砂糖とグラニュー糖の違い

砂糖には、種類がたくさんあり、味や香り、特徴などそれぞれ違います。その中でも上白糖とグラニュー糖は特に名前を聞く機会が多く、売り場でも並んで置いていることが多いです。どちらも似たような白い見た目をしていますが、それぞれどのような特徴があり何が違うのだろうかと疑問に思ったことはありませんか?今回はこの2つの砂糖の特徴や違いについて紹介していきます。また度々聞く、グラニュー糖は健康によくないのではないかということについても紹介していきます。

砂糖とグラニュー糖との違い

後ほど詳しく解説をしますが、砂糖とグラニュー糖の違いは粒の大きさによる違いです。ただ、ここで言う砂糖は最もよく見かける上白糖のことを指しており、正確には上白糖とグラニュー糖の違いというお話です。

砂糖は作り方、原料により複数の種類に分類されます。上白糖とグラニュー糖どちらも精製糖と呼ばれるカテゴリに分類されており、精製糖はさらに、車糖と双目糖の2種類に分かれます。上白糖は車糖に分類され、グラニュー糖は双目糖に分類されます。

そのため、砂糖とグラニュー糖の違いは?とよく聞かれますが、グラニュー糖は砂糖の中に含まれる種類の1つで、砂糖はそれらの総称です。一般的に上白糖の流通量が最も多いことから砂糖は上白糖を指すことが多いですが、海外ではグラニュー糖の流通量のほうが多く、海外では砂糖はグラニュー糖を指すことが多いです。
それでは上白糖とグラニュー糖の違いについてもう少し詳しく解説します。

上白糖

上白糖は日本で最も流通している砂糖で、スーパーなどで砂糖として販売されていることが多く、一般的に砂糖といえばこの上白糖を指すケースが多いです。上白糖は取り出した結晶を細かくし、砂糖同士がくっつかないようビスコという糖液を表面にコーティングしています。ここが上白糖とグラニュー糖の大きな違いとなります。きめが細かくしっとりしており、ソフトな口当たりですが甘味が強くコクもあるのが特徴です。


日本では1番生産も使用も多い砂糖で料理に最適ですが、お菓子、飲み物などジャンル問わず幅広く使うことも出来るオールマイティな砂糖です。上白糖を使うとしっとりした仕上がりになるため、カステラや和菓子などにも使われることが多く、また焼き色もつきやすいため、焼き菓子などに使うとこんがりした見た目に仕上げることが出来ます。しかし、量が多いと甘すぎたりベタつく場合があるため使う量には注意が必要です。

グラニュー糖

上白糖のように取り出した結晶にコーティングなどの加工をしていないため、純度がとても高い砂糖になります。上白糖よりは結晶が大きくさらさらしており、さっぱりとした癖のない甘さが特徴です。実は世界で1番使われている砂糖であり、他の国で砂糖と言えばだいたいはグラニュー糖のことになります。グラニュー糖も何にでも使うことが出来ますが、溶けやすいため飲み物に使ったりさっぱりした甘さやダマになりにくいことからお菓子に使うことが多いです。

生クリームやメレンゲを作る際に、うまくいかない場合はグラニュー糖を試すとよいとされています。どちらも万能で料理やお菓子など同じように使うことが出来ますが、それぞれの特徴を活かして上手に使い分けるとより料理やお菓子の仕上がりに違いが出るでしょう。

先ほど海外では砂糖と一般的にグラニュー糖であると説明しました。その理由はヨーロッパにあります。ヨーロッパは緯度が高く、サトウキビの生産には向いておらず寒い地域でも育つ砂糖の原料、ビート(てんさい)が主体となっていました。そのためヨーロッパではてんさいを原料としたグラニュー糖が中心となり、世界に展開していたったのです。一方日本では上白糖の他にも黒糖、赤糖、きび糖など海外と比べても砂糖の種類が豊富と言われています。

 上白糖グラニュー糖
粒(結晶)の大きさ小さい 0.1~0.2㎜大きい 0.2~0.7㎜
質感しっとりさらさら
甘さしっかりとした甘みさっぱりとした甘み
特徴万能・コクがあるダマになりにくい・クセがない
焼き色つきやすいつきにくい
おすすめの使い方・日本人好みの味付け
・料理全般 ・ケーキやカステラなどしっとり
したお菓子
・焼き色を付ける焼き菓子など
・コーヒーなどの飲み物
・ビスケットやタルトなど軽い口当たりにしたい
お菓子
・きめ細かい生クリームなど
大さじ1 重さ/カロリー9g/35kcal12g/47kcal

グラニュー糖は健康によくないのか

実は検索するとグラニュー糖だけでなく上白糖も「体によくない・健康によくない」のようなワードが出てきます。結論から言うと、体に毒があるわけではありませんが、摂取しすぎると肥満や糖尿病などに繋がる、ビタミンB群が不足し胃腸に負担がかかる、消化や吸収が早いため消耗も早く血糖値の上下が激しくなる、砂糖を消化するための栄養素が不足しイライラする、気分の浮き沈みが激しくなる、体が冷えるなどの影響が出ます。

砂糖の主原料となっているサトウキビは主成分が人間の体に必要なぶどう糖で作られており、他にもビタミンやカルシウム、マグネシウム、カリウムなどの栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素により腸内環境を整え便秘解消に繋がる、代謝を助ける、余分な塩分を体外に出しむくみの予防・解消などさまざまな効果が期待出来るのです。

しかし、上白糖やグラニュー糖をはじめとした分蜜糖は精製して作られ、製造工程の最中にミネラルなどの栄養素はほとんど取り除かれてしまいます。出来上がった分蜜糖には栄養成分がほとんど残っていません。そのため、栄養素がほとんどなく、摂取しすぎるとなんらか健康の影響の出る成分が多いため、健康によくないと言われてしまうことがあります。砂糖に限った話ではありませんが、何事も過剰摂取はよくないということです。

砂糖の摂取量は1日50g程度が推奨とされていますが、健康状態をよりよく維持しするためには25gが目安とされています。現在日本人の砂糖摂取量は令和元年の調査で44gとなっています。日本人砂糖摂取量はかなり減ってきているものの、目安とされる量まではまだ多く、日常的に意識をしていかないとすぐに過剰となってしまう水準です。そのため知らず知らずのうちに過剰摂取となり、なんらかの体調不調を訴える人がいることで、グラニュー糖は危険という認知がされてしまったのかもしれません。

反対に精製されずサトウキビの搾り汁を煮詰めて作られる分蜜糖にはミネラルやビタミンが多く含まれるため、同じように使うのであれば圧倒的に分蜜糖の方が体や健康には良いです。特に黒砂糖には多くの栄養素が含まれており、黒砂糖100gに対してカルシウム240㎎、カリウム1,100㎎、ナトリウム27㎎、マグネシウム・リン31㎎などとても豊富です。サトウキビ程ではありませんが、てん菜から作られるてん菜含蜜糖も栄養素が豊富でサトウキビには含まれていないオリゴ糖も含まれています。しかし、含蜜糖は生産量も少ないため価格も高めな上に、香りや味に癖があるものも多いです。使う料理やお菓子によっては苦みやえぐみなどを感じてしまう場合もあるため、砂糖はどの種類をどのようにどれくらい使うかということの方が重要です。

上白糖やグラニュー糖が絶対ダメというわけでもありませんが、少しでも多くの食材から栄養素を取り入れたい、なるべく体に負担がかからないものを使いたいのであれば黒砂糖などの分蜜糖を使う方が良いです。同時に自分の好みや必要・状況に応じて選択し適量を守って使うように心がけることも大切になります。

白砂糖は危険なのか?ということについての解説はこちら

おまけ:含蜜糖とは

砂糖は、サトウキビやてん菜などの原材料から取り出した搾り汁を結晶化させたもので、作り方や原料によって種類が分かれます。一般的な砂糖のイメージが強い白い見た目の“上白糖”や“グラニュー糖”は「分蜜糖」という種類に含まれており、砂糖は製法によって大きく分けると「含蜜糖」と「分蜜糖」の2つの種類に分けられています。

砂糖の種類についてのより詳しい解説はこちら

原材料から取り出した搾り汁を煮詰めて作られた砂糖を含蜜糖と呼び、原材料に含まれるミネラルがそのまま砂糖にも含まれています。黒砂糖やきび砂糖、てんさい糖、メープルシロップなどが含蜜糖に分類されます。