お茶を美味しく水出しする方法

気温が暑くなってくると体温が上がり冷たい飲み物を飲みたくなりますね。そんな夏場だからこそおすすめしたいのがひんやり美味しい「水出し茶」です。水から抽出させる水出し茶は手軽に淹れられるだけでなく、お湯から淹れるお茶では味わえない風味を楽しめることからとても人気が高いです。今回はそんな水出し茶の作り方やポイントについて紹介していきます。

水出し茶の特徴

水出し茶とはその名の通り、お湯ではなく水を使って淹れたお茶です。基本的には冷蔵庫でゆっくり時間をかけて抽出していくため、苦味・甘み・旨みなどの成分の溶け出し方がお湯から淹れた時と異なり香りや味にも大きな違いが出ます。苦味や渋みの成分は熱に溶け出しやすい性質があるため、茶葉をお湯で淹れると旨みが出やすくなると同時に苦味や渋みも感じやすくなります。しかし、低温で淹れると旨みは変わらず抽出されますが苦味や渋みの成分は溶け出しにくくなるため、水出しで淹れたお茶は旨みや甘味の方が強く感じるようになります。そのため、非常に飲みやすい口当たりが普段からお茶を飲んでいる人だけでなくお子様やお茶の苦みに慣れていない人にも受け入れやすいのです。

お茶には緑茶・麦茶・烏龍茶・紅茶などさまざまな種類がありますが、ほとんどのお茶は水出し専用の茶葉を使わなくても水出しすることが出来ます。さらに発酵度が低い方が水出しに向いているとされており、煎茶・番茶・玉露・ほうじ茶といった不発酵の状態で作られる緑茶はどの種類でも水出しすることが可能です。1~2時間と短時間で水出し出来るのも魅力的なポイントになります。反対に、発酵させて作られている烏龍茶や紅茶は水出しするまでに半日~一晩と長時間かかってしまうところが難点になりますが、緑茶にはない美味しさを味わえるためどちらもおすすめです。

水出しをする時のポイント

ポイント1:軟水を使うこと

硬水より軟水の方がお茶の成分が出やすくバランスのよいお茶を淹れることが出来ます。1Ⅼあたりの硬度が120mg未満のものが軟水とされており、日本の水道水はだいたいが20~80mgの硬さであることからお茶を淹れるには最適の水です。そのため、水道水をそのまま水出し茶に使うことが出来ます。

しかし、水道水には殺菌するためにカルキ(次亜塩素酸カルシウム)が含まれており、住んでいる地域やにおいに敏感な人はカルキ臭を感じることも多いです。水をそのまま使う場合はお茶を飲むときにカルキ臭も感じやすくなり、せっかくの茶葉の香りが弱くなってしまうため事前にカルキ抜きをすることも大切です。自宅の水道水が気になる場合は軟水のミネラルウォーターや浄水器を通した水を使うのがおすすめですが、浄水器がない場合はやかんなどに水を汲み置きして一晩置いておき、沸騰させてから使うのがよいでしょう。時間がない場合は沸騰させて冷ました水を使うだけでも違いますよ。少し手間はかかりますがカルキ臭が強い場合にはカルキ抜きをしてから使う方が断然美味しい水出し茶を楽しむことが出来ます。

ただし、カルキ抜きをした水やミネラルウォーターなどは菌が繁殖しやすくなってしまうため、水出し茶は1日を目安に早めに飲み切ってしまうようにして下さい。

ポイント2:ボトルなどの容器を清潔に保つこと

使う容器が清潔でないと菌が繁殖しやすくお茶が傷みやすくなり、食中毒に繋がってしまう可能性も高いです。菌を繁殖させにくくするためには次のようなことを気にするだけでも違います。

  • ボトルなどの容器をしっかり洗って乾かすこと
  • 直接口をつけて飲まないこと
  • 熱湯などで殺菌消毒すること
  • ガラスの容器を使うこと

容器はしっかり洗って乾かしたボトルを使うことが大切です。汚れが残っている場合や濡れたまま使うと菌が繁殖しやすくなるため、必ず洗って乾かしてから使うようにして下さい。毎日使う場合は2本常備し交互に使うのがよく、事前に熱湯などで殺菌消毒しておくとなおよいです。また、容器にキズがついているとキズからも菌が繁殖しやすくなるため、プラスチック製の容器よりガラス製の容器の方がキズや汚れがつきにくく耐熱であれば熱湯消毒もしやすくなります。また、お茶のにおいもつきにくいため長期間使う場合はガラス製の方がおすすめです。

茶葉による水出し茶の作り方

水出し緑茶の作り方

1.水1Ⅼに対して茶葉10gを目安にボトルに入れる
 ボトルに直接茶こしがついている場合はそのまま入れ、ついていない場合はお茶パックに入れて下さい

2.軟水を注ぎ冷蔵庫で30分~2時間冷やしておく

茶葉の量や茶葉を浸けておく時間は好みによって調整して下さい。ただし、茶葉の種類によっては長時間浸けておくことで苦味が強くなってしまうものもあるため、好みの濃さになったところで茶葉を取り出してしまいましょう。反対に、時間が経っても薄く感じる場合はボトルごと軽く振るか菜箸などで軽くかき混ぜてみて下さい。使う水は常温でも冷水でもどちらでも問題ありません。

緑茶にはポリフェノールの1種であるカテキンが数種類含まれており、高温により溶け出しやすい性質を持っています。しかし、水出しで抽出する場合は苦味の強い種類のカテキンやカフェインは抑えつつ、旨み・甘み成分のアミノ酸や苦味が穏やかなエピガロカテキンが溶け出すことからさっぱりとした中に旨みや甘み、程よい苦味を感じやすいのが特徴です。また、緑茶にはビタミン類が多く含まれており、熱に弱いビタミンも水出しの場合壊れにくいことから温かいお茶より多くのビタミンも摂取することが出来ます。

さらに、エピガロカテキンは呼吸器・粘膜免疫系の働きを促し免疫向上に、アミノ酸の1種であるテアニンはストレス解消・睡眠の質の改善にも効果的と言われているため、水出し緑茶は風味以外にも体によい効果を期待することが出来ます。より強い風味や旨みを感じたい場合は、深蒸し茶や上級茶を使うのがおすすめです。

水出し紅茶の作り方

1.水1Ⅼに対して茶葉10gを目安にボトルに入れる
 ボトルに直接茶こしがついている場合はそのまま、ついていない場合はお茶パックに入れて下さい
 ティーバック使う場合は水1Ⅼに対してティーバック2~3個をボトルに入れます

2.軟水を注ぎ冷蔵庫で8~10時間冷やしておく

紅茶は緑茶と同じように水出しでも簡単に美味しく淹れることが出来、茶葉からでもティーバッグからでも水出しすることが出来るためとても便利です。ただし、抽出するまでに時間がかかるため前日の夜に準備しておくのがおすすめです。また、熱湯で淹れることで多く抽出されるカフェインやタンニンが溶け出しにくく渋みを抑えることが出来ますが、紅茶の豊かな香りや味はしっかり感じることが出来るため爽やかでバランスがよいのが水出し紅茶の大きな特徴となります。

市販のストレートティーはしっかりした味わいから砂糖などを加えて甘く調整しているものが多く、気づかないうちに砂糖を摂りすぎていることがあります。しかし、水出し紅茶はバランスのよさからそのままでもごくごく飲めてしまうほどのどごしがよいためカロリーを気にする人にもおすすめです。さらに体の代謝を高める、抗酸化作用により体内の活性酸素を減らすことが出来る、胃腸の働きを整え消化を助けるといった体にとってよい効果も期待出来るのです。手軽ですが風味のよさからリラックス効果も高いため、リフレッシュしたい時にもおすすめになります。

水出し烏龍茶の作り方

1. 水1Ⅼに対して茶葉3~5gを目安にボトルに入れる
 ボトルに直接茶こしがついている場合はそのまま、ついていない場合はお茶パックに入れて下さい

2. 軟水を注ぎ冷蔵庫で半日~12時間以上冷やしておく

中国茶・台湾茶には非常に多くの種類があり特徴もさまざまです。水出しすることは可能ですが種類によっては向き不向きの種類があり、微発酵の烏龍茶や焙煎しているものは比較的水出しに向いていることが多く、熱湯を使うことで葉が開き香りが高くなる種類は水出しでは物足りない印象になってしまうため不向きとなります。また、種類によっては水に長時間浸けておくことで味や香りがきつくなってしまう茶葉もあるため、どの烏龍茶を使っても美味しく飲むことが出来るとは言いにくいです。

しかし、中でも台湾茶で有名な「凍頂烏龍茶」や「東方美人」、中国茶では「鉄観音」が水出しをしても美味しく飲むことが出来ると言われている種類であり、さらに茶葉が丸まっているものより緑茶に似たようなカットされているタイプや細長い茶葉の方がより水出しをするには向いています。これらの茶葉は花やフルーツのような華やかな香りが感じられ緑茶では味わえない風味を楽しむことが出来ます。

茶葉が決まれば水出しの仕方は基本的には緑茶と変わらず、茶葉と水を一緒に入れて冷蔵庫で置いておきます。成分が抽出されにくいため、少なくても半日以上~12時間程度置いた方がしっかり烏龍茶の風味を楽しむことが出来るでしょう。ただし、香りが高い分茶葉の量が多いと風味がきつくて飲みにくくなるため、水1Ⅼに対して茶葉3~5gを目安に茶葉の種類や好みによって量を調整する必要があります。

茶葉がカットされているものや細長いものをおすすめしましたが、丸くなっているものでも水出し出来ることや紹介した種類以外にも美味しく飲める烏龍茶はあるため、どれが水出しに向いているか探してみるのも楽しいですよ。

水出し麦茶の作り方

1.水1Ⅼに対して麦茶パック1個をボトルに入れる

2. 軟水を注ぎ冷蔵庫で1~2時間冷やしてパックを取り出す

茶葉から淹れるお茶とは違い焙煎した大麦を使う麦茶はすでにパック状になっているものが一般的です。さらにカフェインやタンニンが含まれていないため、幅広い年齢層の人に好まれています。しかし、水出しでは抽出されにくい性質があり、煮出し用の麦茶を使うと抽出されにくいため「水出し用」の麦茶を使うのがよいでしょう。

ただし、ちょっとした手間を加えれば煮出し用の麦茶でも美味しい水出し麦茶を淹れることは出来ます。まず50~100mlの熱湯を注ぎ、1~2分ほど蒸らしてから水を加えて冷やすだけです。この方法であれば煮出し用の麦茶でも水出しすることが出来るだけでなく、水出し用のパックでも麦茶のしっかりとした味や香りを出したい場合は取り入れるのがおすすめです。

1つ注意点としては、麦茶は茶葉ではなく穀物を使って作られるお茶であるため、緑茶などに比べると傷みやすいのが特徴です。パックも長時間浸けておかず、好みの濃さになったら取り出して必ず冷蔵庫で保存して下さい。香ばしい香りが特徴の麦茶はカフェイン・タンニンが含まれていない以外にも血行の促進と同時に体を冷やしてくれる効果や胃の粘膜を守ってくれる効果があるため、夏バテや熱中症対策にも向いています。

基本的に水出しが出来るお茶は、茶葉と水をボトルに入れて冷蔵庫で保存しておくだけで簡単に美味しいお茶を作ることが出来ます。しかし、中には茶葉の特徴により水出ししにくいものや風味が強い・弱いといったバランスが取りにくい種類もあります。量や浸けて置く時間を調整することで美味しく飲めることも多いため、万が一失敗しても少し調整して再度チャレンジしてみて下さい。また、今回紹介したお茶以外にも白茶やジャスミン茶、プーアル茶も水出しに向いている茶葉であるため他のお茶との風味の違いを感じてみるのもおもしろいです。ぜひ、暑い日には手軽に水出し茶を作って美味しく水分補給をしてみて下さい。