味噌が出来るまで

毎日飲む人も多いみそ汁を作るには欠かせない調味料が味噌です。身近にありすぎてどのような工程を通って味噌が作られているのかご存じですか?今回は味噌が出来るまでの工程をご紹介していきます。

味噌の作り方

味噌は“大豆・麹・塩”の原材料を混ぜ、発酵・熟成させて作られています。味噌は主に米味噌・麦味噌・豆味噌の3種類に分かれ米味噌と麦味噌は作る工程がほとんど変わらず、使う麹が米麹であれば「米味噌」、麦麹であれば「麦味噌」になります。

みその種類についてより詳しい解説はこちら

全国的には米味噌が1番多く作られており、味噌の生産量の約80%が米味噌になります。米味噌は大豆に対する麹の比率が変わることで味や見た目が変わるため種類がさらに「甘味噌 白/赤」、「甘口味噌 淡色/赤」、「辛口味噌 淡色/赤」の6つに分かれ、地方や地域によって作られる味噌の種類や特徴が変わってきます。

麦味噌・豆味噌はさらに作られている地域が限られており、麦味噌は九州や中国・四国地方、豆味噌は愛知を中心とした中京地方で作られているため使用している範囲や量も米味噌に比べると少ないです。

今回は1番作られている米味噌の作り方をご紹介していきます。
1.原材料を下処理する
大豆・米をそれぞれ洗い水に浸し一晩から1日おきます。特に大豆は水を吸わないと柔らかく煮ることが出来ないため、実は重要な工程になります。

2.米麹を作る
水に浸した米を蒸し麹菌を付け米麹を作ります。蒸した米は1度冷やしてから麹を付け、2~3日ほどかけて米麹を作っていきます。

3.大豆を蒸煮
水に浸した大豆を蒸煮していきます。水に浸すことでムラなく火を通すことが出来、味噌蔵やメーカー、作る味噌の種類によって蒸す・煮る・蒸してから煮るなど工程が変わります。

4.仕込み
火を通した大豆を一度冷やした後すり潰し、2で作った米麹と塩加え混ぜ合わせ容器に入れていきます。現在は昔ながらの木桶を使う場合も金属で出来た発酵タンクを使う場合もあり、作っている味噌蔵やメーカーによって変わります。

5.発酵・熟成
木桶または発酵タンクに入れた味噌を発酵・熟成させ味噌は完成します。木桶を使う場合、重石を乗せ“天然醸造”と呼ばれる人工的に温度が管理されていない自然の気候の中で熟成させていきます。そのため熟成期間の途中で味噌の上下をひっくり返す「天地がえし」を行い、仕込む時期やその年の気候、作られている蔵によっても味噌の風味や特徴が違ってきます。金属性の発酵タンクを使う場合は適温に保たれた室内で熟成させる“加温醸造”と呼ばれる方法が使われ、管理されているからこそ安定した味噌を作ることが出来、大手メーカーなど量産する場合はこちらの製法を取り入れていることが多いです。

基本的にはどの米味噌を作る場合大まかな工程としてはほとんど同じですが、味噌蔵やメーカーによって多少の違いはあり、途中でお伝えした違いの他にも熟成期間の長さや大豆・麹の混合比率、加える塩の量、下処理の際に大豆・米の表面を研磨するかしないかや水に浸す時間などの違いがあります。その少しの違いによって味や香り、見た目にも違いが出てくるため味噌はとても奥深いのです。

味噌蔵によるこだわり

原材料や製造工程は味噌蔵やメーカーにより違いがあることをお伝えしましたが、味噌は特に原材料がシンプルであるためどれだけ原材料に力を入れるかがカギとなっているようです。

味噌のメインの原材料といえば大豆ですが、実は国内に流通している味噌の約90%が外国産大豆を使用しています。理由としては単純に国産の大豆の生産量が味噌の生産量に対してとても少ないため、コスト削減も含めて外国産大豆を使うことが多いのです。年々国内で生産されている大豆の量は増えているようですが、味噌に使われる大豆の量としてはほとんど変わりません。さらに、天然醸造で作っている味噌蔵は10%以下、味噌を作る際にイメージが強い大きな木桶を使うのは実は2%ほどであると言われています。

2021年の味噌の生産が多い都道府県は1位が長野県で約50%と半分を占めており、次いで2位が群馬県で9.9%、3位が愛知県で6.9%、4位が広島県で4%、5位が北海道で2.8%と続きます。順位の入れ替えはあるもののここ数年はこの5県が常に上位にランクインしていますが、1位の長野県と2位につける県との生産量の差はとても大きいです。昔から味噌の生産が盛んで現在も生産率が圧倒的に多い長野県では今でも天然醸造・木桶を使っている味噌蔵が多数あり、強いこだわりを持って味噌を作っている印象があるところが多いです。では、それぞれの味噌蔵ではどのようなことに力を入れているのでしょうか。

石井味噌(株式会社石井味噌)

長野県松本市にある石井味噌の創業は明治よりも前である慶應4年(1868年)です。創業から150年以上も続く石井味噌では米麹を使った米味噌を作っており、特に「三年味噌」と呼ばれる3年かけて熟成させた味噌が有名です。主に信州産の国産大豆を100%使っているだけでなく、アルプス山系の美味しい湧き水を使って作られています。さらに、天然醸造により仕込んだ味噌を木桶に入れ3年かけてじっくり熟成させていくのですが「天地がえし」を3年のうちに3回行い、毎回人の手でスコップを使って空いた木桶に移し替えています。1つの木桶には約4トン半の味噌が仕込まれておりとても時間も手間もかかる作業を丁寧に行っているため、白味噌も赤味噌も色が濃いわりに塩の角が取れてまろやかな味わいがします。

市販の無添加味噌が500g~750g入り500円~1,000円するのに対して、石井味噌で作られた三年味噌は300g入りで白味噌が756円(税込)、赤味噌が1,080円(税込)と少し高めですが、その手間暇かけて作られた味噌としては価格以上の価値があるでしょう。

マルカワみそ(マルカワみそ株式会社)

創業1914年の福井県越前市にあるマルカワみそは「国産原料・オーガニック・無添加」を基本方針においているため、大豆を自社農園で農薬や化学肥料を使わずに栽培しています。さらに水も水質調査をクリアしカルキや塩素とは無縁の日野川の伏流水や雪解け水が自然にろ過された地下水を使用しています。

昔はどの味噌蔵でも麹菌を繁殖させて味噌を作っていましたが、品質が不安定であったことや失敗することが多く大量生産に不向きであったことから、次第に西洋から入ってきた純粋培養という技術が導入され培養された菌を購入し使うようになりました。しかし、マルカワみそは約50年前に自家採取の技術を復活させ現在は麹も自家採取しています。また、現在も仕込みの際に木桶を使っており、こだわりのある美味しい味噌を作るにはとても大切な道具の1つですが、需要や職人さんの高齢化などにより年々木桶を作れる職人さんは減ってしまっています。2015年には大阪に大きな木桶を作れる職人さんは1人しかいなくなってしまい、この先も木桶文化の重要さを残したいという思いからマルカワ味噌の常務であり工場長でもある社員が桶屋に修行に行くようになりました。原材料から道具までここまでをすべてを自社で研究し力を入れている味噌蔵はそうそうなく、そんな味噌への思いが人一倍強いマルカワ味噌の評判はとても高いです。特に1番人気のある「自然栽培みそ 未来」はしっかり熟成させているため色が濃く甘口で、出汁を入れなくても美味しいと人気があります。400gで1,512円しますがこちらも買って損はない味噌であること間違いないでしょう。

味噌は同じ原材料でも味噌蔵やメーカーによって風味が大きく変わり、また地域によってその印象がガラッと変わるため好みの味噌を見つけるのも楽しいです。また、原材料も工程もシンプルで複雑ではないため、味噌は自宅でも簡単に作ることが出来ます。麹まで家庭で作るのは大変ですが、現在は米麹をスーパーなどで簡単に手に入れることが出来、大手スーパー以外にも無印良品などでも購入することが出来ます。味噌の簡単キットを販売しているメーカーも多いため、手作りしてみるのもおもしろいかもしれません。家庭で作る場合は麹の比率を変えてみたり、大豆ではなく黒大豆やひよこ豆など大豆以外の豆を使って作ることも出来、味噌を作る工程が分かるだけでなくオリジナルの味噌を作ることも出来るので興味のある人はぜひ家庭でも作ってみて下さい。

味噌蔵によっては工場見学や味噌の手作り教室などを行っている場所も多いため、より詳しく知りたい場合はお住まいの地域にある味噌蔵やお気に入りの味噌を作っている味噌蔵に訪れてみるのもおすすめですよ。