精製糖(分蜜糖)とは?種類と特徴

普段の料理に使うことが多い砂糖。特にお菓子を作るのには欠かせないのではないでしょうか。砂糖と言えば、上白糖と呼ばれる白い砂糖や黒糖を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、意外と砂糖には種類が多いことをご存じですか?ここでは砂糖の種類や特徴、特に精製糖と呼ばれる砂糖について紹介していきます。

砂糖の種類

 砂糖の種類は大きく分けると2種類あり、主原料から砂糖を作るとき、製造方法の違いによって「精製糖(分蜜糖)」と「含蜜糖」に種類が分かれていきます。これは主原料が違ったとしても、製造方法によって精製糖と含蜜糖に分かれるのが特徴になります。

精製糖:原料の搾り汁を結晶と糖蜜に分け、その結晶が砂糖となります。主な製法は遠心分離機にかけて分離させ、糖蜜を取り除いています。家庭でよく使われている上白糖やグラニュー糖は精製糖に含まれる砂糖です。

含蜜糖:原料の搾り汁を煮詰めて作られています。この製法ではミネラルなどが除去されずにそのまま含んで作られるので、砂糖にもミネラルが豊富なのが特徴です。

この精製糖と呼ばれる砂糖として代表的に知られているのがグラニュー糖・上白糖になります。精製糖の中ではさらに細かく種類が分かれていきます。細かく見ていきましょう。

より詳しい砂糖の種類と分類の解説はこちら

精製糖の種類

 精製糖とは上でも説明したように、主原料から不純物を取り除いて結晶と糖蜜に分け、さらに精製された結晶のことを呼びます。取り出した結晶の大きさや固形・液体などの形状によって、さらに種類を“車糖・双目糖・液糖・加工糖”の4つに分けています。

車糖(くるま糖)とは

 砂糖の結晶が細かくしっとりしているのが特徴です。細かさは0.1~0.2㎜。
細かい結晶同士がくっつかないように、転化糖と呼ばれる糖液をコーティングしてあるためしっとりとした質感になります。その質感からソフトシュガーとも呼ばれています。車糖には色の違いがあり、純度が高く白い順に、上白糖→中白糖→三温糖の3種類に分かれています。

精製糖を海外から輸入する際、蒸気機関車を使って輸入したことや機械をつかって精製されることが車糖と言われる名前の由来の1つとされています。

上白糖とは


 上白糖は普段の生活で馴染み深い砂糖ですが、実は一般的に使っているのは日本だけです。世界ではグラニュー糖が一般的に使われている砂糖になります。コクがありクセが少なく、甘みが強いのが特徴の1つです。そのため料理からお菓子まで幅広く使われています。水に溶けやすい性質もあり、コーヒーや紅茶などの飲み物に使うことも向いています。

転化糖でコーティングしている影響で、メイラード反応がグラニュー糖より起きやすいことから、焼き菓子に使うと焼き色がつきやすくしっとりと仕上がるため重宝されています。ですがその特徴から、白く仕上げたいお菓子や甘さを抑えたい料理などには他の砂糖と使い分ける必要があります。
※転化糖とは・・・加水分解によってショ糖をブドウ糖と果糖に分けた甘味料
 メイラード反応とは・・・糖とタンパク質が過熱することにより褐色に色がつくこと

醤油との相性がよく和食で欠かせない砂糖だったことから日本では1番使われる機会が多くなったようです。スーパーやコンビニなど、購入場所を問わず手に入れることが出来る便利で万能な砂糖になります。

中白糖とは


 上白糖より少し精度が低いため色も少し黄褐色の色をしています。車糖の中では2番目に純度の高い砂糖となり、上白糖を作った後、さらに精製して作られています。水分と転化糖が上白糖より多くよりしっとりした質感となり、さらに強い甘みが特徴となっています。甘みが強いことから和菓子でもみたらしのタレや餡をはじめ、製菓やパンに使われることが多いです。最近は一般的には販売されていないため、見かけることも使う機会も少ない砂糖です。

三温糖とは


 三温糖は実は日本特有の砂糖になります。色が含蜜糖と似た淡い茶色をしているため体に良さそうと思われていますが、成分などは上白糖とほとんど変わりません。上白糖を作るときに出る糖液を再利用し、結晶化させて作っています。そのため、上白糖に比べると多少ミネラルが含まれています。

また、製造過程で何度も過熱をしカラメル化させているため、淡い茶色の色がつき、カラメル特有の香ばしい風味がとコクが出るのが特徴です。照りやコクを出したい料理に向いており、照り焼きや煮物をはじめ、和食で使われることが多いです。上白糖に比べると手間がかかっているため、価格は少し高めになります。

自分の好みの甘さや風味、使用用途によって上白糖・三温糖を使い分けるのも良いかもしれませんね。

双目糖(ざらめ糖)とは

 結晶が大きく、ざらざらしている砂糖です。結晶の大きさは0.2~3.0㎜。上白糖に比べると粒が大きくざらざらしていることが“ざらめ”と言う名前の由来になっているとも言われています。元は粗目と呼ばれていましたが、あらめが訛ってざらめになったとも言われています。漢字の双目は当て字になっています。
ちなみに、グラニュー糖のグラニューは英語の“guranulate”が名前の由来になっており、意味は粒状にする・ざらざらにする。英語表記のグラニュー糖はgranulatedsugarとなります。また、別名ではハードシュガーとも呼ばれています。

グラニュー糖とは


 上白糖より粒が大きい砂糖になります。砂糖の主成分であるショ糖を結晶化させて作っているため、純度が高くあっさりとした淡泊な甘さが特徴です。クセも少なく素材の良さを活かすことに向いていることから、果実をそのまま使うジャムやコーヒー・紅茶などの香りを楽しむ飲み物との相性がとても良いです。溶けやすいことも相まって、喫茶店に置いてある砂糖も基本的にはグラニュー糖が置かれているお店が多いと思われます。

また、上白糖に比べると水分が少なくサラサラしており、お菓子作りに使うと軽い仕上がりになります。これは、上白糖と違い砂糖にほとんど転化糖をコーティングしていない上に純度が高いのが1つの理由です。ホイップクリームやメレンゲを作るときに使うと、きめ細かいクリームが出来ます。上白糖など他の砂糖を使って上手く作れないときにはグラニュー糖に変えて作ってみてください。

世界的にみると1番使われている砂糖はグラニュー糖となり、海外で砂糖と言うとグラニュー糖が出てくることが多いでしょう。上白糖を主に使っている私たち日本人からしたら、意外な事実なのかもしれませんね。

白双糖(しろざらとう)とは


 ざらめと言えばピンとくる砂糖が白双糖になります。大きさは1~3㎜、グラニュー糖よりさらに粒が大きく透明で純度の高い砂糖となっており、高級なお菓子などに使われていることが多いです。氷砂糖ほどではありませんが、ゆっくり溶けていく特性から果実種などのお酒を作る際に使われることも多くあります。価格は高価なため、一般的に使われることは少ないです。

純度が高いことからクセが少なく、上品な甘さを持ち合わせています。高温にも強く着色しにくいため、おせんべいや焼き菓子のトッピングに使われることも多いです。綿菓子やカステラの底のガリっとした食感の砂糖と言えばこの白双糖が使われています。このように、甘さを出したいときに使うよりも食感を作りたいときに使われることも多い砂糖となっています。

中双糖(ちゅうざらとう)とは


 結晶は白双糖とほとんど同じ大きさの淡い黄褐色をした砂糖です。三温糖と同じく何度も過熱して作られていますが、さらにカラメルを添加して作られているのも特徴の1つになります。あえてカラメルを添加することにより、砂糖の色をムラなく淡い黄褐色の色に仕上げることが出来ます。それにより、砂糖自体にカラメルの香ばしい風味とコクが生まれるのです。白双糖に比べるとまろやかな甘みがあり、煮物や佃煮、つゆなどをはじめ和食でもよく使われています。

白双糖と同じくざらめとも呼ばれ綿菓子にも使われていますが、現在は白双糖が使われることが多くなっています。少し前では“黄ざら”とも呼ばれ親しまれていたそうです。理科の実験でも馴染み深いカルメ焼きはこの中双糖を使って作られています。自宅で作る際にはぜひ中双糖を使って作ってみてください。

精製糖を利用したその他の砂糖の種類と特徴

 ここまで精製糖の種類と特徴を紹介しました。精製糖はそのまま販売されていますが、そのほかにも精製糖を更に加工し料理に使用しやすくなった砂糖があります。その加工された砂糖について解説をします。

液糖

 ジュースなどの飲料に主に使われている液体状の砂糖です。
「ショ糖果液糖」と呼ばれる砂糖の原料である糖液をそのまま使って作られているものやグラニュー糖や上白糖を溶かして濃度を調整しているものがあります。

加水分解をしてブドウ糖と果糖に分けた転化糖を液糖に加えた「転化型液糖」と呼ばれるものもあります。これは普段の生活で使う人も多いガムシロップやチョコレートソースなどの調理用ソースに含まれていることが多いです。

また、さつまいもやとうもろこしのデンプンを分解し、ブドウ糖と果糖を主成分とする「異性化糖」というものもあります。よくジュースなどの原材料に記載されている“ブドウ糖果糖液糖”や“果糖ブドウ糖液糖”が異性化糖の一部になります。ジュースをはじめ、ゼリーやアイス、みりんなどの調味料など多くの食品に含まれています。

加工糖

加工糖とは、グラニュー糖などをさらに加工した砂糖のことを言います。角砂糖や氷砂糖、粉砂糖などが加工糖に含まれています。

角砂糖


 グラニュー糖に濃度の高い砂糖の液を加えて混ぜ、型に入れて固めた砂糖が角砂糖です。コーヒーや紅茶などの飲み物に入れるイメージが強いですが、すべて砂糖から出来ているため料理やお菓子に使っても大丈夫です。

白い角砂糖はグラニュー糖から作られていますが、茶色の角砂糖は三温糖や黒糖、きび糖などのブラウンシュガーと呼ばれる茶色の砂糖全般から作られています。三温糖はそこまでクセがないのですが、黒糖やきび糖から作られた角砂糖はクセがあるため風味やまろやかさを出したい場合に使うのがおすすめです。

氷砂糖


 見た目が氷のような砂糖からこの名前がつきました。機械によって3~4日で作られる小さな結晶の「クリスタル」と昔ながらの製法で2週間かけてゆっくり大きな結晶を作っていく「ロック」と呼ばれる2種類の氷砂糖があります。

どちらも砂糖水から作られていますが、製法により溶ける速度が変わるのも特徴となっています。といっても、グラニュー糖や上白糖など通常の砂糖よりは溶ける速度は断然ゆっくりであるため、長期間かけ素材のエキスを出して漬け込む梅酒や果実酒、シロップを作る際には欠かせない砂糖です。他にも、ジャムや煮物に使うのもおすすめです。また、長期保存が可能なため、非常食としてもよく使われています。

粉砂糖(粉糖)


 グラニュー糖を粉砕して粉末状に加工した砂糖です。水分を含んでしまうと固まってしまうため、コーンスターチなどのデンプンやオリゴ糖を混ぜて固まりにくく作られているものもあります。

アイシングというお菓子にかけたり、デコレーションとして使われるペーストを作るときに使われる砂糖でもあるため、“アイシングシュガー”とも呼ばれています。粉砂糖自体も、主にケーキやクッキーなどスイーツのデコレーションとして使われることが多い砂糖です。

顆粒状糖(フロストシュガー)


 グラニュー糖や白双糖を溶けやすく顆粒状に加工した砂糖を顆粒状糖と呼びます。粉末状にしたグラニュー糖に霧吹きで加湿し成型したもの。または、砂糖液を噴霧し乾燥させた細かい穴が開いている構造の砂糖です。

フロストシュガーとも呼ばれており、霜のように素早く溶けるという意味合いから“霜=Frost”と”衣がけする=frosting“という英語が名前の由来となっています。空気が含まれているため、冷たいものにも溶けやすく混ざりやすいのが最大の特徴です。

精製糖について紹介してきましたが、精製糖だけでも実はこんなにも種類があることが分かりました。普段なにげなく使っている砂糖を料理やお菓子など使う用途によって変えてみるといつもと違う仕上がりや風味、甘さを楽しむことが出来ます。ぜひ、気になる砂糖を使ってその違いを感じてみて下さいね。