うどんの種類とご当地うどんの特徴

 日本各地にはスタンダードなうどんと一緒にその地で生まれた個性豊かなうどんが多く、地元の人を中心に親しまれています。スタンダードなうどんや日本5大うどんとも呼ばれているうどんの種類と一緒に各地のうどんを紹介していきます。

うどんの種類

 うどんを提供しているお店で扱いのあることが多いうどんの種類です。基本的にメニューによってうどんの細さや太さ、手打ちなのか乾麺なのかによる使い分けはなく、お店のこだわりによって違いがあります。スタンダードなうどんはお店だけではなく自宅でも作りやすく、アレンジもしやすいのが特徴です。

  • かけうどん:温かいつゆがたっぷり入ったシンプルなうどんです。トッピングする具材によって違うメニューになるのもかけうどんならではになります。
  • ざるうどん:茹でた麺を冷水でしめてさらに盛り付け、つゆにつけて食べる冷たいうどんです。
  • ぶっかけうどん:濃いめのつゆを少量かけて食べるうどんです。麺は冷たいものが多いイメージですがも温かいタイプもあります。
  • 釜揚げうどん:釜で茹でたうどんを水で絞めず濃いめのつゆにつけてそのまま食べるうどんになります。
  • 窯玉うどん:茹でたうどんを水で絞めずに水を切り、生卵と濃いめのつゆや醤油をからめて食べるうどんです。
  • 肉汁うどん:冷たいうどんを、肉やねぎなどの具材が入った温かいつけ汁につけてたべます。豚バラを使うことが多いですが、お店によっては鴨肉や肉が入らずきのこや野菜メインのものなどつけ汁の種類も多くあります。
  • カレーうどん:東京発祥のカレーがかかっているうどんです。愛知県では名古屋や豊橋で個性豊かなカレーうどんを提供しているお店が多くあります。
  • 煮込みうどん:肉や野菜などの具材をスープと一緒に煮込んだうどんであり、名古屋では八丁味噌を使った味噌煮込みう
          どんが有名です。
  • 焼きうどん:お店でというより自宅で作ることが多く、焼きそばのように具材と一緒に炒めて作ります。ソースや醤油で味付けをすることが多いですが、地方には味噌を使ったりホルモンを入れたりと個性的な焼うどんがあります。

日本5大うどん

地方のには麺をはじめスタンダードなうどんにはないつゆや具材が使われているうどんが多くあります。スタンダードなうどんと同じく、うどんの麺の種類としてはお店によって使い分けされていることが多いですが、見た目などに特徴を持つうどんを使っているお店は多くなります。

讃岐うどん/香川

 うどんの中でも特に有名な讃岐うどんは、うどん県としても有名な香川のうどんであり、もちもちした食感のコシの強さが1番の特徴です。これは生地の加水量が普通のうどんに比べると多く、小麦粉に対して40%以上、塩は3%以上にもなることがコシの強さへ繋がります。また、生地ををこねた後の熟成させる時間も長いことと、昔から行われている足踏みという製法を取り入れているのも大きな特徴となります。柔らかくもつるっとしたのどごしといりこ出汁が讃岐うどんの魅力でもあり、香川県内で製造していないと讃岐うどんと呼ぶことが出来ません。

稲庭うどん/秋田

 秋田の南部にある稲庭で生まれた伝統的な製法で作られている手延べうどんです。一般的なうどんに比べると細く平べったいのが特徴で、つるつるっとしたなめらかな食感を楽しむことが出来ます。綾掛けと呼ばれる手延べの技法を使うことでうどんがより細く引き延ばされ、稲庭特有ののどごしの良い食感とコシが生まれます。全国的にも人気のある稲庭うどんは乾麺のタイプの方が多く扱われていますが、地元やアンテナショップでは半乾麺での扱いもあります。

水沢うどん/群馬

 約400年もの歴史がありこだわった小麦や水、塩を使って作られた水沢うどんは、艶があり白く透き通ったようなやや太めの麺を冷たいざるうどんとして食べるのが一般的です。つゆは醤油やごまなどお店によって違うのも特徴の1つです。群馬には他にも幅の広い麺を野菜と一緒に煮込んだおっきりこみや、厚さが1㎜と薄く幅が1.5~10cmまで種類の多い麺をつけ汁をつけて食べるひもかわうどんなど幅の広めのうどんが有名です。

氷見(ひみ)うどん/富山

 手延べ製法で作られていることが多い氷見うどんは、足踏みという生地を踏む手打ちうどんに使われる工程が入ります。平たく細い麺が多く作られていますが太い麺のものも作られています。手延べと手打ちのいい点が入った氷見うどんは細い太い関係なく粘り・コシが強く、餅のような食感を感じることが出来ます。冷たくも温かくも美味しく食べられる氷見うどんですが、細いうどんはざるで煮崩れのしにくい太いうどんは煮込みに使うのがおすすめです。

五島うどん/長崎

 五島手延べとも呼ばれ、手延べ特有の麺を伸ばす工程で椿油を塗るのが特徴です。五島うどんは一般的なうどんに比べると細く断面も丸いです。熟成と伸ばしを重ねて乾燥させた麺は細くもコシがありのどごしが良いのも特徴となり、もちっとした食感も楽しめます。九州では馴染みのあるあごと呼ばれているトビウオを焼いた焼きあごを使っただしは上品でありながらもコシがあり、五島うどんとの相性がとても良いです。

日本5大うどん以外の各地のうどん

北海道/豪雪うどん
北海道で有名なのが小麦と一緒にじゃがいものでんぷんを混ぜて作られている豪雪うどんです。じゃがいものでんぷんが入ることにより独特の食感が生まれ、プルプルでつるっとした食感ともちもちした食感を楽しむことが出来ます。茹でると透明感と光沢のある麺が特徴であり、でんぷんが含まれているため伸びにくく、冷たいうどんから釜揚げや煮込みまで調理も幅広く対応出来ます。

栃木/耳うどん
細長い形のうどんとは違い、折り畳んだような形の耳うどんはその名の通り”耳の形”のように見えることからその名前がついています。関東風の濃いめの醤油ベースのつゆに鶏肉やきのこ、野菜などと一緒に煮て作られており、すいとんにも似たような食感の耳うどんは栃木県佐野市で縁起の良いうどんとして正月に食べられることが多いです。

東京/武蔵野うどん
武蔵野うどんは非常にコシが強く、普通の麺より太めです。加水率が低く、茶色い麺が特徴でざるうどんを醤油ベースの肉や野菜の入った暖かいつけ汁につけて食べるのが主流になります。この麺が茶色い理由としては地粉と呼ばれる武蔵野で栽培された小麦を全粒粉で製粉し、一般的な小麦粉とブレンドして作られていることが多いためです。

愛知/ガマゴリうどん
愛知では味噌煮込みうどんやカレーうどん、きしめんが有名で注目されがちですが、わかめと産地として有名な三河湾で獲れたあさりがたっぷり入ったガマゴリうどんも人気があります。つゆにはあさりから取れる貝のうま味が詰まっており、柔らかめの麺との相性が抜群のさっぱりしたうどんです。あさりやわかめの他にお店によってかまぼこや三つ葉などが入っています。

三重/伊勢うどん
見た目にインパクトがある伊勢うどんはなんといっても太い麺とたまり醤油を使った濃い色のタレを少量かけて食べるのが特徴です。通常の麺より2倍~3倍近くも太いうどんは茹でる時間がとても長く、コシがなくなるほど茹でた麺は柔らかくもちもちしています。いりことたまり醤油で作ったタレは色が濃いため味も濃く思われがちですが、甘みを感じるあっさりとした味わいをしており、柔らかく温かい麺との相性が抜群です。

和歌山/梅うどん
一般的なうどんの具として梅が乗っているわけではなく、完熟した紀州南高梅を生地に練り込んだピンクの見た目が特徴のうどんです。梅の香りが広がりなめらかなのどごしを楽しむことが出来ます。店舗によってはつゆにも梅を使っており、梅好きや暑い夏にはたまらないうどんです。ミョウガや青紫蘇、ねぎなどの香味野菜を乗せて食べるのも美味しいですが、トマトや大根おろしなどとも相性が良く、お店によって具やトッピングの種類が多いのも特徴になります。

岡山/しのうどん・倉敷ぶっかけうどん
岡山倉敷の伝統的な郷土料理でもあるしのうどんは麺の幅が2㎝と太く、1m以上の長さがあるのが特徴です。コシがしっかりしており食べ応えも満点で、だしもかつおや鶏、焼きうどんなどお店によって様々な種類があるのも特徴になります。倉敷には他にも茹でたうどんに薬味や具、少量のだし汁をかけた倉敷ぶっかけうどんが有名であり、他のうどんより濃いめの味付と具が多いのが特徴です。麺・汁ともに温冷とあり、具やトッピングの種類を加えたらさまざまなバリエーションがあるのも倉敷ぶっかけうどんの良さです。

うどんはスタンダードなメニューでも、暖かいかけうどんや冷たいざるだけでなく、ぶっかけや釜あげ、カレーうどん、焼うどんなどたくさんの種類があり、レシピやアレンジも多いです。それに加えて地方よっては、さらに特徴の強いうどんが数えきれないほどあります。自宅やチェーン店などで手軽に食べることも、旅行に行った際にその土地でしか味わえないうどんに出会うことも出来るうどんには魅力的な特徴ばかりです。好きなうどんを探してのどごしや味わいの違いを感じてみて下さい。きっと好みのうどんに出会えるはずです。