ハワイの人気フードでもあるアサイーボウルは、見た目の鮮やかさに加え栄養を美味しく摂取出来ることから女性や健康志向の人を中心に人気があります。特にメインに使われているアサイーの持つ栄養や効果がすごいと言われていますが、そもそもアサイーとはどのような食べ物なのでしょうか。今回はアサイーに含まれている栄養やその効果、アサイーの食べ方などについて紹介していきます。
アサイーとは
ブルーベリーによく似た見た目のアサイーは、南米が原産の「アサイヤシ」というヤシ科の植物です。特にブラジルのアマゾン地域が主な生産地となっており、ヤシ科であるため成長すると大きいものは25mほどの高さになります。
直射日光と激しい雨が降るような厳しい環境で育つアサイーは1本の木に3~25本ほどの幹が生え、その幹の節からは果実を付けた房が垂れ下がるように実るため、見慣れた光景ではないもののその見た目はほうきのようにも見えます。
黒紫色の果実は直径が1~2cmほどと小さめでブルーベリーに比べると一回りほど大きいです。ブラジルでは7~12月が旬とされ、この時期に収穫されたアサイーは特に栄養価が高いとされています。ブルーベリーに似た見た目であるためベリーのような甘みや酸味のイメージを持ちますが、風味は異なり、甘味や酸味が少なく土っぽさを感じるようなほのかな渋みがあります。そのため、想像よりも主張しすぎず、他の食材の邪魔をしないのが特徴です。
アサイーはもともとアマゾンの先住民が貴重な栄養源として食べており、15世紀の大航海時代よりも前から食べられてきたとされています。栄養価の高さから“奇跡のフルーツ”とも言われていますが、実は果実のほとんどを種が占めているため、1粒あたりの可食部は5%ほどしかないのです。水分も少なく食べられる果肉も皮のような質感をしています。しかし、この少ない可食部にはたくさんの栄養素が詰め込まれていることから現代ではスーパーフードの1つとして認知され、多くの人に愛されています。
アサイーの栄養と効果
可食部が非常に少ないアサイーですが、どれくらいの栄養が含まれているのか気になりますよね。50gのアサイーとブルーベリーに含まれる栄養素で比べてみました。
アサイー | ブルーベリー | |
カロリー | 31kcal | 24kcal |
ビタミンA | 17μg | 2.5μg |
ビタミンE | 1.85mg | 0.85mg |
ビタミンK | 45.5μg | 7.5μg |
ビタミンB1 | 0.02mg | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.03mg | 0.02mg |
ナイアシン | 0.3mg | 0.1mg |
ビタミンB6 | 0.06mg | 0.03mg |
葉酸 | 6.5μg | 6μg |
ビオチン | 7μg | 0.55μg |
カリウム | 75mg | 35mg |
カルシウム | 22.5mg | 4mg |
マグネシウム | 10mg | 2.5mg |
鉄 | 0.25mg | 0.1mg |
亜鉛 | 0.15mg | 0.05mg |
銅 | 0.1mg | 0.02mg |
マンガン | 2.96mg | 0.13mg |
モリブデン | 1.5mg | 0.5μg |
食物繊維 | 2.35g | 1.65g |
参考:カロリーSlism https://calorie.slism.jp/
アサイーに含まれる栄養素はブルーベリーだけでなく他の食材と比べても、それぞれの含有量が非常に多いです。そのため、同じ量で比べた場合
ポリフェノール・アントシアニンは赤ワインの30倍、ブルーベリーの18倍
鉄分はプルーンの10倍、ほうれん草の4倍、レバーの3倍
カルシウムは牛乳の2倍以上
マグネシウムはブロッコリーの9倍
食物繊維はごぼうの6倍
ビタミンCはレモンの3倍
ビタミンEはかぼちゃの2倍
といった含有量の違いが分かっており、スーパーフードと言われるのが納得出来るほどさまざまな栄養素が何倍も多く含まれています。アサイーを摂取することで期待出来る効果は
- 美肌効果
- 老化予防
- 眼精疲労の解消・予防
- 腸内環境の改善
- 心臓病や糖尿病などの生活習慣病の予防
- ストレス軽減
- ダイエット効果
- 貧血予防
- 骨粗しょう症予防
- むくみ解消
などが挙げられます。中でも特にポリフェノール・鉄分が多く含まれているためこの2つがもたらす効果をより強く感じられる傾向があります。
ポリフェノール・アントシアニン
赤ワインやブルーベリー、お茶、チョコレートにも含まれているポリフェノールは抗酸化作用が強く、体内にある活性酸素を抑える働きがあります。増えすぎた活性酸素は、正常な細胞や組織を攻撃して体内を酸化させ、免疫機能の低下、シミ・しわなどといった身体のさまざまな老化の原因となります。さらに活性酸素は、動脈硬化やがんなどの生活習慣病にも繋がりやすくなりますが、ポリフェノールによりそれらを抑制し、酸化しにくい身体を作り老化防止やアンチエイジング効果を期待することが出来ます。
アサイーに含まれるポリフェノールはアントシアニンが主な成分となり、酸化の抑制や老化予防の他にも眼精疲労の予防・回復に繋がる働きや内臓脂肪の蓄積を抑える効果も期待出来ます。このアントシアニンがアサイー特有の紫色を生み出し、少ない甘みや酸味の中に感じるほのかな渋みの要因でもあるのです。また、ビタミンEも豊富に含まれているため、肌を紫外線や乾燥から守るといった働きが加わりより高い美肌効果を期待することが出来るでしょう。
鉄分
アサイーと言えば鉄分と言われるほど、鉄分も多く含まれています。鉄分は酸素を体内に運びヘモグロビンを作るのに必要な栄養素ですが、アサイーの果肉100gには鉄分が多いとされている生プルーン60個弱の鉄分が含まれており、月経や妊娠など鉄分を消費しやすい女性にとっては非常に嬉しい食べ物でもあります。
さらに、鉄分は汗で体外に排出しやすい特徴があり、不足すると体内が酸欠状態になって貧血を起こしやすくなります。そのため、女性だけでなくスポーツをする人にも積極的に取り入れてもらいたい栄養素になります。実際に、プロアスリートの中には貧血を防止するためにアサイーを積極的に取り入れている人もいるため、女性やスポーツ・ダイエットをして汗を流す機会が多い人にとってアサイーは効率的に鉄分を摂取することが出来る食べ物になるのです。
他にも、豊富なビタミン・ミネラルに加えて必須脂肪酸のα-リノレン酸(オメガ3)やオレイン酸(オメガ9)も含まれていることやカロリーが低く低GI食品でもあるため、血液をサラサラにする効果や急激な血糖値の上昇を抑える効果から脳卒中・心臓病・糖尿病などの生活習慣病を予防、ホルモンバランスを整えストレスを抑えるといった効果も期待することが出来ます。
アサイーの人気が出たきっかけ
栄養豊富なアサイーですが、実際は果肉が傷みやすく酸化して劣化するまでが非常に早いです。そのため、海外に輸出するとスーパーフードと呼ばれる豊富な栄養価が失われてしまうことから、少し前までは産地のブラジルでしか食べられてきませんでした。しかし、アメリカの企業がブラジルに大規模な工場を建設し、アサイーをピューレ状やパウダー状に加工・生産することで無農薬のアサイーを海外に輸出出来るようになりました。
さらに、本場のブラジルではアサイーボウルやスムージーはサーファーの間で支持する人が多く、その影響からハワイでもサーファーが集まる場所を中心にアサイーの人気が広まっていきました。ハワイは特に世界中からさまざまな人が訪れる観光都市であるため各国の芸能人やセレブも多く訪れます。そこでアサイーの美味しさや栄養の高さなどを知った著名人らがSNSなどを通じて紹介したことにより一気にアサイーの凄さや存在が世界中に広まったのです。
これをきっかけに、ハワイをイメージしたレストランやカフェでもアサイーボウルやスムージーなどの取扱いが増えて身近なものとなったため、原産のブラジルよりハワイの方がアサイーのイメージが強くなっています。日本でも2000年ごろから、健康や美容を意識する人の間で話題になり注目されたことから、現在はハワイをイメージするレストランやカフェ以外にも健康志向の飲食店などでも食べられる身近な食べ物となっています。それだけでなく、その人気の高さや話題性の高さからアサイーを使っている商品は各メーカーからも多く販売され、スーパー・コンビニ・ドラッグストア・ディスカウントショップ、さらには100均でも購入出来るほど身近になりつつあります。
アサイーの摂取量と食べ方
アサイーの1日の摂取量の目安は特に決められていませんが、食物繊維などが豊富に含まれているため、摂取しすぎると下痢・腹痛といった消化器系の不調を起こしやすくなります。そのため、十分な効果を体感するには1日に500mgまでを目安に摂取するのがよいとされています。また、肝機能が低下している人は豊富に含まれている鉄分によって肝機能障害を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
アサイー自体は甘みや酸味が少ないため、そのまま食べるよりも一般的にはジュースやスムージー、アサイーボウルなどとして楽しむことが多いです。すでに加工・調理済みの商品も多いため、その場合はそのまま飲む・食べるなどして手軽にアサイーを取り入れましょう。より手軽に取り入れたいという場合は、サプリのように摂取出来るカプセルタイプや持ち運び・保管がしやすいパウダータイプのアサイーを取り入れるのもよいです。
コストパフォーマンスや味の好みを重視する場合には、冷凍されているピューレ状のアサイーと好きなフルーツを使ってアサイーボウルを作るのもおすすめです。
アサイーボウルを作る場合、ピューレ状のアサイーを豆乳などで撹拌して作りますが、無調整のものだと豆乳感が強くなり食べにくくなってしまいます。慣れている人や味の好み、ダイエットなどを意識している場合は無調整でも大丈夫ですが、ハワイで販売されているような食べやすいアサイーボウルを作りたい場合は、アサイーと同量くらいの調整豆乳を使ってサラサラに近い状態で作った方が食べやすくなります。アーモンドミルクやオーツミルクを使っても美味しく作ることが出来るため、好みやどのような効果を期待するかによって使い分けてみて下さい。
ピューレ状やパウダータイプなど自分で加工するタイプのアサイーはネット販売や輸入食品を取り扱っているスーパーでの購入がメインになるため、商品化しているものよりは手に入れづらくなりますが、近年は大型スーパーなど取り扱っている店舗も増えているため、事前に確認しておくのもよいでしょう。
摂取するタイミングはいつでも大丈夫ですが、朝に取り入れると1日に必要な栄養を効率よく摂取出来ることやポリフェノールの紫外線対策効果が期待出来るためおすすめです。ですが、夜に摂取することで食物繊維の働きが便秘解消に繋がりやすくなるため、夜に取り入れるのもよいです。ただし、どのタイミングで食べたとしても、緑茶やコーヒーなどに含まれるタンニンがアサイーの鉄と結びついて鉄分の吸収を妨げてしまうため、同じタイミングやアサイーを食べてから30分~1時間はタンニンが含まれる飲み物を飲むのは避けて下さい。
海外の著名人がきっかけで世界中の話題となったアサイーは、栄養価の高さからプロのアスリートも取り入れるほど栄養が豊富に含まれています。少し特有の風味があるものの加工の仕方によっては美味しく取り入れやすいのもアサイーのよいところです。健康や美容にも非常に効果的な働きがあるため、取り入れやすい形から摂取して上手にアサイーを普段の生活に取り入れてみて下さい。
こちらではスーパーフードや他の種類について紹介しています。