白醤油の特徴と産地

 愛知県三河地方が発祥・主生産地であり、うすくち醤油よりさらに淡い琥珀色をしています。うま味や香り、色が控えめなため素材を活かすための醤油です。今回は白醤油について解説をしていきます。

白醤油とは

 白醤油は他の醤油と同じく大豆と小麦を原料に作られる醤油ですが、濃口醤油や淡口醤油は大豆と小麦の比率が1:1であるのに対して白醤油は大豆が1、小麦が9と小麦の占める割合が圧倒的に高い点が他の醤油と異なります。白醤油の熟成期間はJAS法に定める醤油の中で最も短く、熟成期間は1〜3ヶ月程度とされています。熟成期間も短いことから色が薄く淡い琥珀色をしており、色の薄さから白醤油と名付けられたとされています。

 また、大豆を一切使用しない白醤油も存在しますが、大豆を使用しないとJAS法により醤油と名乗ることができないため、大豆を一切使用しない白醤油は減っているとされています。

 製造している醤油蔵は少なく現在では多くの飲食店で使用されたり、スーパー等でも購入できますが戦前は高級調味料として重宝されていたようです。戦後の食生活が向上し、見た目を重視することが増え全国的に需要も広がっていきました。しかし、生産しているメーカーや蔵元が限られるため、生産量は全体の0.7%と一番低いです。

 また、白醤油の起源は愛知県碧南市とされており、当時金山寺味噌を作っている際に生じる上汁が淡い色をしており、美味しかったことから醤油として使用を始めたことが始まりとされています。

白醤油の栄養成分(塩分濃度)

 白醤油の塩分濃度は18%前後とされており、濃口醤油が16%前後となるため、比較的塩分濃度の高い醤油となります。見た目は白色で薄い味の印象ですが、塩気はしっかり効いています。また旨味成分であるグルタミン酸の量はJAS法で定められる5種の中で最も少なく500mg前後とされています。醤油自体の旨味が少ないため、料理で使われる場合食材の味を邪魔せず、食材の味を活かす料理に合うとされています。

白醤油の作り方

 白醤油も原料は同じく大豆と小麦を使用して麹を作り熟成をさせていきます。濃口醤油を作る際には熟成している醤油を撹拌(かき混ぜる)ますが、白醤油は撹拌をしません。また底に溜まった白醤油を引き抜く「生引き」(一番搾り)と、残った諸味を圧搾(二番搾り)があり、一番搾り白醤油と分けて販売されることもあります。

白醤油の使い方

 うすくち醤油と似た見た目と特徴を持つ白醤油ですが、一番の違いは白醤油は主原料の約90%が小麦であるため、糖分が高く独特の香りと甘みがあります。これが淡泊ながらも穏やかな風味を生み出し、本来持っている素材の味を引き出しまろやかに仕上げてくれます。
 ほとんどの主原料が小麦であることが醤油特有の色がつきにくく淡い琥珀色になります。同様に色がつく原因の1つでもある”加熱処理”をしていないことも特徴となっています。

 白醤油に比べ目にする機会が多いのが「白だし」です。これは白醤油にかつお節や昆布、しいたけなどのだしが加わったもので幅広く使われています。だしが加わっているため白醤油単体よりは色が濃いものが多いですが、うすくち醤油よりさらに淡い色になり、より素材の色味や味わいを楽しみたい料理に使えます。白醤油の甘みとだしのうま味、2つの良さを持ち合わせた手軽に使える調味料なのです。

 ・白身や貝、エビなど淡泊な刺身

  ・卵焼き            ・お吸い物

  ・炊き込みごはん        ・ドレッシング

  ・茶碗蒸し

白醤油を使う地域

愛知を中心に中部地方で愛用
 諸説ありますが、江戸時代後期に三河地方で生産されていた金山寺味噌の上汁の色が淡く、とてもおいしかったことから現在の白醤油が誕生したそうです。

 三河地方は赤味噌の文化が強い地域でそこからたまり醤油が作られています。しかし、色やが濃く味付けも濃厚で濃い味付けになることから料理によっては白醤油が重宝され使い分けてきたとされています。料理人の間ではたまり醤油を「黒」、白醤油を「白」と呼び分けているそうです。
最近ではフレンチ料理でも使われるなど幅広く使われています。