日本茶の美味しい淹れ方

みなさんは普段日本茶を飲むことは多いですか?日本人が特に慣れ親しんだ飲み物の1つでもある日本茶は茶葉から淹れた時にしか味わえない香りや旨みを感じることが出来ます。しかし、ペットボトル飲料が主流となっている現在では茶葉自体を購入することも少なくなっており、中には茶葉から淹れたことがないという人も少なくないのかもしれません。今回はそんな日本茶の美味しい淹れ方をご紹介していきます。

日本茶の基本の淹れ方

日本茶とは日本で作られるお茶の総称であり、茶葉を摘んでから発酵する前に加熱して作られた緑茶がその大部分を占めています。茶葉を育てる時の日射時間の違いや加工や製法の違いからいくつか種類が分けらていますが、今回は一般的な日本茶や緑茶のイメージが強い煎茶を使った基本の淹れ方や美味しく淹れるためのコツを紹介します。

煎茶の特徴
甘みやすっきりとした苦みと爽やかな香りを感じ、上級茶になるほど旨みが強くまろやかなのが特徴

深蒸し煎茶の特徴
一般的な煎茶より加熱する時間が長いためお茶の水色は濃いですが、渋みや青臭みは少なくまろやかでコクを感じられるのが特徴

湯の温度の目安
70~90℃
上級煎茶は70℃と低め、一般的な煎茶は80~90℃と高めがよいです
深蒸し煎茶の場合はその中間の80℃が適温となります

ポイント

  • 浄水器を通した水やミネラルウォーターなどよい水を使うこと
  • 沸騰したお湯を使うこと
  • 一度茶碗(湯のみ)に入れお湯を冷ますこと

美味しい緑茶を淹れるには美味しい水を使うことがとても大切です。日本茶を淹れる際に旨みや苦みなどの成分が1番バランスよく抽出されるのは硬度30~80mg程度の水で淹れるのが相性がよいとされています。地域差もありますが、日本の水道水の平均硬度は50~60mgとなっているため日本茶を淹れるには水道水を使うのがとても相性がよいとされています。しかし、場所によってはそのまま使うとカルキ臭が強く緑茶を淹れた後の香りなどに大きく影響が出るため浄水器がある場合は浄水器を通した水を使うのがよいです。浄水器がない場合は沸騰させた水道水をさらに5分以上煮沸することでカルキ臭などを取り除くことが出来ます。

また、沸騰したお湯を使うことがポイントとなる理由は水の殺菌やカルキなどの臭気を取り除くほかに、水の硬度を下げるためでもあります。日本茶は硬度が高すぎると淡泊になりやすく美味しく淹れられないことから、殺菌・消臭効果も含めて沸騰させることでより日本茶と相性のよい水質に近づけることが出来るのです。

家庭に浄水器がないなどミネラルウォーターを使う場合は、硬度の高い外国産のミネラルウォーター(硬水)ではなく硬度が30mg程度ある日本のミネラルウォーター(軟水)を使うのがよいです。しかし、軟水によっては硬度が10mg以下と低いものもあり苦みや渋みを感じる原因にもなってしまうため、商品表記などに記載されている硬度に注目しながら使ってみて下さい。冷ましたお湯を使う理由は次の淹れ方と一緒に紹介していきます。

煎茶の淹れ方

1.茶碗(湯のみ)に沸騰したお湯を7~8分目ほどまでつぎお湯を冷ます
2.急須に茶葉と冷ました茶碗のお湯を入れる
3.1分ほど待ち茶碗に均等に入れる
茶碗(湯のみ)に沸騰したお湯を7~8分目ほどまでつぎお湯を冷ます

まず沸騰したお湯を人数分用意した茶碗に入れます。茶葉はお湯に浸かっている間も旨みなどの成分が抽出され続けてしまいます。淹れた最後の一滴まで注ぎきることで2煎目以降も美味しく緑茶の風味を楽しむことが出来るため、最初にお湯を茶碗に入れて人数分のお湯の量を把握することで緑茶を急須の中に残さないようにすることが出来ます。また、緑茶を淹れるお湯の温度が美味しさを大きく左右するため、一度沸騰したお湯を適切な温度まで冷ますためでもあります。

沸騰したお湯を使っても緑茶は淹れられるためそのまま使う人も多いかもしれませんが、緑茶を美味しく淹れるためにはお湯の温度がとても重要です。お湯の温度が高いと茶葉によっては苦みや渋みが多く抽出されせっかく緑茶の持つ甘みやうま味を感じにくくなります。一般的な煎茶は少し冷めた80~90℃の温度で淹れることで香りの高い美味しい煎茶を淹れられますが、上級煎茶は一般的な煎茶より多くのうま味成分や苦み成分を含んでいるため同じような高めの温度で淹れてしまうと苦みや渋みが多く抽出されてしまいます。そのため、上級煎茶は70℃とさらに低めのお湯を使って淹れることで苦みや渋みを出さず旨みだけを抽出することが出来ます。適切な温度まで冷ますということが美味しい緑茶を淹れるコツにも繋がっているのです。

温度計などがない場合のお湯の温度の目安は、沸騰したお湯を茶碗に移し30秒ほど待つことで10℃ほど温度が下がります。また、容器に移し替えるごとに10℃下がるため、やかんからポットに移したお湯を茶碗に移して少し待つなどして調整してみて下さい。ちなみに、70℃は茶碗に入れて手で持っていられるくらいの熱さです。

急須に適量の茶葉を入れた後、茶碗で冷ましたお湯を入れます。1人前の目安は約2~2.5g、ティースプーンや茶さじ1杯が相当となりますが、茶さじによっては大きさが違うため注意して下さい。ちなみに大さじ1杯が約3gほど大さじ2杯で3人分の目安ともなっています。蓋をしたら急須を揺らさずそのまま1分ほど静かに待ちましょう。この時に使う茶葉が深蒸し煎茶の場合は、一般的な煎茶より茶葉が細く成分が抽出されやすいことからお湯に浸ける時間を約30秒と短くして下さい。

時間が経ったら茶碗に少量ずつお茶を注ぎ最後の一滴まで注ぎきるようにしましょう。少量ずつ繰り返し淹れていくことで味や量が偏らず均等に淹れることが出来ます。

淹れ終わったら蓋を外し急須の中に熱気を残さないことが二煎目以降も美味しく淹れるポイントとなります。二煎目は煎茶の場合お湯を入れてから10~20秒ほど蒸らしてから淹れ、深蒸し煎茶の場合はお湯を入れた後は蒸らさずに淹れてしまって大丈夫です。基本的に温度も好きな温度で淹れて問題ないですが一煎目より二煎目、二煎目より三煎目と高めの温度で淹れることで二度も三度もおいしいお茶を飲むことが出来ますよ。

お湯を入れてから待つ時間に違いはありますが、煎茶も深蒸し煎茶も基本的には淹れ方は同じです。しかし、深蒸し煎茶の方が加熱の時間が長いことから茶葉の繊維が崩れやすく、お湯を入れた際の成分も一般的な煎茶より抽出されやすいため初心者にはおすすめです。適温が重要となる上級煎茶ほどの温度調整もしなくてよいため技術がなくても簡単に淹れることが出来ます。

ティーバック緑茶の美味しい淹れ方

難しそう・手間がかかるなどの理由から若い人を中心に敬遠されがちな茶葉から淹れる緑茶も、ちょっとしたポイントやコツを掴めばとても簡単に美味しく淹れることが出来ます。しかし、そのためだけに急須を購入しなければならないのはなかなかハードルが高く感じる点ですよね。ここでおすすめしたいのがティーバックを使った緑茶の淹れ方です。

少し前までは茶葉から淹れる緑茶に比べると茶葉の質や風味などが低くあまり良質なものはないイメージが強かったティーバック緑茶ですが、近年はお土産やギフトとして販売している数も増え茶葉の種類が多いだけでなく、ティーバックのメッシュなどの改良もされより美味しい緑茶が淹れられるものが増えています。

ティーバック緑茶は急須を用意する必要もないためより手軽に淹れられる身近な緑茶でもありますが、そんなティーバックタイプでも美味しく淹れられコツを紹介します。

1. 沸騰させたお湯を80℃ほどまで冷ます
2.マグカップなどにティーバックを入れ適温に冷ましたお湯を注ぐ
3.20秒ほど待ちティーバックを取り出す

基本的には茶葉から緑茶を淹れる手順と同じです。適温まで冷ましたお湯をティーバックを入れたマグカップなどに注ぎ、20~30秒ほど静かに待ちます。この時蓋があれば蓋をするとより緑茶の成分が抽出されやすくなります。その後、2~3回軽くティーバックを揺らしちょうどよい濃さになったら取り出して出来上がりです。

ポイントはティーバックを軽く揺らすことです。揺らしすぎると渋みやえぐみが出てしまい、スプーンなどで潰してしまうと雑味なども出てしまいます。さらに商品によってはその後の二煎三煎まで入れることが出来るため、必要以上に揺すったり潰したりせず取り出すのが美味しく淹れるコツになります。茶葉から淹れるよりもさらに簡単に短時間で緑茶を淹れられるのがティーバック緑茶のよい点です。また、さまざまな種類の緑茶を少しずつ味わえるのもティーバックならではのよさとなっています。

夏場には水にティーバックを浸しておくだけでも美味しい緑茶を作ることが出来るだけでなく、お湯で淹れたものより苦みやえぐみが出にくく失敗しにくいのが水出し緑茶のよい点でもあります。お茶の香りをしっかり楽しみたい時はお湯を使った淹れ方をした後に氷を入れて冷やす“オンザロック”という方法で淹れるのもおすすめです。

緑茶は茶葉から淹れるというイメージが強いため家庭でわざわざ淹れることは減っていますが、ペットボトル飲料であれば緑茶を飲むという人は非常に多いです。日本茶は産地の違いによる風味の違いも多く、煎茶以外も含めると本当に多くの日本茶があります。日常的に緑茶を飲むのであれば、茶葉からとは言わずともティーバックなど手軽に淹れられる緑茶を淹れて種類による風味の違いや茶葉でしか味わえない美味しさをぜひ感じてみて欲しいです。