日本の代表的な調味料の1つと言えば味噌ですよね。たんぱく質を豊富に含み「畑の肉」とも呼ばれる大豆を主原料にして作られる味噌にはたんぱく質の他にどのような栄養素が含まれているのでしょうか。また、気になる塩分や糖質についても調べてみましたので紹介していきます。
味噌に含まれている栄養素
大豆・麹・塩といったシンプルな原材料を使い発酵・熟成させて作られる味噌には実は思っている以上の栄養分が含まれています。たんぱく質・糖質・脂質の三大栄養素はもちろんビタミン群や必須アミノ酸、ミネラルなどさまざまな栄養素が含まれており、これだけ多くの栄養素が1つの食品に含まれているものは他にはないとされています。そのため「味噌は医者いらず」ということわざがあるように、昔から体によく健康に繋がる食べ物でした。
味噌に含まれる栄養素・成分
たんぱく質 セレン 飽和脂肪酸
脂質 クロム 一価不飽和脂肪酸
炭水化物 モリブデン 多価不飽和脂肪酸
灰分 ビタミンE レシチン
食物繊維 ビタミンK コリン
ナトリウム ビタミンB1 サポニン
カリウム ビタミンB2 イソフラボン etc…
カルシウム ビタミンB6
マグネシウム ビタミンB12
リン ナイアシン
鉄 葉酸
亜鉛 ビオチン
銅 必須アミノ酸
ヨウ素 非必須アミノ酸
たんぱく質
味噌の主原料になる大豆には特にたんぱく質が豊富に含まれておりその豊富さから「畑の肉」とも呼ばれており、ぎゅう肩ロースなどの肉類と比べてもその含有量は2倍近くあります。しかし大豆のたんぱく質は加熱をしても体内に吸収されにくいという欠点を持っています。しかし味噌の場合、大豆のタンパク質は発酵の過程で約60%がアミノ酸へと変わり非常に吸収がされやすくなります。味噌汁1杯には約1.5gの大豆たんぱく質が含まれるとされており、1日に摂取したい量の1/4から1/3に該当します。1日3食味噌汁を・・・というのは現代社会においてはあまり現実的ではありませんが、一汁一菜とはまさに理にかなった食事と言えるでしょう。
またたんぱく質は髪や皮膚、筋肉、血液など私たち人間が生きていくには欠かせない成分を作り出しており、不足すると体力が落ち免疫力も下がってしまいます。さらに大豆のたんぱく質はコレステロール値を下げる働きがある以外にもたんぱく質を構成している複数のアミノ酸を味噌の発酵の力で効率的に吸収しやすくしてくれています。
ビタミン群
味噌の原料となる大豆はビタミンB6を少量含みますが、大豆そのものにはビタミンはほとんど含まれていません。しかし、発行をする過程でビタミンが生成され、ビタミン量が増えます。これは発酵に用いられる麹菌にビタミンが含まれており、発酵が進むことでそのビタミン群も増えていくことが理由です。ビタミン群については大豆をそのまま摂取するより味噌として摂取したほうがグラムあたりの総量は増えます。
味噌にはそのような理由からビタミン群も豊富に含まれており、抗酸化作用のあるビタミンEは細胞の老化防止、脂質の代謝上げてくれるビタミンB2は皮膚や髪など細胞の再生などの働きをしてくれます。さらにビタミンは、他のビタミンと助け合うことでよりその効果を発揮すると言われているため、複数のビタミンが含まれている大豆は1つの食品でバランスよく複数のビタミンを摂取することが出来るのです。
レシチン・サポニン
たんぱく質など主要な栄養成分に比べるとあまり聞き馴染みのない成分ですが、大豆には豊富に含まれており特にレシチンはとても重要な役割をしてくれています。レシチンは脂質の1種ですが、体内では神経の伝達物質となり神経を正常に働かせることで脳への健康にも繋がると言われています。そのため、脳梗塞や脳出血の予防や記憶力向上、認知症予防、疲労回復などの効果が期待出来る他に、悪玉コレステロールの吸収を抑え動脈硬化の予防などにも繋がります。
レシチンは不飽和脂肪酸を含み、体内で生成ができないため、食事から摂取をする必要のある成分の1つです。味噌は食べる機会の多い調味料のため、レシチンを接種する方法としては非常に効率的でしょう。
サポニンは血糖値の上昇を抑え糖尿病以外にも同じく脳梗塞や動脈硬化などを予防する効果があり、さらに血液や血流の改善、脂質の生成を抑えることから肥満対策やダイエットにも効果的と言われています。
他にも食物繊維の働きにより腸の活性化・便秘改善が見込まれること、骨の生成を維持してくれるイソフラボンには強力な抗酸化作用があり、活性酸素を除去し体内を錆びさせないようにするなどさまざまな働きがあります。さらに味噌には遊離リノール酸という成分が含まれており、メラニン合成の生成を抑えシミを出来にくくしてくれる・抗炎症作用などがあり、イソフラボンやサポニン、ビタミン群と一緒に多くの美容にも繋がる効果ももたらしてくれるのです。
大豆イソフラボン
テレビやメディアなどでたびたび特集される大豆に含まれる成分です。味噌は大豆を使用しているため、もちろん大豆イソフラボンが含まれる調味料です。大豆イソフラボンは女性ホルモン「エストロゲン」と似た化学構造と働きをすることがわかっており、肌の新陳代謝促進などの効果があるとされています。そのため美容系サプリなどにも用いられるようになりました。
大豆イソフラボンは特に目安となる摂取量の上限、下限はありませんが1日50gが目安とされていますが現在の日本人の摂取量は1日20gとされ、やや少ない傾向にあるようです。味噌汁1杯には20g程度の大豆イソフラボンが含まれているとされており、理想は毎食味噌汁を・・・となり、味噌汁を毎食とるということは現実的ではありませんが、それだけ味噌を含む料理は有用であるともいえます。
味噌の塩分・糖質
味噌には多くの栄養分が含まれているため、積極的に取り入れていきたい食品です。しかし、気になるのは塩分です。近年は塩分の取りすぎと言われており、特に日本人は味噌や醤油などの日本食に欠かせない調味料を日常的に使っていることから他の国より塩分摂取量が多めです。また、味噌に含まれている栄養分の中には脂肪の燃焼を促してくれるものがあり、ダイエットにも効果的と言われていますが、減量している人には糖質も気になりますよね。では味噌にはどれくらい塩分や糖質が含まれているのでしょうか。
種類 | 特徴 | カロリー | 塩分 | 糖質 |
米味噌 辛口味噌 淡色 | 一般的な味噌 代表的な味噌は信州味噌 | 192kcal | 12.4g | 17g |
米味噌 甘味噌 白 | 白味噌 香りや味は甘め | 217kcal | 6.1g | 32.3g |
麦味噌 | 麦の香りや甘みがある | 198kcal | 10.7g | 23.7g |
豆味噌 | 熟成が長く濃い色 | 217kcal | 10.9g | 17.8g |
減塩味噌 | 192kcal | 10.3g | 20.2g | |
出汁入り味噌 | 194kcal | 14.1g | 17.8g |
参考:Eatreat https://eat-treat.jp/
※米味噌は一般的な辛口味噌と甘味噌を比較しているため甘口味噌は省いています
味噌の種類と違いについてより詳しい解説はこちら
味噌は原材料に使われている麹の種類(米麹/麦麹/豆麹)・大豆と麹の歩合・塩の量により種類が分かれ、味噌の種類によって塩分量や糖質も変わります。
主な味噌の種類としては大豆と米麹から作られる“米味噌”、大豆と麦麹から作られる“麦味噌”、豆に直接麹を付けて作られる“豆味噌”の3種類です。さらに米味噌は塩分濃度が低く麹の歩合が高いものを“甘味噌”、反対に塩分濃度が高く麹の歩合が低いものを“辛口味噌”、その中間が“甘口味噌”、それぞれに赤と白または淡色の色の違いがあり全部で6種類に分かれます。麦味噌は甘口と辛口の2種類、豆味噌は1種類のみです。
色の違いとしては、歩合や塩分量の違い、製造工程の違い、熟成期間の長さによるものから分かれます。上記の表はあくまで目安ですが辛口味噌に比べると甘味噌の方が塩分が少ないかわりに麹の歩合が高いため糖質は高くなります。さらに、麦麹を使う麦味噌も甘味噌ほどではありませんが他の味噌より糖質は高めです。
八丁味噌で有名な豆味噌は黒に近い濃い褐色の見た目から味が濃そう・塩辛そうと思われがちですが、色の濃さは熟成期間の長さによる影響が大きく実は塩分濃度はそこまで高くありません。さらに、基本的には大豆と塩のみから作られている(少量小麦を使っているものもある)ため塩分と共に糖質も低いです。
米味噌の辛口も比較的塩分・糖質が低めであるため、手に入れやすい米味噌を選ぶ場合は白より赤、どちらも気にしている場合は豆味噌を選ぶのがおすすめです。さらに豆味噌は熟成によりうま味が強く他の味噌に比べ少量でも味がつくため、減塩するのにも向いています。
日常的に味噌を使い食べる機会も多いみそ汁は、出汁や具材も多く入れるため実は1杯当たりの塩分量はそこまで多くありません。さらに野菜なども一緒に摂取出来ることから味噌を取り入れるにはとても優秀で効率的な食べ物になります。しかし、味噌の種類によって香りや味わいがガラッとかわるため、塩分や糖質も見つつ好みの味わいの味噌を見つけて習慣的に味噌を取り入れることがより大切になります。美味しく食べて味噌の持つ栄養素で健康的な食生活を心掛けましょう。