こめ油の栄養成分、調理の特徴、歴史

最近はスーパーやECなどでもよく見かけるようになったこめ油。こめ油は玄米を精米するときに出る米ぬかを絞った油で、唯一国内原料のみで製造できる油と言われています。油酔いしにくいとか、オレイン酸、リノール酸が多いと言われているこめ油ですが、この記事ではこめ油の特徴とちょっとした歴史を紹介したいと思います。

こめ油の栄養成分

こめ油の栄養成分的な特徴は大きく3つです。

①脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)のバランスが良い

②ビタミンEが豊富

③植物ステロールが豊富

①脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)のバランスが良い

 こめ油にはオレイン酸(約42%)、リノール酸(約37%)が含まれます。血中コレステロールを下げるためには、オレイン酸とリノール酸、2つの脂肪酸のバランスが大事だとされており、こめ油は2つの脂肪酸のバランスが非常に良い油です。リノール酸は、コレステロールを低下させる一方で善玉コレステロールも低下させてしまうというデメリットを持っており、悪玉コレステロールを低下させるリノール酸を同時に接種することで、そのバランスが保たれます。そのような機能面からこめ油は脂肪酸のバランンスが良いとされています。

②ビタミンEが豊富

 こめ油はビタミンEの含有量が豊富で、ビタミンEが多く含まれているとされる菜種油の約1.5倍、大豆油の2.5倍近くのビタミンEが含まれます。またこめ油には高い抗酸化力をもつトコトリエールが多く含まれており、トコトリエールの抗酸化力はビタミンEがの数倍〜数十倍と言われており、スーパービタミンEとも呼ばれています。ビタミンEとトコトリエールの含有量はJAS法に基づく区分内の植物油の中ではトップとされています。

③植物ステロールが豊富

 植物ステロールもコレステロールを下げる効果のある成分とされています。こめ油はこの植物ステロールの含有量が豊富で菜種油の1.5倍、ごま油の2.0倍近い含有量とされています。1日の摂取量の目安は2〜3g程度と言われていますが、日常的に何も意識せずに接種している量は200-300mgとされており、意識的に接種したい成分の1つです。

こめ油の調理使用時の特徴

 こめ油の調理時における特徴は下記の3つです。

①油酔いしにくい

②汚れがつきにくい

③酸化しにくい

①油酔いしにくい

 揚げ物をしていると油の匂いなどで酔ってしまい、揚げ物が嫌いという方もいるのではないでしょうか?油酔いの正体は「アクロレイン」であるということが近年の研究で明らかになりました。アクロレインは油中に含まれるリノレン酸が酸化して生じるヒドロペルオキシドがさらに高温で酸化を受けた後、分解され生じることが明らかにされています。こめ油はこれら成分が他の油と比較して発生しにくく、なたね油の1/3程度とされています。

②汚れがつきにくい

 こめ油は他の植物油と比べてもサラサラとしていることと、180度で加熱したあとに鍋に付着する酸化重化合物の量が他の油に比べて圧倒的に少なく、菜種油の1/10程度という結果になっています。コンロや鍋等の洗い物も楽で、調理をする方にとっても非常に都合の良い油と言えます。

③酸化しにくい

 栄養成分でも触れましたが、こめ油はビタミンE、トコトリエールの含有量が豊富であることから酸化がしにくく、揚げ物をしたあとの油も、加熱後特有の腐敗臭が少ないという特徴があります。そのため、油酔いもしにくく繰り返し使えるということから揚げ物には非常に都合の良い油です。

こめ油の食べ方

 こめ油は酸化しにくく、油酔いしにくいことから揚げ物、炒め物に使用することがおすすめですが、それ以外の食べ方もおすすめです。まず簡単なのはお米を炊くときに米油をいれます。2合に対して小さじ1/2程度入れるとお米に艶が出てふっくら炊きあがります。特に古いお米を炊くときにはおすすめです。またスムージーなどに入れるのもおすすめの食べ方で香りも味もそこまで強くない油のため、少量であれば果物や野菜の味を邪魔することはありません。

こめ油の歴史

 こめ油は江戸時代三重県桑名で搾油され、素麺の伸ばし油として使用されたの始まりとされています。こめ油は現在でも玄米100kgから1kg程度しか絞ることができず、当時の技術力等を鑑みても搾油効率が非常に悪く商品化され、広く世に普及には至らなかったとされています。

 昭和に入ると、繊維油剤の供給安定を図るために国内原料での油製造が研究され、その中で米ぬかを原料とするこめ油に目をつけ鐘淵紡績㈱が製造を開始しました。

 しかし、搾油効率は相変わらず悪く、またこめ油は酸化しにくいものの、米ぬかは非常に酸化しやすく良質なこめ油を搾油するには、米ぬかを確保する生産者、精米所、配送業者の確保が必要となり、商品化へのハードルは非常に高いものでした。更に、米ぬかはこめ油以外にも用途が様々あり、必要とする他事業者は多く買い負けるというような競争の激しさもありました。

 そのような苦労を乗り越え、昭和30年頃には、工業油として製造されたこめ油も食用として非常に有用であることが分かり、スーパーなどでも食用油、それも高級油として販売されて、市民権を得てきました。

 そんな中、一般的にはカネミ油症事件が起きました。カネミ油症事件とは、こめ油の製造工程で熱媒体として使用していたPCBが混入し、それを精製して販売したカネミ倉庫の食用油を食べた人が発症した事件です。こめ油の製造過程でたまたま混入した事件ではあったものの、こめ油にはPCBが混入されれているという噂がたちまち広がり、店頭から一気にこめ油が消えたと言われています。今も昔もこのような風評被害はあったようです。

 一時は姿を消したこめ油でしたが、ポテトチップスでおなじみの湖池屋がポテトチップスの揚げ油として米油を採用したところから潮目が変わり、またこめ油を一般家庭でも食用として使用されるになったのです。確かに、揚げ物に適した油である、説明をしましたが、ポテトチップスをこめ油で揚げれば酸化しにくく、油特有の腐敗臭も少ないとなれば、まさに条件にピッタリとハマる油でした。こめ油の使用がポテトチップスの普及に一役買ったとまで言われています。

 以上、こめ油の栄養成分の特徴、調理時における特徴、歴史でした。こめ油を使用することは国内の米農家さんの応援にもなるし、有用な成分が沢山含まれていることから、菜種油と比べると少し高いですが、1度使用してみてはいかがでしょうか?

編集部おすすめの米油

山形県に本社をおく三和油脂株式会社の作るこめ油、まいちのこめ油900gと1500gです。主に東北地方で生産されるお米を精米する際に発生する米ぬかを利用して製造されています。米油は酸化しにくい油ですが、原料となる米ぬかは酸化しやすく、精米後できるだけ早く油を絞ると良いとされており、三和油脂は東北内の米産地近くに米ぬかを絞る工場を建設し、より新鮮な米油を絞ることができるよう経営努力をされています。まいちのこめ油は国産原料を使用し、より新鮮なこめぬかを使用したこめ油として知られており、酸化しにくく揚げ物などをしても油酔いしくいということから揚げ物や炒めものなど様々な用途で活躍する油です。編集部おすすめの米油の1つです。