大阪府民に愛される「サンミー」ってなに?

大阪を中心に関西では馴染み深い「サンミー」ですが、関西圏に住んでいない人からしたら見たことも聞いたこともないという人も多いのではないでしょうか。名前からでは想像がつきにくいサンミーとはどのようなものなのか、どこで手に入るのか紹介していきます。

「サンミー」とは

サンミーとは、大阪に本社を持つYKベーキングカンパニーが製造・販売している菓子パンです。2023年2月までは神戸屋が製造・販売していましたが、包装パンの製造販売事業を譲渡したことにより現在はYKベーキングというロゴで販売されています。

長方形をしたデニッシュ生地のパンにクリームを挟み、上からケーキ生地を被せて焼いています。さらに表面にはチョコレートで縞模様にトッピングをしているため、大阪発祥ということも相まって虎模様のように見えるのも特徴です。クリーム+ケーキ生地+チョコレートの3つの味が同時に楽しめるということから“三味=サンミー”という商品名になりました。1971年(昭和46年)に誕生して以降50年以上にもわたって関西圏の人に愛されており、大阪のソウルパンや関西のソウルパンとも呼ばれています。

表面の縞模様のチョコレートがとても印象的なサンミーですが、この模様のつけ方にもこだわりを持っているようです。同じ柄だと店頭に並べた時のボリューム感が出にくいことから、焼き上げたパンを並べずバラバラにラインに流し、機械から流れ出るチョコレートも左右に揺らして不揃いになるように仕上げています。このような工程を加えて1つ1つの縞模様が統一にならないような工夫をして作られているのです。

また、厚みの少ない平型というのもサンミーの特徴の1つです。作られた当時はふっくらと焼き上げたパンが一般的でしたが、まだ日本では真新しかったデニッシュパンを気軽に食べられるようにその当時では珍しかった平型を取り入れて作られました。さらに、パンというよりもお菓子のように食べてもらいたいという思いから、食感の違う生地やトッピングを重ねて独特の食感を作り出し、ケーキのようにも感じられるリッチな味わいにしたことがこれまでの菓子パンの中でも異質で新しい商品だったため、あっという間に注目されその人気の高さは当時と変わらず現在も続いています。

1つあたりのカロリーは470kcalと少し高めではありますが、ボリューミーでしっとりした生地の食べ応えと見た目によらず甘すぎないところがサンミーのよさでもあります。現在はクリーム+ケーキ生地+チョコレートで作られる味が定番ですが、販売当初はオレンジジャム+チョコレート+フォンダンシュガーの3つの味で作られていました。そんな地元民に愛されているサンミーですが、実は期間限定や地域限定の味もたくさんあるのです。

限定味のサンミーとヨンミーの違い

2009年からは期間限定や地域限定のサンミーが販売されはじめ、これまでにさまざまな味のサンミーが誕生してきました。

過去には、

  • マロン×マロン
  • リッチミルク
  • 抹茶ミルク
  • バナナ
  • りんご
  • いちご
  • アーモンド
  • 塩キャラメル
  • ショコラ
  • 沖縄パイン
  • 富良野メロン
  • 北海道チーズケーキ
  • とちおとめいちご
  • 黒糖&ぬちまーす 
  • 大阪ミックスジュース

などのサンミーが発売され、マロンやいちご、抹茶などをはじめとした味違いのサンミーから関西以外の都道府県の名産も使ったサンミーまで多種多様の種類が期間限定や地域限定で販売されています。さらに、2014年からはこれまでのサンミーに関西を中心とした地元食材や季節ごとに異なる食材を加えた姉妹品「ヨンミー」と呼ばれる種類も登場しています。

一部紹介すると

  • 和歌山県産温州みかん
  • 宇治抹茶
  • 滋賀県産草津メロン
  • 奈良県産飛鳥ルビーいちご
  • 淡路島牛乳&キャラメル
  • 大阪ぶどう
  • 有田みかん
  • 和歌山県産完熟ゆず 

など、パッケージや商品名にもどこの食材を使っているかがより分かりやすく工夫されており、期間限定のサンミーで販売されていたものより関西に特化した特産の果物などを使ったジャムやクリームを追加していることが多いです。そのため、ヨンミーの方がより風味が強くリッチな味わいを感じられ、サンミー同様、四つの味を楽しめることから“四味=ヨンミー”と名付けられています。

そして、2021年にはサンミーが誕生してから50年が経つことから、サンミー誕生50周年記念を祝って「ファイブミー」が発売されました。

“ファイブミーハッピーバースデー”という商品名で販売されたファイブミーは定番のクリーム+ケーキ生地+チョコレートにいちごジャムとスポンジケーキをさらに中に加え、名前の通りバースデーケーキをイメージさせる組み合わせとなっています。「50年だから5をキーワードにした商品にチャレンジしてみよう」という若手社員らの声をもとに5つの味を楽しめる商品となりました。

2020年には語呂合わせで3をサン、31をミイと読み、3月31日を「サンミーの日」として日本記念日協会の認定も受けています。途中から公式キャラクターの「ミーちゃん」が誕生したことなども踏まえて見ると、府県民だけでなく製造・販売している企業側からもサンミー愛が強いのが伝わりますね。

その後も、さらに限定サンミーの方向性を広め、生クリームを使った生地とクリームでより贅沢な食感や味わいを楽しめる「生サンミー」、ラム酒を染み込ませガーナ産やベルギー産のビターチョコなどを使った「大人だけの贅沢サンミー」、ミルクフランスとコラボした「ミルクフランスサンミー」、シナモン風味を感じるアップルパイの中身を詰め込んだ「アップルパイのナカミー」など関西色の強いクスッと笑える進化系サンミーが続々と販売されています。

サンミーはどこで購入出来るのか

限定商品なども含めるとこれまでに約70種類近いサンミーやヨンミーを製造・販売してきています。それほどまで人気が高く、気になる商品も多いサンミーですがどこで購入出来るのか気になるところですよね。

大阪や京都を中心とした関西圏では、スーパー・コンビニ・ドラッグストア・ホームセンター・駅など食品を扱っている身近な場所で購入出来ることが多いですが、基本的にサンミーは関西地域限定で販売しているため、まれに三重や愛知、静岡で販売されている以外は関西圏以外で購入することは出来ません。

ですが、近年は各地のご当地パンの人気の高さから流行にも取り入れられ、関東を中心に関西圏以外の地域でもご当地パンのフェアやポップアップ、アンテナショップなどで購入出来る機会は増えています。また、製造がYKベーキングカンパニーに代わり、神奈川や埼玉にも工場があるためなのか、たまに関東のイオンやイトーヨーカ堂などの大型スーパーでも取り扱っていることもあるため、定番のサンミーは関西圏以外でも出会える可能性が高いです。

しかし、限定サンミーやヨンミーは不定期発売であるため、人気の高さや販売する期間・地域が限定されていることもあり、関西圏だとしてもいつでもどこでも購入することが出来るわけではありません。期間や地域が重なっていれば、スーパーやコンビニなどで購入出来ますが、地域によっては大阪府内だとしても手に入らないことがあるそうです。そのため、絶対ではありませんが限定サンミーやヨンミーを関西圏以外で購入することは基本的には出来ないでしょう。

では、ネット販売はどうでしょうか。50年以上とロングセラーを続けるサンミーですが、現時点では公式オンラインショップだけでなくAmazonや楽天などでも取り扱いがないため、ネットで購入することが出来ません。さらに、今のところ今後もサンミーをネット販売する予定がないことから、残念ながらネットでは購入出来ないようです。ただし、サンミーの取扱いがあるスーパーの宅配エリア内であれば、関西圏以外に住んでいる人でもお取り寄せすることが可能な場合があります。

いずれにしても地域が限られているため、サンミーを確実に購入するには直接関西圏まで足を延ばした方がよさそうです。

販売当時の社長がアメリカで出会ったデニッシュに感動したことがきっかけで生まれたサンミーですが、その人気は衰えることなく、50年以上経った今でもソウルパンとして愛され続けています。関西圏以外に住む人からしたら馴染みの少なかったサンミーですが、どんな味がするのか興味が湧いたのではないでしょうか。旅行などで関西圏に訪れた時やたまたまサンミーを見かけた際にはぜひ購入してロングセラーとなっている美味しさや秘訣を直接味わって確かめてみて下さい。