食卓塩と食塩の違い(成分、使い方、作り方)

日常的に使用している塩ですが、スーパーなどお店に行くと食塩と食卓塩の2種類が販売されており、どちらも同じ塩?それとも違う種類の塩?と思わる方もいるのではないでしょうか?今回は食塩と食卓塩の違いについて解説をしていきたいと思います。

食卓塩と食塩はどちらも精製塩

食塩と食卓塩もどちらも精製塩という分類をされ、共通することはどちらも海水を電気分解して作られるという点です。また、食卓塩、食塩ともに99%塩化ナトリウムで成分はほとんど変わりません。

塩の種類に関するより詳しい解説はこちら

精製塩とは

 ここで、食塩と食卓塩の違いをしっかり理解できるよう、精製塩についても解説をします。精製塩は海水を電気分解して作られます。電気分解という科学的な手法で精製されますが、途中で薬剤を入れたり、特殊な溶液を使用したりするわけではありません。マイナスとイオンしか通過しない膜と、プラスのイオンしか通過しない膜を使用して、濃い塩水抽出していくというようなイメージになります。この手法が確立したのは昭和47年頃とされており、そこから塩を安価に大量生産ができるようになったことから、国内での塩の流通量が拡大したとされています。
また精製塩は製造過程で海水中の微量なミネラルが失われるため、成分の99%以上が塩化ナトリウムとなり、塩辛く雑味が少ないことが特徴です。そのため、多くの家庭や料理で好まれ長く親しまれてきました。また大量の海水を1度に加工できることから最も安価になる塩の種類です。

食塩と食卓塩の違い

作り方の違い

食塩は海水をイオン膜立釜法という方法で製造されます。海水を電気分解することで濃い海水を作り、その濃い海水を蒸発させたものが食塩となります。海水を大きなプールに入れ、そこにプラスのイオンだけを通す膜と、マイナスのイオンだけを通す膜を交互に並べ、プールの両端から電気を通すことで、ナトリウムなどのプラスのイオンはマイナス側へ、塩化物などのマイナスのイオンはプラス側へ移動するため、その作用を利用して濃い海水と薄い海水を作ります。そこから濃い海水のみを集め、水蒸気の熱で水分を蒸発させ塩を取り出し乾燥させたものが食塩です。食塩はサラサラしている点も特徴です。

 また、イオン膜立釜法ではなく、溶解立釜法で製造された塩を食卓塩と呼びます。食卓塩は、主に海外で製造された天日塩を水に溶かした上で砂などの不純物を除き蒸発させ乾燥させます。食卓塩はそのままだと固まってしまうため塩化炭酸マグネシウムを加え固まらないようにします。食卓塩も同じく99%以上が塩化ナトリウムが主成分です。

成分の違い

食塩:塩化ナトリウム99%以上
食卓塩:塩化ナトリウム99.0%以上、塩基性炭酸マグネシウム(防腐剤)

作りかたの違いで説明したように、食塩は海水を電気分解し蒸発させ作られるため主成分の99%以上が塩化ナトリウムとなります。一方で食卓塩は防腐剤として炭酸マグネシウムを加えることから成分の一部に塩化炭酸マグネシウムが追加されます。また天日塩に水を加え濃い海水を取り出して作らることから、天日塩に含まれる微量なマグネシウムや、カリウム、カルシウムなどが含まれますが、かなり微量になるため味の差が生まれるほどの量ではありません。

使い方の違い

結論を先にお伝えすると食塩は料理に使用し、食卓塩は目玉焼きやサラダなどふりかけて食べる塩として使用する、というように分けることが一般的とされています。

 まず、食卓塩は固まることを防ぐためにに塩化炭酸マグネシウムを加えていることから固まりにくく、常にサラサラした状態を維持できるため、食卓に置いおきサッとかける際に非常に便利です、一方で塩化炭酸マグネシウムは水に溶けると水を白く濁らせる働きがあるため、お吸い物などにはあまり向いていません。

 食塩は元はサラサラしているのですが、湿気を吸って徐々に固まることもあります。そのためなにかにかけて使うという際に少し砕いたりする必要があり、そういう意味でもなにかにかけるという点では食卓塩のほうが向いています。一方で食塩は何らかの成分を添加しているものではないため、料理をする際に料理の色などに影響を及ぼさないことから料理には食塩が向いています。

 ただし、食卓塩は料理に使用してはいけないということではなく、あくまでそれぞれの特徴にあった使い方ということですから、食卓塩を料理用の塩といて利用しても全く問題はありません。シェフや料理人の方は食塩と食卓塩を明確に区分している方も多いようで、料理における塩と言われた際には食卓塩は向いていませんから、それ以外の塩を指していると思われます。

味の違い

食卓塩と食塩で、味についてはほとんど差はありません。成分を見ていただくとわかるように99%は塩化ナトリウムで同じ、その差はごくわずかです。シェフの方ですとその差があると言われる方もいますが、一般的に味だけで見分けることはかなり困難でしょう。ただし使い方のところで説明したように、水に溶かしたときに料理の見た目に影響がでます。見た目と味は関係ありませんが、やはり見た目の綺麗な料理のほうが美味しそうに見えるということから、直接的に味に差はないものの、適切に使い分けることが良いでしょう。

まとめ


・食塩、食卓塩は精製塩で塩化ナトリウムが99%以上含まれる点では共通
・作り方が異なり、海水を蒸発させたものが食塩、塩化炭酸マグネシウムを加えたものが食卓塩
・食塩は料理に、食卓塩はかけて使う
・食卓塩は塩化炭酸マグネシウムと微量のミネラルが含まれるがほとんどわからない量