砂糖は料理やお菓子に甘みをつけるために必要な調味料の1つです。日本では砂糖の中でも上白糖という種類を使うのが主流ですが、上白糖以外にも甘みをつけられる調味料はたくさんあります。そのため、上白糖が切れてしまった時や健康のために代用出来る種類があるのかを知っておくことでいざという時に対応することも出来ます。今回はそんな上白糖の代用となる種類と使い方について紹介していきます。
代用出来る甘味料の種類
上白糖をはじめとした食品に甘みをつける調味料のことを“甘味料”と呼びます。甘味料の中でもサトウキビやテンサイなどから採取したしぼり汁を精製して結晶化したものが天然の甘味料となります。その代表的なものが上白糖となり、甘みやコクが強くジャンル問わず使い勝手がよいのが特徴ですが、精製していることから原料に含まれていたビタミン・ミネラルといった栄養素はほとんど取り除かれてしまいます。
上白糖自体が体に悪影響を与えることはありませんが、料理やお菓子を作る際には欠かせない調味料であるため、日常的に使うのであれば栄養素がより多く含まれている種類に変えようと考える人も少なくありません。また、甘みは料理やお菓子の仕上がりにも大きな影響を与えるため、甘みを抑えたい・甘みの種類を変えたいといった場合や上白糖とは違ったコクや深みを出したいなどさまざまな目的や状況に応じて砂糖を変えることもあります。
上白糖の代用として使いやすく手軽に手に入れられる種類としては
- グラニュー糖
- てんさい糖
- 黒砂糖
- きび砂糖
- ラカンカ
- はちみつ
- メープルシロップ
- みりん
- 甘酒
などが挙げられますが、これらの種類は風味などにどのような特徴があるのでしょうか。自宅に常備していた場合、上白糖が切れてしまった時の代用としても使うことが出来るため、ひとつずつ風味の特徴や使い勝手のよさなどを紹介していきますね。
グラニュー糖
メリット・デメリット
料理・お菓子・飲み物など全般に使える
煮物や煮込み料理などコクを出す場合や栄養を摂取したい場合にはおすすめしない
購入出来る場所
スーパー全般・コンビニ・ディスカウントショップ・ドラッグストアなど
上白糖より結晶が大きくさらさらしており、さっぱりした甘さが特徴のグラニュー糖は上白糖の代用として使うことが出来、特に素材の香り・味を活かしたい料理やお菓子作りにはおすすめです。ただし、上白糖と同じく精製して作られているため栄養素はあまり含まれておらず、コクが出にくいことから煮物などの料理は物足りなさを感じてしまうことがあります。
しかし、焼き色がつきにくい性質を持っているため卵焼きなどに使うとあっさりした味わいと綺麗な色の仕上がりにすることが出来ます。また、結晶が大きい分大さじ1の重さが違い、上白糖:大さじ1=9gに対してグラニュー糖:大さじ1=12gとなります。上白糖と同じ量を使うとかえって甘くなってしまうためグラニュー糖を代用する時には少なめに使うなど量を調整した方がよいです。
黒砂糖
メリット・デメリット
健康・美容のために多くの栄養素を摂取したい・コクを出したい料理や和菓子にはおすすめ
素材の色や味などを活かす料理・お菓子、上白糖と同じ仕上がりにするのは不向き
購入出来る場所
大手/大型スーパー・ディスカウントショップ・ネット販売など
サトウキビのしぼり汁を精製せずそのまま煮詰めて作られているため、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルやビタミンなどの栄養素が豊富に含まれており、健康・美容効果を期待したい場合には非常におすすめです。甘みがまろやかでありながらも濃厚ですが、栄養素が豊富な分、独特の風味や渋み、苦みなどを感じやすくなっています。また、濃い茶色をしていることから料理・お菓子の風味や見た目にも強く影響するため、あっさりした料理や素材の色・味を活かす料理、お菓子などに上白糖と同じように使うのはあまり向いていません。
しかし、上白糖とは違ったコクを出しやすいため、煮もの・煮込み料理・カレー・和菓子などに隠し味として使うと深みが出て美味しく感じられます。ブロックタイプと粉末タイプが販売しており、どちらでも使うことは出来ますが粉末タイプの方が溶けやすいため使い勝手はよく上白糖ようり少なめに使って甘さを調整していくのがよいです。
きび砂糖
メリット・デメリット
クセは少なくミネラルなどの栄養素を摂りたい、甘さを抑えたい時におすすめ
強い甘さを出す時には不向き
購入出来る場所
スーパー全般・大型ディスカウントショップ・ドラッグストアなど
きび砂糖はサトウキビのしぼり汁を精製する途中で煮詰めて作られています。完全に精製していないため黒砂糖よりクセが少なく、上白糖よりミネラルなどの栄養素も多く含まれているちょうど上白糖と黒砂糖の間のような砂糖になります。
そのため見た目は薄い茶色をしていますが、価格も比較的低めで料理などの向き不向きをあまり出さない万能な砂糖として普段使いするのもおすすめです。優しい甘さとコクがあり、上白糖と同じように使うことが出来ます。特に日本料理との相性がよく、サトウキビの風味がほんのり残っているのもきび砂糖の特徴といえます。
てんさい糖
メリット・デメリット
クセは少なくミネラル・オリゴ糖を摂取したい、甘さを抑えたい時におすすめ
強い甘さを出す時には不向き
購入出来る場所
大手/大型スーパー・ディスカウントショップ・ドラッグストアなど
甜菜(てんさい)またはサトウダイコン・ビートと呼ばれる野菜の根を粉砕し煮出して作り出されたのがてんさい糖です。ほうれん草の仲間でありながらも大根やカブに似た見た目の甜菜は日本では北海道で生産されているため、サトウキビから作られる砂糖より主流ではないですが、クセが少なく穏やかな甘みがさまざまな料理やお菓子に使いやすいとされています。また、精製していないことから上白糖には含まれていないカリウム・カルシウムなどのミネラルやオリゴ糖が豊富に含まれています。きび砂糖と同じく、料理などの向き不向きを出しにくく甘さを抑えたい場合や普段使いとして上白糖の代わりに使うのもおすすめです。
ラカンカを使った甘味料
メリット・デメリット
カロリー・糖類をカットしつつ上白糖と同じような甘さを出す時におすすめ
保存性がないため日持ちしない
購入出来る場所
大手/大型スーパー・ドラッグストア・ネット販売など
中国生まれの「羅漢果(ラカンカ)」は甘さが砂糖の約300~400倍もあると言われているウリ科の果実です。ラカンカから作られる甘味料は、商品によっては砂糖と同じ甘さで作られているため代用しやすいですが、濃縮してあるものは甘みも強くなるため量を調整して使う必要があります。
1番の特徴はしっかり甘みを感じられるにも関わらずカロリー・糖類ともにゼロという特徴を持っているため、ダイエットなど減量をしている人にはとてもおすすめの甘味料です。加熱しても甘みが変わらないことからさまざまな料理やお菓子に使え、天然由来の成分であるため不足しがちな食物繊維も含まれています。そのため、カロリーや糖類を気にしつつも上白糖と同じような甘さを出したい場合にはラカントを使うのがよいでしょう。しかし、保存性は持ち合わせていないためお菓子などを作る際には日持ちしないことを前提に作るようにして下さい。
はちみつ
メリット・デメリット
料理やお菓子づくりなど幅広く万能に使える
甘みが強くカロリーや値段が高い
購入出来る場所
スーパー全般・コンビニ・ディスカウントショップ・ドラッグストアなど
ミツバチが集めた蜜から作られるはちみつは濃厚で強い甘みがあり、サラダやおつまみ、ヨーグルトなどにそのままかけて使えることや和食・洋食など使い勝手の幅も広く料理やお菓子などさまざまなものに使うことが出来ます。また、集められた花の種類によって香りや味が変わり、ナトリウム・カリウムといったミネラルが豊富に含まれているのも特徴となっています。
しかし、その風味が料理によっては強く感じてしまうことや糖度が高いことから上白糖と同じ量を使うとかなり甘くなってしまうため、半分~7割くらいに量を減らして少しずつ調整するのがよいです。カロリーも上白糖より2倍ほど高く、体質によっては下痢などを引き起こす可能性があるため使いすぎには注意して下さい。
メープルシロップ
メリット・デメリット
一部置き換えとして肉・魚料理・お菓子づくり・日本食などに使うのがおすすめ
値段が高く特有の風味があるため相性がよくない料理がある
購入出来る場所
大手/大型スーパー・大型ディスカウントショップ・ネット販売など
カエデの樹液を煮詰めて作られるメープルシロップは芳醇な香りとまろやかな甘さが特徴です。また、ミネラルやポリフェノール、20種類以上の抗酸化物質が豊富に含まれていることやはちみつに比べるとカロリーも低めであるため生活習慣病や肌のターンオーバーなどを期待したい場合にはおすすめです。
しかし、上品ではあるものの特有の風味があるため、上白糖の代用として使うとメープルシロップの風味を強く感じてしまうことがあります。また、採取する期間が限られていることや手間がかかることから値段も高めとなっているため、肉料理や魚料理、お菓子づくりを中心に砂糖の一部置き換えとして使うのがおすすめです。実は日本食との相性もよいため量を調整して使うことで和食の美味しさを引き出すことも出来るでしょう。
みりん
メリット・デメリット
上白糖が切れてしまった時に料理の甘みをつける代用として使える
お菓子づくりや上白糖の代わりに常備するのは不向き
購入出来る場所
スーパー全般・コンビニ・ディスカウントショップ・ドラッグストアなど
もち米や米麹、焼酎を原料に作られるみりんも実は上白糖の代用として使うことが出来ます。砂糖のようなしっかりした甘さはありませんが上品でさっぱりした甘さやコクを持っているため、上白糖が切れてしまった時に炒め物や煮物などの料理に代用することが出来ます。
上白糖:大さじ1と同じくらいの甘さとしてはみりん:大さじ1.5を目安に使うとよいでしょう。しかし、上白糖が固形であるのに対して液体のみりんは大さじ1=18gと重さが違うため、g表記のレシピの場合は使う量を調整する必要があります。また、料理に代用することは出来ますが甘さが少ないためお菓子作りには代用しない方がよいです。
甘酒
メリット・デメリット
料理の種類によっては甘酒の風味を感じるが和洋中・お菓子など万能に使うことが出来る
栄養が豊富であるため健康・美容目的にもおすすめ
購入出来る場所
スーパー・コンビニ・ドラッグストアなど
米麹や酒粕を原料に作られる甘酒はまろやかで自然な甘さを感じられるため、みりん同様に上白糖が切れてしまった時の代用として使うことが出来ます。しかし、思っている以上に万能であるため、代用で使ったつもりが上白糖の代わりに常備し普段使いとして手放せなくなるという人もいるほどです。
料理全般に使えますが、料理の甘さを出すだけでなくコクを出してくれること、肉や魚に使うと麹の力が働いて柔らかく仕上げてくれるため、煮もの・煮込み料理・照り焼きなどに使うと上白糖では感じられない美味しさや肉質の違いなどを感じられるでしょう。甘酒といってもアルコールは含まれておらずアレルギー物質もほとんどないため使いがってもよいです。
また、発酵食品である上に食物繊維やオリゴ糖、ビタミンなどの栄養素も豊富に含まれており、カロリーが上白糖の約半分以下と低いため、健康や美容を意識している人やためカロリーを抑えたい人にもおすすめです。砂糖の代わりに使う場合は酒麹でなく米麹を使った甘酒を大さじ2を目安に使うのがよいでしょう。
他にも紹介した甘味料より手軽ではありませんが低GI値でミネラルが豊富、まろやかな甘みを持つココナッツシュガーやリュウゼツランという植物から作られるアガベシロップも上白糖の代用として使うことが出来、どちらも強い甘みを持ちつつもクセが少ないため使い勝手がよいです。
どの甘味料も上白糖の代わりとして料理やお菓子に使うことが出来ますが、それぞれに風味やクセ、甘みの強さ、含まれている栄養素の違いなどの特徴があり、把握しておくことでより相性のよい効率的な使い方をすることが出来ます。上手に代用して上白糖以外の甘味料の持つよさも体感してみて下さい。