スーパーフードのひとつでもあるチアシードは、ハリウッドセレブが愛用していることをきっかけに日本でも美容を意識している人が中心となって取り入れるなど長年話題になっています。栄養が豊富と聞く機会が多いチアシードですが、効率よく取り入れるにはどうしたらよいのでしょうか。今回は、チアシードの特徴や含まれている栄養と一緒に使い方などを紹介していきます。
チアシードとは
南米やオーストラリアを中心に栽培されているチアシードは、シソ科の一年草である「チア」という植物の種です。メキシコやグアテマラが原産国となり、ゴマのような見た目をしていますが実際はゴマよりも小さく1mmほどの大きさをしています。
無味無臭で水分を吸収する性質があり、水に浸けておくと水分を吸収してプルプルとしたゼリー状になるのが大きな特徴です。このゼリー状の成分は“グルコマンナン”と呼ばれる食物繊維の1種で、こんにゃくなどにも多く含まれています。そのため、腹持ちがよく満足感を得やすいことから食べすぎを防止しダイエットにも効果的と言われています。
チアシードには栄養が豊富に含まれており、今からはるか昔の紀元前3500年頃からすでにマヤ族やアステカ族にとってエネルギー源となる重要な食べ物として日常的に食べられていました。古代マヤ文明・アステカ文明では現在のとうもろこしと同じくらい身近で重要な作物として栽培されていた歴史があり、当時は食用以外にも薬としてや顔・体に塗る塗料として広く使われてきました。
とても小さい見た目からは想像出来ないほどの栄養価があることから、南米の民族の言葉で「チカラの種」という意味があり「水とチアシードがあれば人の生命を維持することが出来る」という言い伝えが生まれるほど力を持つ食べ物とされていたのです。
当時からエネルギー源などとして重宝されスーパーフードという立ち位置にあったチアシードでしたが、農地の破壊などにより栽培出来る地域が減っていき、最終的には南米大陸の中央のみでの栽培になってしまいました。
しかし、アメリカのNPO法人の活動をきっかけに1990年代にチアシードの大量生産に成功し、話題性や栄養価の高さなどからテレビでも取り上げられ、徐々に世界的にもチアシードの認知を広めていきました。日本でも2006年にダイエット効果や美肌効果について特集され、他のスーパーフードに比べると比較的早いうちから認知された食べ物でもあります。
チアシードの種類
チアシードは黒い見た目をしているのが印象的ですが、実は黒色のブラックチアシードと白色のホワイトチアシードの2種類があります。本来のチアシードは黒色をしているため、販売や使われているものも基本的には黒いブラックチアシードが多くなります。しかし、まれに白いものが混ざることがあり、この白い種類を選別し品種改良して栽培したものがホワイトチアシード(サルバチアシード)として販売されています。
ホワイトチアシードの方がブラックチアシードよりもいくつかの栄養価が高く吸収率も増えるのが特徴です。ブラックチアシードは水分を吸収すると10倍膨らむとされていますが、ホワイトチアシードは14倍も大きく膨らみ、色が白いことから水で戻した後も種子が目立ちにくいため使い勝手がよいのもメリットになります。見た目だけに限らず、腹持ちのよさや栄養価の高さからさまざまな効果をより多く摂取したい場合やよりダイエット効果を高めたい場合は、ホワイトチアシードを取り入れるのがおすすめです。
チアシードの持つ栄養と効果
では、一般的なブラックチアシードに含まれている栄養素について見ていきましょう。乾燥したブラックチアシード100gには次のような栄養素が含まれています。
主成分・ビタミン | ミネラル・脂肪酸 | 必須アミノ酸 | |||
カロリー | 446kcal | カリウム | 760mg | イソロイシン | 790mg |
たんぱく質 | 19.4g | カルシウム | 570mg | ロイシン | 1400mg |
脂質 | 33.9g | マグネシウム | 360mg | リシン(リジン) | 1,000mg |
炭水化物 | 34.5g | リン | 820mg | トレオニン | 830mg |
食物繊維 | 36.9g | 鉄 | 7.6mg | トリプトファン | 290mg |
ビタミンB1 | 0.97mg | 亜鉛 | 5.9mg | バリン | 1,000mg |
ビタミンB2 | 0.25mg | 銅 | 1.79mg | ヒスチジン | 620mg |
ナイアシン | 9.8mg | マンガン | 4.8mg | メチオニン | 640mg |
ビタミンB6 | 0.42mg | セレン | 11μg | フェニルアラニン | 1,100mg |
葉酸 | 84μg | モリブデン | 44μg | ||
ビオチン | 24μg | α-リノレン酸 | 19,000mg |
参考:カロリーSlism https://calorie.slism.jp/
チアシードには特にたんぱく質・食物繊維・カルシウム・α-リノレン酸が豊富に含まれています。これらの栄養素により期待出来る効果は
- 血流・血圧の改善による生活習慣病の予防
- ダイエット効果
- 便秘改善
- むくみ解消
- 貧血対策
- 骨や歯・筋肉を丈夫にする
- 腸内環境の改善
- 血糖値を低下
- 美肌効果 など
たんぱく質・必須アミノ酸・カルシウムなどのミネラル
チアシードには筋肉・細胞の維持や肌・髪を作るために必要なたんぱく質の含有量が他の植物と比べても群を抜いて多く、全体の約20%をたんぱく質が占めています。また、たんぱく質を構成するアミノ酸も多く含まれ、体内で合成することが出来ず食物から摂取する必要のある“必須アミノ酸”の9種類すべてがバランスよく含まれています。
さらに、不要な塩分を体外に排出しむくみを解消するカリウムや貧血予防につながる鉄分・銅・葉酸などさまざまな種類のミネラルも含まれています。中でもカルシウムが特に多く含まれており、実は100gあたりの含有量は乳製品以上とも言われています。たんぱく質の含有量も多いことから、ヴィーガンをはじめとした動物性たんぱく質を摂取しない人にもおすすめです。他にもマグネシウムやリンなどカルシウムと共に骨や歯の形成、神経の伝達、体温調整などのサポートをするミネラルも含まれているため、不眠の改善や疲れにくくさせる体づくりにも効果が期待出来ます。
α-リノレン酸
必須脂肪酸に含まれ、オメガ3脂肪酸のひとつでもあるα-リノレン酸もチアシードには豊富に含まれています。血の流れをよくし、血圧やコレステロール値を下げる作用があるため、血栓の予防や中性脂肪値を低下させ生活習慣病の予防に繋がります。また、体内に取り入れられるとEPAやDHAへと変換され、抗炎症作用なども期待することが出来ます。α-リノレン酸も体内で作ることが出来ないため、積極的に摂り入れたい栄養素の1つです。
食物繊維・グルコマンナン
チアシードにはグルコマンナンと呼ばれる食物繊維の1種も含まれていることから、全体の1/3を食物繊維が占めています。食物繊維は腸内環境を改善し便秘の予防や解消に繋がりますが、このグルコマンナンがさらに効果的な働きをしてくれるのです。
グルコマンナンは水分を吸収し膨張する特徴があり、消化酵素で消化されず膨張された状態で腸に届くため、腸内を優しく刺激し便のかさましをして排便を促す効果があります。この性質により少量でも満腹感を感じやすいことに加え、豊富に含まれているビタミンがエネルギーの代謝を促すため、特にダイエットや美容に効果を期待しやすくなります。さらに、食後の血糖値を下げる効果もあるため、糖尿病などの予防にも繋がりやすいです。
チアシードの摂取量と使い方
豊富な栄養素を含んでいるチアシードですが、1日にどれくらいの量を摂取したらよいのでしょうか。
チアシードの1日の摂取目安量としては“10g=大さじ1杯”です。水分を含むと10倍~14倍に膨らむため1日に大さじ1杯のチアシードを摂取すれば十分その効果を期待することが出来るでしょう。
しかし、ダイエットや美容によいからといって摂取しすぎるとカロリーが増えるだけでなく、消化しきれず消化不良を起こす・便秘や下痢を引き起こす・満腹感が続き他の食べ物から栄養が摂取出来ないなどのデメリットが出てしまいます。そのため、日常的に適切な量を摂取することが大切になります。
チアシードの食べ方
チアシードは水に浸さず、生の状態で食べることも出来ます。そのため、サラダのトッピングや和え物にそのまま使うことも出来ますが、乾燥した状態で摂取すると体内の水分で膨らみ、間違った量を摂取してしまうことで悪影響に繋がる可能性が高くなります。また、反対にしっかり水分を吸収出来なかった場合、満腹感を感じにくくなることもあるため、出来限り事前に水で戻してから使うのがよいでしょう。間違っても、乾燥したチアシードをそのまま直接口に入れることがないようにして下さい。
水で戻す場合は使うチアシードの量に対して、ブラックチアシードの場合10倍の水量、ホワイトチアシードの場合14倍の水量を用意し、約12時間浸しておきます。毎回戻すのが大変な場合は、冷蔵庫で2~3日保存することが出来るため少し多めに戻しておくのがおすすめです。
戻したチアシードはヨーグルトや飲み物に加えたり、サラダや料理にトッピングするのが使やすいです。ただし、チアシードに含まれるα-リノレン酸は加熱に弱く調理中に加えたり熱湯で戻すと効果が損なわれてしまうため、温かい料理に使う場合はお皿によそってから加えるのがよいでしょう。また、プルプルした食感があるためのどごしがよいですが、そのまま飲みこんでしまうと消化不良の原因にも繋がりやすくなります。噛むことで満腹度が上がる・効率よく栄養素を吸収出来る・食べ過ぎを防止するなどのメリットも出やすくなるため、しっかり噛んで食べるようにして下さい。
さらに、チアシードはシソ科の植物であることやごま・マスタードなどに含まれるたんぱく質と似た性質を持っていることから、シソ科の食べ物やごま・マスタードなどにアレルギーを持っている人にはアレルギー反応が出る可能性があります。また、α-リノレン酸は血行を促進させる働きがあるため、血栓対策や血圧など血液関係の薬を服用している場合は一度担当医師に相談してから取り入れるようにして下さい。
気を付けること・注意点のまとめ
- 事前に水で戻してから使う
- そのまま使う場合は量を注意する・すり潰して使う
- 乾燥した状態で直接口に含まない
- 加熱しない
- しっかり噛む
- アレルギー持ちの人・薬を服用している人は確認してから使う
これらのことに注意して使えば、ダイエットや美容を中心にさまざまなよい効果を期待することが出来ます。さらに、チアシードは無味無臭であるため、和食・洋食・デザート・飲み物などジャンル問わず使いやすく、スーパー・ドラッグストア・ディスカウントショップなど身近な場所で購入することが出来ます。基本的には食事にプラスするだけで大丈夫ですが、ダイエット効果や満腹感を期待したい場合、血糖値の上昇を抑えたい場合は食事の20~30分前にチアシードを取り入れると効率よく摂取することが出来ます。
戻すのに時間はかかりますが手軽に取り入れやすいスーパーフードであるため、チアシードを日常的に取り入れてのチアシードの持つ力をぜひ実感してみて下さい。
こちらではスーパーフードや他の種類について紹介しています。