玄米茶と二次加工品

 普段の生活で飲む機会の多い緑茶には種類がたくさんあります。その中でも特に独特の香ばしい香りと味が特徴の玄米茶というお茶があります。玄米茶は一度緑茶に製茶されたお茶を再度加工して作られているため“二次加工品(二次加工茶)”と呼ばれています。二次加工品には他にもほうじ茶や茎茶、粉末茶などが含まれます。ここでは、玄米茶やあまり知られていない茎茶などを中心に二次加工品についてご紹介します。

玄米茶の特徴

 玄米茶の1番の特徴は、緑茶やほうじ茶にはない特有の香ばしい香りと味わいになります。これは、煎茶や番茶などの茶葉と一緒に同じ量の焙煎させた米をブレンドして作られているためです。玄米茶という名称から使われている米は玄米と思われていますが、そのほとんどは精製された白米を使っています。種類としてはうるち米やもち米が多く、うるち米よりもち米の方がより甘みを感じられ、使われている白米によっても風味の違いが出てきます。基本的には白米ですが、商品によっては玄米を使っている場合もあります。

白米を水に浸した後、蒸してからキツネ色になるまで焙煎させ同量の茶葉とブレンドさせて作られています。米の焙煎方法は大きく分けると、熱した砂によって焙煎させている砂炒り焙煎、熱風を使って焙煎させる熱風焙煎、直火で焙煎する直火焙煎の3種類になりますが、品質が高く安全で生産量も多い熱風焙煎を使っていることが多いです。

同量の茶葉と焙煎させた米で作られている玄米茶は、通常の緑茶を飲む場合より茶葉の量が半分に減ります。そのため、カフェインの量も減り年齢問わず飲みやすいお茶として愛されています。香ばしい香りがしながらもすっきりとした味わいが玄米茶の人気の1つとなっており、日本独自で作られた個性豊かな玄米茶は国内だけでなく海外でも人気があります。

玄米茶は京都発祥のお茶であり、その歴史は比較的新しいです。昭和初期に正月で余った餅を砕いて炒り、お茶に入れたものが好評だったことから始まったという説が強いようです。

基本的には茶葉と焙煎した米の量が同量で作られていますが、そこに「花」と呼ばれるポップコーンのような見た目のもち米を爆ぜさせたものが入っている玄米茶もあります。他にも抹茶が加わった玄米茶や大豆・黒豆が入っているもの、煎茶ではなく茎茶を使って作られているもの、茶葉と焙煎した米の配合率を変えたものなど年々美味しさへの追求とともに玄米茶の種類は増えています。

二次加工品とは

 緑茶は摘んだ茶葉を蒸す・揉む・乾燥の工程を踏まえて出来た“荒茶”を仕上げ・加工して作られています。この荒茶を加熱した後、ふるい機などを使い茶葉の大きさや部位に分け、商品として販売出来るように製茶させていく作業を二次加工と呼びます。製茶された葉の部分は本茶と呼ばれ煎茶として販売されることが多く、それ以外の大きい葉や茎などの部分は出物と呼ばれ二次加工品として販売されることが多いです。出物は部位によってはそのままお茶を淹れるための茶葉として販売されたり、再度焙煎などの加工をしてほうじ茶などとして販売されています。ほうじ茶以外にも焙煎した米が加えられた玄米茶、さらに製茶されたてん茶の茶葉を粉末状に加工して作られている抹茶も二次加工品に含まれるのです。

一般的な緑茶のイメージとしては本茶となる葉の部分を使って作られた煎茶や玉露が多いと思います。ですが、それ以外の出物にも二次加工品として加工され販売されている部位が多くあります。その部位を特徴と一緒に見ていきましょう。

頭茶
仕分けによって残った、煎茶に使われる茶葉より大きい葉を使ったお茶です。頭や頭柳とも呼ばれており、葉が硬めなため成分が抽出されにくく、さっぱりした味わいを楽しめます。茶葉の質によっては細かくされて煎茶に混ぜられたり、加工されて番茶やほうじ茶として使われることもあります。

芽茶
新芽の先の柔らかい部分や葉の先を集めて作られた芽茶は、お茶のエキスが多く含まれているため水色も濃く、うま味や苦みも強く感じられます。濃厚で香りも強いのが特徴です。希少性の高いお茶のため、上質なものは価格も高めとなっています。

茎茶
茎の部分を集めて作られたお茶が茎茶です。新芽と枝を繋いでいる新芽の茎を使うことが多く棒状の見た目から棒茶とも呼ばれています。さわやかな香りと甘み渋みのバランスが良く、この茎茶を焙煎して作られているのが香りの高い茎ほうじ茶や棒ほうじ茶です。玉露などの高級なお茶の茎を使って作られている雁が音や白折も人気があります。

粉茶/粉末茶
粉茶は茶葉や茎を切った際に出た細かい部分が集められて作られたお茶です。粉末茶と間違えやすいですが別物であり、お湯で溶かすことは出来ず緑茶と同じように急須を使ってお茶を淹れます。しかし、細かい形状をしているため短時間でお茶を淹れることが出来ます。

粉茶に比べ粉末茶は石臼や微粉砕機などによってさらに細かくパウダー状に加工したお茶です。抹茶も粉末茶に含まれ、パウダー状になった茶葉をお湯で溶かして飲むことが出来るため、茶葉の持つ栄養素をそのまま取り入れることが出来ます。しかし、加工方法や地域によってはお茶として認識されていないものもあります。

葉っぱを使っているイメージの強いお茶ですが、実は茎や芽なども無駄なく使うことでたくさんの種類のお茶として私たちのもとへ届いています。どこの部位を使っているのか、どのような加工がされているのかによって風味も見た目も大きく変わってくるため、シチュエーションによって変えてみたり、飲んだことのない種類を飲んで緑茶の美味しさや奥深さを感じてみて下さい。