料理に加えるとごまの香ばしい香りや味が感じられるごま油は、製法の違いによる種類もいくつかあるため選択肢も多く使いやすい万能な油です。その中でも近年見かけることが多くなった種類が「太白ごま油」です。透明な見た目をしている太白ごま油ですが、一般的なごま油とはどのような違いがあるのでしょうか。今回は太白ごま油について特徴や使い方など紹介していきます。
太白ごま油とは
ごまから油を抽出する際に焙煎をしてから搾油する一般的な茶色いごま油と違い、ごまを焙煎せず生のまま圧力をかけて搾油し精製したものが「太白(たいはく)ごま油」になります。その大きな特徴は色と香りです。
ごま油は原料となるごまを高温で炒ることで特有の褐色と香ばしい香りが生まれます。しかし、焙煎していない太白ごま油は基本的には無色透明で、ごま油の特有な香りもありません。さらに、栄養素が焙煎しているものより多く含まれるため旨みもギュッと凝縮されています。クセもなくすっきりしていますがコクも感じられるため食材の風味を引き立たせることに長けており、一般的なごま油よりさらに使い勝手がよいのが太白ごま油の特徴となっています。
ちなみに、名前についている“太白”は古代中国において呼ばれていた金星の名前から付けられており、竹本油脂株式会社の商標登録となっています。メーカーや商品によっては、太白と記載されていても軽く焙煎している場合や同じ製法であっても“ごま油白口・白口胡麻油”のように記載されている名前が違うことがありますが、メーカーの違いによるものであるためどれを選んでも大丈夫です。しかし、透明に近い色をしているごま油でも違う製法で作られているものは存在しています。製法が違う場合、太白ごま油とは記載されていませんが間違いやすい名称が記載されていることもあるため、初めて購入する際やどれを選んだらよいか迷う場合は商品名に“太白ごま油”と記載しているものを選ぶのがよいでしょう。
太白ごま油の栄養や使い方
先ほどもお伝えしたように太白ごま油は焙煎していない分栄養素を多く含んでいますが、基本的に含まれている栄養素やその効果は一般的なごま油と変わりません。酸化しにくく熱にも強い特性も変わらず持ち合わせているため、使い方も炒め物・揚げ物・ドレッシング・スープ・和え物などどの料理にも使えますが、旨みやコクがあるため他の植物油には出せない食材の甘みや旨みも感じることが出来ます。また、乳化しやすい性質であるため分離しにくく、なめらかなドレッシングを作ることが出来ます。さらに太白ごま油は一般的なごま油には出来ない使い方がいくつかあります。
調理以外での食用の使い方
調理以外ではお菓子作りやパンを作る際にバターの代わりに使えることです。液状であるため軽量がしやすく、なによりバターなど固形のものによくある常温に戻すという作業をする必要がありません。このため時短にも繋がります。さらに、動物性油脂は焼きあがった後に冷めることで生地が硬くなる特徴がありますが、太白ごま油を使うことで冷めてもふわっと柔らかい状態を維持することが出来、油にくくないさっぱりとした口当たりにすることが出来ます。
食用以外の使い方
実は太白ごま油は、インド・スリランカで生まれた世界最古の伝統医学“アーユルヴェーダ”でも病気の予防や若返りなどの美容目的としても古くから使われていたと言われており、その中でもうがいやマッサージに使うことは一般的な使用方法でもあったそうです。そのため、食用の目的以外でも万能に使える油になります。
効果的な使用方法1:うがい
ごま油には老化の原因となる活性酸素を抑制する働きがあるゴマリグナンという成分が含まれており、特に太白ごま油・白ごま油にはその成分も豊富に含まれています。この働きによりシミ・しわなどの老化防止、抜け毛予防などアンチエイジングの効果が期待出来るのはもちろん、口の中の乾燥や口臭・虫歯・歯周病など口内環境や口内でのトラブルを改善・予防する効果も期待出来るのです。
また、口内の乾燥を防ぐだけでなく唾液の分泌を促す効果もあるため、風邪の予防や免疫機能の活性化、のどの調子を整えるなど健康にも繋がりやすくなります。よい点がたくさんある太白ごま油・白ごま油のうがい方法ですが、取り入れるにはキュアリングという保存処理を事前にする必要があります。
キュアリングの仕方
1.ごま油を鍋に入れ弱火で90℃まで加熱し、火を止めて冷ます
2.冷めたら清潔なビンに移し直射日光の当たらない暗所で3カ月を目安に保存
ひと手間かかりますが、このキュアリングをすることでごま油が酸化しにくくなり質も下がりにくくなります。酸化しづらくなっていますが、3か月以内に使い切るようにして下さい。そして、うがいの方法にも普通のうがいと違い少し気を付ける点があります。
うがいの方法
1.歯磨き粉を付けずに歯磨きをする
2.スプーン1杯を口に含みのどなど口の中全体にごま油が行くようにうがいをする
3.飲み込まずティッシュなどに吐き出して捨てる
行う頻度は週に3回~毎日、1日1回数分程度が推奨されています。アーユルヴェーダでは朝・夕方それぞれに推奨される時間帯もありますが、絶対という決まりはないため負担のない行いやすいタイミングで大丈夫です。大きな副作用は基本的にありませんが、うがいの最中に油が器官に入ることで肺炎を引き起こす可能性があることや口内の細菌がたくさん含まれているため、飲み込んでしまわないように注意が必要です。また、人によっては好転反応といって一時的に頭痛や吐き気、口内炎、肌荒れなどの不調を起こすことがあります。1週間程度で落ち着くことがほとんどですが、長引く場合や体調がつらい場合は体質に合っていない可能性もあるため中断するうようにして下さい。
効果的な使用方法2:クレンジング
ごま油には抗酸化作用の強い成分が豊富に含まれていますが、うがいと同じく太白ごま油・白ごま油には特に多く含まれています。そのため、血行や新陳代謝が上がり肌のターンオーバーやアンチエイジング効果の期待が大きく、さらに他の油より粒子が細かいため肌に吸収されやすく内側からの保湿効果が高いです。この特徴で取り入れたい使い方がクレンジングです。
クレンジングの仕方
1.2プッシュほどの量を手に取り、濡れていない顔に5分ほど優しくマッサージしながら全体になじませる
2.ティッシュで軽くごま油をふき取り、通常通り洗顔して終わり
メイクもしっかり落ちますが、不要な洗浄成分が含まれていないためメイクをしていない日にもマッサージとして使うことが出来ます。洗い上がりのつっぱりがなく、高い保湿効果によりしっとりした質感を感じることが出来るでしょう。そのままでも使えますが、うがいと同じく事前にキュアリングしておくことで酸化しにくくなるため、日常的に取り入れたい人はキュアリングしておきましょう。
人によっては肌の赤みや炎症も収まったという人もいますが体質に合わない人もいるため、使う前にパッチテストを行って様子をみてから使うようにして下さい。
他にも、適量を洗う前の乾いた頭皮に馴染ませてマッサージをしてから10分ほど置くことで血行の促進と髪質の改善に繋がる、お風呂上りに全身に塗ると保湿効果が高まるなどヘアケアやボディケア、ハンドクリームの代わりとしても使うことが出来ます。特に乾燥肌や髪が乾燥しやすい人には試してもらいたい使用方法です。ぜひ、使用方法や注意事項、自分の体質や体調などしっかり理解した上で太白ごま油を使い、体内からだけでなく体の外からもごま油の栄養を取り入れてさまざまな効果を感じてみて下さい。