そうめんの美味しい茹で方

夏に近づき暑い日が続くと食べたくなるそうめん。冷たくつるっとしているため食欲が落ちているときにも食べやすいだけでなく、薬味や他の食材と合わせるアレンジの種類も増えています。

そんなそうめんですが、ゆでた後時間が経つとくっついてしまうのが難点ですよね。今回は、基本のゆで方や美味しくゆでるためのコツ、くっつかないようにするためのゆでた後の処理などについて紹介していきます。

そうめんの茹で方

はじめに基本的な茹で方を紹介します。

一人前100g(2束)の場合、お湯1リットルを目安にして下さい。

1.大きめの鍋にたっぷり水を入れ沸騰させます。沸騰したら束のままではなくパラパラと散らしながら麺を入れ、菜箸などでくっつかないように混ぜます。

2.ゆで時間は1分30秒~2分を目安に沸騰するまで強火でゆでます。途中で沸騰した場合は吹きこぼれないように火加減を調整して下さい。軽く箸が透けて見えるくらいに麺が透明になったらしっかりゆであがっている証拠です。ゆで時間はあくまで目安であるため、麺の状態によって時間も調整して下さい。

3.ゆであがった麺はザルに移して水で粗熱を取っていきます。この時に水を流しながらよく揉み洗いすることで麺についている塩分とぬめりが取り除かれ美味しく仕上がります。

これは冷やしそうめんとして食べる場合のゆで時間ですが、にゅうめんのように温かいつゆをかけて食べる場合や炒めるなどの調理をその後にする場合はゆで時間を1分~1分30秒に短くしてゆでるのがおすすめです。

上記の基本的なゆで方のコツとしては

  • たっぷりのお湯を用意する
  • 強火でゆでる
  • 差し水をしない
  • 2~3回水で洗う

吹きこぼれそうになった時“差し水”をすることがありますが麺に火が十分通らなくなってしまうため、出来るだけ沸騰した状態を維持することが美味しくゆでる1番のコツになります。

また、はじめに用意するお湯が少ないと火が通りにくくなる原因となります。目安はそうめん100gに対して1リットルですが、200gに対しては2リットルではなく2.5リットルが理想的な割合とも言われており、量が増えると家庭にあるような小さめの鍋ではどうしても麺が動きにくく火が通りづらくなってしまいます。これが原因で麺同士もくっつきやすくもなるため、1回にゆでる量を増やす場合は水の量も増やしてゆでるのもコツとなります。

しかし、家庭にある鍋が小さすぎてどうしても吹きこぼれてしまう場合や水の量を増やせない場合はフライパンを使うことで問題を解消することが出来ます。フライパンは通常の鍋より口が広いため吹きこぼれにくいです。また、フライパンに深さがある場合、水の量も多く入れられることが多いため、鍋で上手くゆでることが出来ない場合はフライパンを代わりに使ってみて下さい。

そうめんはゆでるとぬめりが出るため2~3回水で洗い流しぬめりを取るのが大切です。そうめんやうどん、そばなどの麺類はコシを出すために氷水で洗い表面にあるデンプンや油分を落として余熱を取り除いていることが多いです。もちろん氷水で洗うことは問題ではありませんが、そうめんは麺が細いため氷水ほど冷たい水で洗ってしまうと麺自体が冷えすぎて本来持っている小麦の香りや味が感じられなくなってしまいます。そのため、水道水くらいの冷たすぎない水温で洗うのもおすすめです。麺ではなくつゆを冷やして食べることで冷たさを補うことは出来るため小麦の風味をしっかり味わい場合には水道水、冷えたコシの強いそうめんが好きな場合は氷水で洗うなど好みで洗う水の温度も変えてみて下さい。

そうめんを美味しくゆでるコツ

基本のゆで方でもいくつかのポイントを押さえればとっても美味しいそうめんが食べられます。そうめんを販売しているメーカーも推奨していることが多いゆで方ですが、他にもそうめんを美味しくゆでられる方法とコツがあるため紹介していきます。

その1:酢・梅干しを入れてゆでる

ゆでる時に1リットルの水に対して“お酢大さじ2杯または梅干し1つ”を入れます。入れるタイミングは最初からではなく沸騰する直前で大丈夫です。あとは1分30秒を目安にゆでるだけです。

ゆでる時に酢や梅干しを入れることでお湯が通常より酸性に寄ります。酸性に寄るとそうめんに含まれる小麦粉がゆでている最中に流出しにくくなり味が引き締まり美味しく感じられるのです。小麦が流出しにくい分、麺に含まれている塩分も流出しにくくなるため塩気を感じるだけでなく麺同士がくっつきづらくなります。そのため、普通にゆでても塩味を感じやすい高級なそうめんより低価格で販売しているそうめんをゆでる時に使うとその効果をより実感しやすく安いそうめんでも美味しく食べることが出来ます。

その2:ゆでない

そうめんはゆでた後にくっついて食べづらくなってしまうのが難点ですが、これは小麦粉の持つでんぷんによるぬめりが原因です。先ほどもお伝えしたようにゆでた後にしっかりぬめりを取るのが重要になりますが、そもそもぬめりを出しにくくさせる方法があります。それが“ゆでない”です。ゆでないと言ってもまったくゆでない訳ではなく途中で火を止めて必要以上にゆでない方法となります。その方法としては

1.沸騰したお湯にそうめんを入れ軽く菜箸で混ぜた後、再沸騰したら蓋をして火を止めます。

2.5分放置したら流水でぬめりを取り氷水でしめながらさらにぬめりを取る

再沸騰後に火を止めてしまうことで通常よりでんぷんが流出するのを抑えくっつきにくくなります。この方法でゆでたそうめんは1時間たってもくっつきづらく、一部くっついていたとしても箸で簡単にほぐれてしまいます。少し麺が柔らかめに仕上がりますが、くっつきづらくしたい場合やにゅうめんなど柔らかめのそうめんが好きな人にはおすすめな方法です。

その3:ゆで時間を最小限にする

料理研究家として活動しているリュウジさんが紹介している方法になりますが、そうめんの固ゆでの限界でもある45秒だけゆでるという方法です。沸騰させたお湯でそうめんを45秒ゆでた後、流水でしっかり洗い氷水で1分間浸けるのがポイントです。この方法だと今までとはまったく違った歯ごたえのある食感を楽しむことが出来とても美味しいと評判ですが、時短に繋がる上に麺同士がくっつきづらいことも相まって大きな利点となっています。

リュウジさんのYou Tubeでもゆで方と一緒に美味しいつゆの作り方も分かりやすく動画で投稿されているので、ぜひ興味のある人は動画の方もチェックしてみて下さい。試してみて損はない美味しさですよ。

実はおすすめしない方法

そうめんを茹でた後、氷水の中にそうめんを入れて食べることがあります。この方法ではくっつきにくく冷たさを維持することは出来ますが、必要以上にそうめんが水分を吸ってしまいのどごしが悪くなってしまいます。また、小麦の風味も損なわれてしまうため、そうめんのコシを楽しみたい場合はあまりおすすめしない方法となります。

そうめんをゆでた後の処理

そうめんはゆで方を変えるだけでくっつきづらくなりますが、基本のゆで方でゆでた場合やお弁当など時間が経ってから食べる場合でもひと手間加えればくっつきづらくする方法があります。

しっかり揉み洗いしてぬめりを取り除いた後、オリーブオイルやごま油などの油を少量加え全体に馴染ませるだけです。ゆでる時に沸騰したお湯に油をひと回しほど入れておくだけでも違います。

さらに、お弁当などとして食べる場合は容器に一口サイズに丸めて入れておくことで万が一くっついてしまっても簡単に取り出すことが出来るため、ひと手間加わりますが食べる時の煩わしさを軽減することが出来でしょう。

また、そうめんは乾いた状態で束になっていると少なく見えるためついついゆですぎてしまうことがあります。また、多めにゆでておいて別の日に食べる場合もありますが、ゆでた後のそうめんはどのように保存するとよいのでしょうか。

冷蔵庫で保存
ゆでたそうめんを冷蔵保存する場合は乾燥しないようにジッパー付きの保存袋で密封して保存するのがよいです。もし、保存袋がない場合は空気を抜きながらラップで包むことで冷蔵庫で保存することが出来ます。この方法で保存すれば冷蔵庫で2~3日持つことが出来、食べる時に固まってしまっても水でほぐせば問題なく食べることが出来ます。

冷凍庫で保存
実はゆでたそうめんは冷凍保存することも出来ます。冷凍保存する場合は1か月ほど長期保存することが出来るため、料理の時短目的やいざという時にゆでておけば使い勝手がよいです。この場合、通常より20~30秒短く固めにゆでておくことで解凍後でもべちゃっとしづらくし調理やすくなります。

ポイントはゆでたそうめんの水分はしっかりきること、使いやすいように1食分ずつ空気を抜きながら冷凍保存が可能な保存袋に入れて冷凍することです。注意点としては解凍する時は自然解凍や電子レンジでの加熱をせず熱湯を入れたボウルにそのままそうめんを入れて解凍することです。自然解凍や電子レンジでの加熱は食感が悪くなってしまうため、熱湯を使った解凍方法かにゅうめんなど凍ったままでも使えるレシピであればそのまま使うのがよいです。炒めるなど凍ったままでは使いづらい場合は20~30秒ほど軽くレンジで加熱し、半解凍の状態で使ってみて下さい。

そうめんは冷凍保存すると長期保存出来る反面コシなどの歯ごたえがなくなってしまうため、冷たいそうめんとして食べるより加熱調理をする食べ方の方がおすすめです。

今回はそうめんを美味しく食べるためのゆで方やコツ、保存方法を紹介しました。いくつかあるゆで方にはそれぞれによさがあり、どの方法でも美味しく食べることが出来ます。麺の固さやくっつきにくいなど好みや重要視したい点は人によって違うため、さまざまなゆで方を一度試してみて美味しさの違いや仕上がり具合など自分好みのそうめんのゆで方を見つけてみて下さい。

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