餅の失敗しない焼き方と保存方法

お正月によく食べるお雑煮に欠かせないのがお餅です。お正月だけでなく、ご飯やおやつの代わりとしても食べることが多いお餅は、どのように焼くのが美味しく食べられるのでしょうか。今回はお餅の焼き方やコツ、保存方法について紹介していきます。

餅の焼き方

お餅の基本的な焼き方としてはオーブン・フライパン・網焼き(コンロ)・グリルを使った焼き方があります。それぞれに少しずつ焼き方のポイントがあるため、紹介していきます。
※加熱する時間は各家庭にある調理器具の種類によっても変わってきます。記載している時間は目安として各家庭で調整して下さい。

オーブントースターを使う方法
焼き時間:5分ほど
ポイント:短時間で焼ける、アルミホイル・油を使う

はじめにトースターを1~2分ほど余熱しておき、お餅を並べ4分を目安に焼き色が付くまで焼きます。表面に焼き色が付いたら火を止めそのまま中に1分ほど置き、余熱でお餅の中まで温め柔らかくなっていたら完成です。

この時、使うトースターの天板の形状などによってはお餅がくっついてしまうためアルミホイルを敷くのがおすすめです。アルミホイルを敷く場合は予熱の段階で敷いておきましょう。アルミホイルがない場合は、キッチンペーパーなどに油を染み込ませ天板に付くように軽く拭くだけでもくっつきにくくなります。また、アルミホイルを敷いてもくっついてしまう場合も、アルミホイルにも油を塗っておくことで解決します。塗る油は家庭にある油で大丈夫ですが熱に強く特有の香りも少ないこめ油を使うのがおすすめです。

オーブンレンジを使う場合
焼き時間:8分前後
ポイント:オーブントースターよりもっちりしている

グリル機能があるオーブンレンジでもお餅を焼くことが出来ます。基本的にはトースターと同じですが、オーブンレンジに付属しているタイプの天板ではお餅がくっついてしまうため、クッキングシートを敷いておきましょう。4分ほど焼いて焼き色が付いたらひっくり返します。裏も焼き色が付くまで3~4分焼いたら完成です。片面づつになるためトースターより時間はかかりますが、しっかり中まで火が通りもっちりした仕上がりになるのが特徴です。

フライパンを使う方法
焼き時間:8分前後
ポイント:火をつける前からお餅を乗せる、手軽である

火をつける前にフライパンの上にお餅を乗せ、弱めの中火で4~5分焼いていきます。使うフライパンがテフロン加工(フッ素樹脂加工)をしていない場合は、油を塗るかクッキングシートを敷いてお餅がくっつかないようにしておきます。焼き色が付いたら裏返ししてさらに3~4分焼きお餅が膨らんできたら完成です。

お餅屋さんもおすすめしている焼き方であり、フライパンに火をつける前からお餅を乗せ徐々に熱を加えていくことで中まで火が通りやすくなります。また、テフロン加工している場合は別途で油を引かなくてもくっつかないため焼く時にかかる手間は少ないです。

コンロを使い網で焼く場合
焼き時間:8~10分
ポイント:焼き時間と手間はかかるが網焼きにしか出せない美味しさが味わえる

コンロに直接網をのせて焼く場合も、1~2分ほど温めてから使います。温めた網にお餅を置き、直接火が当たらないように火加減を見ながら焼いていきます。一気に焦げてしまわないよう何度も表と裏にひっくり返し少しずつ焼き色を付け、お餅が膨らんできたら完成です。

他の焼き方に比べると圧倒的に手間と時間がかかり網も別途で必要になりますが、オーブンやフライパンでは出せない香ばしい味が楽しめるのも網焼きのよさです。IH専用の網を使えばIHでもお餅を網焼きすることが出来るためお餅の焼き方にこだわる場合は網焼きをぜひ試してみて下さい。

魚グリルを使う場合
焼き時間:4~5分
ポイント:火加減を注意すれば最短で焼くことが出来る

アルミホイルをのせた魚焼きグリルを2分ほど予熱しておき、温まったら弱火で2分ほどお餅を焼いていきます。焼き色が付いたら裏返し1分~1分30秒ほど焼き裏面も焼き色がついたら完成です。

火加減が分かりづらい場合は、途中で2度ほどひっくり返すことで焦げるのを防ぐことが出来ます。温度によっては焼き色が付く前に膨れてくることがありますが、菜箸などで押さえてしまえば大丈夫です。ちょうどよい火加減の場合は最短でお餅を焼くことも出来ますが、中の状態が見えづらく慣れていないと調整もしづらいため、無理せず様子を見ながら焼くことが美味しく焼くポイントでもあります。

電子レンジで柔らかくする方法
家庭や好みによっては使うお餅に焼き色を付けずに使う場合があります。そんな時は電子レンジで加熱するのが手軽で簡単な方法となります。耐熱容器にお餅をのせて大さじ1程度の水をかけ、600Wの電子レンジで約30秒加熱します。足りなければ様子を見ながら加熱する時間を追加し膨らんだら大丈夫です。この場合水をかけないと容器にお餅がくっついて後片付けするのが大変になってしまいますが、軽く水をかけることにより解決するだけでなく弾力のあるお餅に加熱することが出来ます。また、少し硬くなってしまったお餅の場合はお餅がつかるくらいの水を加えて加熱すると柔らかくなります。少量より時間がかかるため一気に加熱したくなりますが、加熱しすぎると溶けてしまうので何回か様子を見ながら加熱するようにして下さい。

餅を美味しく焼く方法

さまざまな焼き方があるお餅ですが、この焼き方に一工夫するだけでさらに美味しく焼くことが出来ます。

1つ目はレンジで加熱してからオーブンで焼くという方法です。

はじめにお餅を600Wの電子レンジで40秒ほど加熱します。一気に40秒よりも20秒×2回の方がほどよくお餅に熱が加わるため短い時間を数回に分けて加熱して下さい。柔らかくなったらトースターやオーブンで2分半~3分加熱して焼き色を付けます。この方法の方がお餅に熱がムラなく加わり時短にも繋がります。レンジとオーブンの2台持っている場合やグリル機能付きのオーブンレンジを持っている場合はこちらのやり方もぜひ試してみて下さい。

2つ目はつきたてのようなもちもちになる方法です。

先ほどお伝えしたフライパンを使った焼き方にひと手間加えます。全体に薄く油を引いたフライパンを強火で1分ほど温め、お餅を入れたら80℃以上の熱湯を大さじ1加え蓋を閉めます。30秒加熱したら火を止め7分余熱で温めて完成です。すぐに熱湯を加えるため焼き色は付きませんがもちもちした食感を楽しめるためそのままきな粉などをかけて食べるのがおすすめです。

また、固くなってしまったお餅も同じ要領で柔らかくすることが出来ます。同じく全体に薄く油を引いたフライパンに固くなってしまったお餅を並べ蓋を閉め弱火で加熱していきます。2~3分して焼き色が付いたらひっくり返し裏面も軽く焼き色をつけます。大さじ1の水を加え蓋を閉め水分を飛ばします。再度水を大さじ1加え柔らかくなっていたら完成です。お餅の大きさや量によっては大さじ2に水分を増やすなど水の量を調整して加熱して下さい。この方法で加熱すると固くなってしまったお餅も柔らかくなり美味しく食べられるようになります。ただし、一度固くなっているため加熱後は早めに食べきるようにして下さい。

3つ目は綺麗な形でお餅を焼くことが出来るコツです。

お餅を焼く時に天板などにくっついてしまう理由としては、膨らんだ時にお餅の柔らかい部分が飛び出してしまうのが原因です。さらに、飛び出す部分が決まっておらず下側が膨らんだ場合にはお餅ごと倒れてしまうなんてこともよくあります。しかし、お餅の表面に醤油を少し垂らしてから焼くだけでその問題が解消されるのです。表面に醤油を塗るとそこに熱が集中し、お餅より先に醤油を塗った部分が膨れるため他の部分が膨れにくくなり、その結果倒れたりくっついたりするのを防いでくれます。また、メーカーによっては切れ目が入っているお餅がありますが、これは同じように上部が膨れやすく加工されているためこのタイプのお餅は醤油を塗らなくても綺麗に焼くことが出来ます。

餅の保存方法

お餅はでんぷん・たんぱく質・水・脂質から出来ており、ここに温度や湿度などの条件が揃うとカビが非常に生えやすい食材でもあります。冷蔵庫に入れてもカビが生えやすいため保存方法はとても重要になってきます。

個包装・真空パックになっているお餅
メーカーなどが販売している個包装になっているものは真空パックになっていることが多いため、その場合は常温で保存することが出来ます。しかし、未開封であることや常温保存可能と記載されている場合に限るため、必ず商品ごとに記載などを確認するようにして下さい。

一度開封してしまった場合は常温保存することが出来ないため、なるべく空気に触れないようラップをしてジップ付きの保存袋などに入れて数日であれば冷蔵庫で保存することが出来ます。長期保存したい場合は冷凍庫に入れてしまいましょう。

手作り餅
家庭でお餅をついた場合やお餅屋さんが作った手作り餅など真空パックの包装がされていないものは、常温保存や避け基本的には冷凍庫で保存するようにして下さい。1つずつをラップに包み冷凍保存可能なジップ付きの保存袋に入れて冷凍すれば数か月保存することが出来ます。しかし、冷凍しても少しずつお餅は劣化してしまうため早めに食べてしまいましょう。

つきたてのお餅は冷蔵庫でも保存することが向いていませんが数日中に食べる場合は水餅という保存方法があります。ついて2日目以降の完全に固まってしまったお餅を水洗いして粉を落とし、密閉容器にお餅がつかる量の綺麗な水を入れたら冷蔵庫で保存することが出来ます。完全に水に浸かることと水を毎日取り換えることが重要なポイントとなり、正しく保存すれば冷蔵保存でも1か月ほど保存することが出来ます。昔はこの方法が主流であり、空気との接触を完全に遮断するためカビが生えにくくなるそうです。

ちなみに冷凍したお餅は軽く水をくぐらせて1分ほど電子レンジで加熱する・冷凍庫から取り出して自然解凍する・汁ものや鍋料理など加熱する場合は凍ったまま使うなど解凍方法もいくつかあります。 お餅は正しく調理するだけでとっても美味しく食べられますが、そもそも食べるお餅の状態が悪いと美味しく食べることは出来ません。お餅の状態によって保存方法を変えなければなりませんが、カビが生えないよう正しく保存していつでも美味しいお餅が食べられるようにしてみて下さいね。