらっとしたソースです。トマト・たまねぎ・りんごなどの野菜や果物を細かくピューレ状にしたものに酢・塩・糖類・香辛料を加えて作られているため特有のさらっとした液体状になります。酸味が強めでスパイシーな味わいも感じるためやや辛口であり、その特徴から揚げ物をさっぱり食べることが出来ます。そのため、串カツが郷土料理にもなっている大阪をはじめとした西日本で主に愛用されており、かけるよりつける方が向いているソースです。

ウスターソースの使用シーン

揚げ物との相性がよいウスターソースは粘度の少なさから、炒め物や焼きそば、焼うどん、煮物、もんじゃ焼きのベースなどといった他のソースでは使われにくい用途としても使うことが出来ます。また、甘味が強くないため食材の味を邪魔することも少なく、カレーの隠し味以外にもミートソースやハヤシライス、ナポリタンなど洋食の隠し味として使うとコクが増して一味違う仕上がりになるでしょう。

ウスターソースの代用

ウスターソースがない場合、中濃ソースを代用として使うことが出来ます。しかし、とろみや甘味が強くなるため醤油を加えるとウスターソースに近づきます。とんかつソースを常備している場合でも代用することが出来ますが中濃ソースよりさらにとろみと甘味が強くなるため、醤油以外にも酢・胡椒を加えることでウスターソースの味わいに近づけることが出来ます。また、ケチャップでも醤油と胡椒を加えることでウウスターソースに近づけられるため、家庭にある調味料を使って代用してみて下さい。

とんかつソースとは

とんかつソースはウスターソース類の中でも粘度が2.0pa・s以上と1番粘度が高い濃厚ソースと呼ばれる種類の中の1種類であり、他にもお好み焼きソースやどろソースがこの濃厚ソースに含まれています。

ソースの中でも特に果物を多く使っているため酸味や辛みを抑えたマイルドで甘みが強いのが特徴です。フルーティーな風味が感じられることからお子さまでも食べやすくなっています。とろみが強いため、揚げ物にかけても染み込みにくくサクサクした食感を長持ちさせることが出来、ウスターソースとはまた違った味わいを楽しめるソースです。

とんかつソースは1948年に神戸のオリバーソースという会社が日本だけではなく、世界で初めてとんかつソースを作り出しました。当初は揚げ物に使われるよりもたこ焼きソースとしてお茶の間で一気に人気が上がり販売早々から爆発的な人気があったそうです。その人気は神戸にとどまらず大阪などにも広まり、これがたこ焼きやお好み焼きに粘度の高い甘めのソースを使うきっかけとなりました。

とんかつソースの使用シーン

その名前からコロッケやとんかつ、エビフライ、カキフライなど揚げ物全般や人気の火つけにもなったたこ焼きやお好み焼きに使えます。果物の旨みがギュッと詰まっているためカレーなどの隠し味として使うとコクを出すことが出来るだけでなく、カットトマトや赤ワインと一緒に煮詰めることで手軽にデミグラスソースを作ることも出来ます。また、マヨネーズとの相性もよいことからエビマヨに加えたり、ごまドレッシングと混ぜて濃厚なごまソースを作ることも出来るため、深みを出したい時や味変をして楽しみたい時に重宝します。

とんかつソースの代用

とろみと甘みの強いとんかつソースは中濃ソースからも代用することが出来ますが、ケチャップ・砂糖・しょうゆ・すりごまを混ぜ合わせることで簡単においしいとんかつソースを作ることが出来ます。よかったら下記のレシピを参考に作ってみて下さい。

参考:DELISH KITCHEN

原材料の違い

基本的には中濃ソース・ウスターソース・とんかつソースに使われている原料のベースは同じであることが多く、トマト・たまねぎ・にんじん・りんごを中心にネギ・セロリ・キャベツ・にんにく・パイナップル・マンゴー・プルーン・デーツ・みかんなどメーカーによって使う食材の種類や量を変えています。これらの野菜や果物にスパイスやハーブ、酢、塩、糖類、でんぷんなどを加えてソースを作っていますが、ここでもメーカーによってかつお節・昆布・オイスターなどの魚介系のエキスやワイン、醤油などを加えるといった違いがあります。

これらの原材料を使って作られているソースですが大きな違いとしてはやはり粘度です。ウスターソースは製造過程で野菜や果物のパルプ質をろ過して粘度を低くしており、とんかつソース(濃厚ソース)は果物の種類や量を増やすことで繊維質を多く含ませ、甘さと粘度を上げるといった方法でそれぞれのソースに違いを出しています。

このようにソースによっても特徴が違い、その特徴によって相性のよい使い方も変わってきます。もちろん、基本的には1つのソースでだいたいは解決出来るためわざわざ使い分ける必要はありませんが、特徴を知った上で使ってみると今まで使っていたソースとは全く違った味わいを楽しむことが出来ます。同じ種類のソースでもメーカーによって風味が大きく変わってくるため、次回購入する際の参考にしてみて下さいね。