紅茶 アッサムの産地と製法

産地と特徴

 紅茶の世界最大産地であるインドにはダージリンと並んでアッサムと呼ばれる紅茶が有名です。インドの北東部にあるアッサム地方は国内でも特に紅茶の生産が盛んであり、その量はインド全体の約半分にあたります。国内の消費量も1番多いのがアッサムです。
高温多湿で雨量も多いアッサム地方は紅茶を生産するには最適な土地や環境であり、収穫時期は3~11月になります。1番の旬は夏となり、ダージリンほどではありませんが収穫される時期により風味が変わるのもアッサムの良さになります。

茶葉の色としては赤みのある濃い焦げ茶色をしています。特に旬の夏に摘んだ“セカンドフラッシュ”は紅茶として入れた水色も赤みのある濃い褐色をしており、濃厚でコクのある味わいをしています。芳醇な香りと強い甘みも持つアッサムはストレートティーとして飲むよりもミルクティーとして飲むのが最適な紅茶です。

製法による違い

 アッサム地方で生産されている茶葉には大きく2種類あり、CTCと呼ばれる製法で作られた茶葉が全体の約90%を占めています。

もう1つの伝統的なオーソドックス製法と呼ばれる製法で作られた茶葉は、少量の上質な茶葉のみで作られているため高級品として世界に輸出されており、特に夏に取れたセカンドフラッシュは上級品として取り扱われています。

CTCとは製法のことで、CRUSH(つぶす)・TEAR(引き裂く)・CURL(丸める)という工程により作られた紅茶になります。この製法により作られた茶葉は小さい粒状の茶葉となり、その細かい茶葉によってエキスが抽出しやすくなっています。ティーバック用はもちろん、ミルクティーやインドでは主流のチャイとして濃厚で風味豊かな紅茶が手軽に味わえ、国内では多くの人に愛飲されています。

基本的にティーバックとなっているものは生産性も高いこのCTC製法で作られた茶葉が多いです。また、製造過程で茶葉がオーソドックス製法よりもしっかりと発酵させられるため、味わいや香り、渋み、苦みもしっかり残り濃いエキスが抽出されることがミルクティーに向いている理由の1つとなります。ですが、もちろんストレートでも飲める紅茶であるため、短い時間で抽出することによりアッサムの独特の香りを直接感じられるストレートティーを味わうことが出来ます。

ミルクティーが苦手な人やストレートティーを好んで飲む人にはアッサムの3~4月に摘まれるファーストフラッシュは香りがさわやかでありながら、コクや甘みを感じられアッサムの紅茶そのものを楽しむことが出来るためおすすめです。オードドックス製法で作られた茶葉もストレートティーとして飲むのに向いていますが、CTC製法で作られたものより希少なため、見かけた際には手に取って味の違いを比べてみてはいかがでしょうか。

おすすめのお菓子
濃厚でミルクを入れて飲むことも多いアッサムにはバターを使ったスコーンやクッキーなどの焼き菓子や生クリームを使ったケーキとの相性がとても良くおすすめです。

 インドのみならず、世界中でも多く愛飲されているアッサムですが、歴史背景もおもしろいのです。
当時まだイギリスの統治国にあった頃、紅茶の生産を独占していたのは中国でした。イギリスがなんとか他国の紅茶に頼らず茶葉を生産出来ないかと目をつけたのがアッサム地方だったのです。しかし、環境が中国産の茶樹を育てるには合わず苦戦していた時に、新種の茶樹を見つけ栽培に成功したという背景があります。と言っても、これはほんの触りだけで、アッサムと言う品種を確立・生産させ、主要な紅茶に育てるまでには多くの時間や試行錯誤が繰り返されています。とても興味深い内容になっていますので気になる人はぜひ、紅茶を飲みながらアッサム誕生の歴史を調べてみるのも楽しいですよ。