ラーメンの歴史、日本に伝わるまで

ラーメンの組み合わせ

 日本の国民食でもあるラーメンは“麺・出汁・タレ・脂(油)・具”の5つで出来ています。このシンプルな5つの組み合わせでラーメンは出来ていますが、麺や具材の種類だけではなく、スープとなるタレをどの種類の出汁で割るのかによって多彩な種類が生まれ、その組み合わせは数えきれないほどあります。


基本的にラーメンの麺は、小麦粉にかんすいと呼ばれるアルカリ性の食品添加物を入れて作られています。かんすいが入ることにより、中華麺らしい風味やコシを作ることが出来、細さや麺の形状によって様々な種類の中華麺となります。
麺の太さは極細・細・中細・中太・太・極太があり、切刃番手と呼ばれるJIS規格(日本工業規格)によって番手が決められています。幅30㎜の帯状の生地から何本の麺にするかによって番手が変わり、太いものから1・2・3番手となり数字が大きくなるほど細くなります。1番細いものだと30番手まであり、ラーメンだけではなく、うどんやそばなどにも該当しています。お店によりますがラーメンは18・20・22・24・26・28の番手が使われていることが多いです。

麺の種類や製法としては、波状のちぢれ麺やストレート麺、きしめんのような平打ち麺があり自家製で作っているのか仕入かによっても変わってきます。基本的にラーメンの麺は断面が正方形や長方形の四角になっているものが多いですが、中にはパスタのように丸いものもあります。他にも、水分率の多さや卵を使っているかいないか、生麺か乾麺かなどの違いもあります。近年では健康志向などにより全粒粉やグルテンフリーの麺も増えてきています。

スープ
ラーメンの味の決め手となるスープはタレと出汁の種類の組み合わせによって作られています。タレは各調味料に香辛料や素材などを混ぜて作られており、醤油・塩・味噌のタレが一般的です。そのままラーメンの名前にもなっていることが多いです。

出汁は素材を煮込んで作られていますが使われている素材はいくつかあり、豚骨や鶏ガラなどの動物素材、昆布・煮干し・エビなどの海鮮素材、さらに長ネギや生姜、にんにくをはじめとした野菜素材をお店ごとに組み合わせて作られています。また、素材の煮込み具合で出汁は大きく分けると乳白色の「白湯(ぱいたん)出汁」と透明感の強い「清湯(ちんたお)出汁」の2種類に分かれます。

強火で長時間煮込んで作られる白湯は動物系の骨を使うことが多いため、濃厚な風味を感じやすく、とんこつスープに使うことが多いです。沸騰させないように煮込むことで濁りのない澄んだ出汁となる清湯は様々な素材から出汁を取ることが多く、うま味が強いすっきりとした味わいで醤油や塩ラーメンのスープに使うことが多いです。

さらにお店やラーメンによっては、出来上がったスープにネギ油やマー油などの香味油、ラー油、ラードなどの油脂を加えコクや深みなどを出しています。近年では風味やうま味の強い鶏湯やエビ油も人気があります。


一般的にはチャーシュー・ねぎ・味付たまご・メンマ・海苔が具材として使われることが多いです。さらに、もやしや青菜などの野菜、わかめ、なるとも昔から使われていることが多いですが、お店によってその種類や数は違ってきます。

ラーメンの見た目などとして扱われがちな具材は、臭みを消す役割や風味を手助けする役割など実は気づかないところでサポートしてくれており、ラーメンの味わいを豊かにしてくれています。地方によっては特産物を具材として使うなどラーメンの特徴にもつながるため、麺やスープと同じようにこだわって選んでいるお店も多いです。また、チャーシューも豚以外に鶏や鴨を使っていたり、エビやホタテなど海鮮系を入れることにより定番のラーメンとは一味違った味わいを出すことが出来、具材として使っているお店も増えています。

ラーメンの歴史 どのように日本に広がったのか?

 いまでは男女問わず子供から大人まで、さらに国内だけではなく海外でも人気が高い日本のラーメンですが、もともと中国の料理だったラーメンがどのように日本に浸透していったのかご存じですか?

諸説あると言われていますが、江戸時代末期(1800年代後期頃)に開港し、函館・横浜・神戸・長崎に外国人が移り住んだことがきっかけで日本に入ってきたというのが有力とされています。実は1400年代後期にはすでに日本に現在のラーメンの形に近い経帯麺という食べ物は存在していたようです。さらに、1697年に水戸黄門で有名な水戸光圀が接待において、日本人で初めて中華麺を食べたとされています。しかし、庶民までには広がらず、1910年に日本で初めて浅草にラーメンを出すお店が出来たことがきっかけで日本各地に広がっていきます。戦前までは醤油が定番でしたが、戦後各地でラーメンの人気が高まったことにより味噌やとんこつが生まれ、さらには1900年代終わりに創作ラーメンブームが起こったことにより、様々な組み合わせによるラーメンが生まれ現在に至るまでに多彩で個性豊かなラーメンがたくさん生まれました。

日本で親しまれているラーメンはもともと中国人が日本人向けに改良して作ったものを独自に進化させていったものです。そのため、本場中国のラーメンは普段食べているラーメンとは少し違います。ラーメンというジャンルはなく麺類の1つとして扱われており、麺は細いものから太いものまであります。日本と違いかんすいを使わないため柔らかいのが特徴です。スープより具材の方を主軸に考えているのも本場ならではになります。日式拉麺として区別されているため、本場のラーメンを食べて味や麺の違いを比べてみるのも面白いかもしれません。

ラーメンと支那そばの違い

 お店によってはラーメンではなく「支那そば」や「中華そば」と書いてあり、どんな違いがあるのだろうかと考えたことはありませんか?
結論から言うと全て同じものになります。支那そば、中華そば以外にも南京そばとも呼ばれ、いずれも中国のことを表しており、時系列によって名前が変化していきました。順番としては南京→支那→中華、その後昭和中期頃に誕生したカタカナ表記のラーメンが浸透し、現在はラーメンと名乗るお店が多いのです。そのため、支那や中華と呼ばれていた時代に作られたお店にはその名がついていることが多く、そのまま残っているお店もあるため呼び方がいくつも存在しています。

慣れ親しんでいるラーメンは、本場の中国人が食べやすいように日本人向けに作り、そこから様々な人が改良を重ねて現在のラーメンの形へと進化しています。新商品や新店舗も増え続けているラーメンですが、日本で初めてラーメンを作ったお店など老舗のお店にも立ち寄ってぜひ昔ながらのラーメンも味わってみてもらいたいです。