皆さんはゴジベリーという食べ物をご存じですか?あまり聞いたことがないという人の方が多いかもしれないゴジベリーですがスーパーフードの1つとして人気があり、実は日本では違う名前として馴染み深い食べ物でもあるのです。今回はそんなゴジベリーの見た目や風味といった特徴、含まれている栄養素、その効果について紹介していきます。
ゴジベリーとは
海外ではゴジベリーと呼ばれている食べ物の正体は、杏仁豆腐や中華粥などのトッピングとしてよく使われているあの赤い実“クコの実”のことになります。ゴジベリーと言われると分からない人でも杏仁豆腐の赤い実やクコの実などと言われればピンとくる人も多いのではないでしょうか。
クコの実はナス科クコ属に属している植物であり、ゴジベリーの他にも海外ではウルフベリーと呼ばれています。6~7月と9月の2回薄紫色の花を咲かせ、秋ごろには真っ赤な色をした果実を実らせます。ただし、私たちが馴染みのあるクコの実は、本来はクコの果実を乾燥させた「枸杞子(くこし)」と呼ばれているものであり、クコの果実自体は小さくて細長いプチトマトやサクランボをイメージするような見た目をしています。しかし、かわいらしい見た目によらず果実は、ナス科特有の苦味・渋み・青臭さなどを感じるため基本的には生のままでは食べられず、果実が潰れやすい性質もふまえてドライフルーツのように乾燥させているものが一般的となっています。水分を抜いて乾燥させると甘みが凝縮し、ほんのり甘酸っぱい風味を感じるため食べやすくなるのです。
原産地は中国を中心とした東アジアであり、「不老長寿の薬」として中国では紀元前から食べられてきたとされています。枸橘(からたち)のように棘があり、枝が杞(やなぎ)のようにしなやかであることから枸杞(くこ)という名前が中国で付けられました。古くから果実は枸杞子(くこし)、葉は枸杞葉(くこよう)、根皮は地骨皮(じこつひ)と呼ばれる生薬として漢方や薬膳の材料として使われてきた歴史があるため、世界三大美女の1人でもある楊貴妃も美しさを保つために毎日食べていたと言う逸話も残っています。
日本にも平安時代には伝えられていたとされており、当時の文徳天皇はクコ園を作って愛用していたとされています。江戸時代にも将軍・徳川家康が健康のために愛用していた食べ物としても有名であり、クコの実でもあるゴジベリーは現在、日本各地で自生・栽培されているのです。
楊貴妃や徳川家康なども長く愛用していた大きな理由として、ゴジベリーにはビタミンやミネラルなど非常に多くの栄養素が含まれており、その種類は約100種類ともいわれるほどです。そのため、健康だけでなく美容にも効果的な栄養素がたくさん詰まっていることから、ハリウッドセレブやモデルなどを中心にスーパーフードの1つとして食生活に取り入れる人が増えています。
ゴジベリーに含まれる栄養素とその効果
クコの実として日本でもスーパーなどで手に入れられるゴジベリーですが、気になるのは含まれている栄養素とその効果ですよね。ゴジベリーには一体どのような栄養素が多く含まれているのでしょうか。
ゴジベリーは一般的に乾燥した状態で販売されているため、同じく栄養価が高く乾燥した状態のドライプルーン100gと比較してみました。
100gあたり | ゴジベリー(乾燥) | ドライプルーン |
カロリー | 387kcal | 211kcal |
たんぱく質 | 12.3g | 2.4g |
脂質 | 4.1g | 0.2g |
炭水化物 | 75.3g | 62.3g |
ビタミンA | 250μg | 100μg |
ビタミンE | 5.7mg | 1.3mg |
ビタミンK | 10μg | 92μg |
ビタミンB1 | 0.28mg | 0.07mg |
ビタミンB2 | 0.4mg | 0.07mg |
ナイアシン | 4.6mg | 2.1mg |
葉酸 | 99μg | 3μg |
パントテン酸 | 0.71mg | 0.32mg |
ビタミンC | 9mg | 0mg |
ナトリウム | 510mg | 1mg |
カリウム | 1400mg | 730mg |
カルシウム | 47mg | 57mg |
マグネシウム | 77mg | 40mg |
リン | 180mg | 69mg |
鉄 | 4mg | 1.1mg |
亜鉛 | 1.2mg | 0.4mg |
銅 | 0.69mg | 0.27mg |
マンガン | 0.71mg | 0.36mg |
食物繊維 | 1.3g | 7.1g |
参考:カロリーSlism https://calorie.slism.jp/
種類も豊富なビタミン
ビタミンKはドライプルーンの方が多いものの、それ以外のビタミンはゴジベリーの方が多く含まれているのが分かります。ビタミンEには強い抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑えて老化予防や肌・髪などのアンチエイジング効果、冷え性・肩こりの改善に繋がります。また、ビタミンCにはシミやそばかすの原因となるメラニン色素の沈着を予防する効果もあるため、美容を意識したい人にとっては非常に嬉しい効果を期待することが出来ます。
他にもビタミンCには血液中の白血球を活性化しウイルスや細菌に対抗する力があるため、風邪をはじめとした感染症の予防や免疫力・病気の回復を高める効果があること、ビタミンB1・B2・葉酸・ナイアシンなど多種類のビタミンB群は主にエネルギー源となり、乳酸の蓄積を防いで疲労回復を早める効果や滋養強壮剤として利用されるなど、疲れにくく健康な身体を維持するために重要な働きをすることが多いため、健康を意識する人にとっても嬉しい効果が多いのが特徴です。
さらに、ビタミンの中でも特に多く含まれるビタミンAは抗酸化作用の他にも、目の健康を守るために必要なビタミンとなります。それに加え、紫外線やブルーライトなどから発生する有害な光から目を保護する働きのあるゼアキンサンチンという成分もゴジベリーには含まれているため、目を使う機会の多い現代において眼精疲労の改善や視力低下・白内障などといった病気の予防にも繋がります。
ミネラル・アミノ酸・ポリフェノールも豊富
ゴジベリーにはビタミンだけでなくミネラルも多く、多種類のミネラルがバランスよく含まれているのも特徴です。ゴジベリーに含まれるミネラルはカリウム・マンガン・銅・亜鉛・マグネシウムがドライフルーツの中でも上位に入るほど多いとされており、上記の表の数値を見ても圧倒的に多いカリウム・ナトリウムは体内の水分バランスを整え、神経の情報伝達を行って心臓や筋肉の反応を調節する働きがあるため、健康に生きるために必要な筋力の低下や食欲の低下などを防いでくれます。
また、血管を強くして血流不良を改善する働きのあるヘスペリジンやフラボノイドというポリフェノールも多く含まれているため、ビタミンEと合わせて冷え性・肩こりの改善だけでなく腰痛の改善にも効果を期待することが出来ます。
さらに、人が生きていくために必要なアミノ酸もバランスよく含まれており、特に豊富に含まれる“ベタイン”という種類のアミノ酸は胃液の酸度を調整して負担を減らす効果や糖の吸収を抑制して血糖値の上昇を予防し、肝臓への脂肪沈着を抑える効果があります。さらにビタミンB2の脂質や糖質をエネルギーに変換し脂肪の燃焼を促す効果と合わさることで、ダイエットにも効果的と言われているため、血糖値の上昇を抑えたい場合やダイエットを意識している場合には食前にゴジベリーやゴジベリーを使った食べ物などを摂取するとより高い効果を期待することが出来るでしょう。もともとゴジベリーには幹細胞の再生を促して動脈硬化を予防する効果も持ち合わせているため、コレステロール値や中性脂肪、生活習慣病を気にしている人にとってもおすすめです。
ただし、ゴジベリー100gあたりのカロリーは387kcalとドライプルーンと比べてもかなり高めであり、炭水化物も多めです。健康や美容によいからといって食べすぎてしまうとかえって太りやすくなってしまうため、少量ずつを日常的に継続して食べることがよいとされています。
ゴジベリーを摂取することで期待出来る効果
- 老化予防
- アンチエイジング効果
- 冷え性・肩こり・腰痛予防
- 疲労回復
- 免疫力UP
- 滋養強壮効果
- 眼精疲労改善
- 目の病気を予防
- 血流・血管の改善
- ダイエット効果
- 生活習慣病予防 など
ゴジベリーの食べ方と摂取量
豊富なビタミンやミネラル、アミノ酸が含まれているゴジベリーだからこそ歴代の偉人の間でも愛用されていたのが分かります。より効果的にゴジベリーの栄養分を摂取するためには1日にどのくらいの量を摂取したらよいのでしょうか。
ゴジベリーの1日の摂取目安量は20~30gと言われており、粒で言うと1日20粒を目安に摂取するのが理想と言われています。副作用は少ないとされていますが、栄養豊富なため摂取しすぎるとカロリー過多や体調を崩す可能性があります。また、相互作用を起こす可能性もあるため「ワルファリン」というビタミンK拮抗薬を服用している人はゴジベリーを食べない方がよいでしょう。
摂取方法としては、杏仁豆腐・ヨーグルト・ゼリーといったスイーツや中華粥・あんかけ料理などにトッピングとして入れるのがスタンダードであり手軽に取り入れやすい方法になります。水分を含んでふやけると甘みが増すため、スープやラーメン、鍋などの汁気の多い料理に入れるのもおすすめです。
また、はちみつやメープルシロップなど好きな甘味料で漬け込むことでゴジベリーの実がふっくらするため、シリアルやパンと一緒に食べるのも美味しく食べられる方法になります。はちみつと一緒にレモンも漬け込むとさっぱりした風味を楽しむことが出来ますよ。焼き菓子に使う場合はジュースやラム酒などに漬けて戻してから使うことも出来ます。その場合、漬け込んだジュースなどにゴジベリーの栄養が溶け出ているため、捨てずにそのまま飲むか何かに使うことで余すことなくゴジベリーの栄養を摂取することが出来ます。
そのまま食べたり、スイーツや料理に加えるイメージが強いゴジベリーですが、実はゴジベリーを使ったドリンクもあります。韓国では肝臓や血液によい飲み物として、コップに大さじ1のゴジベリーとお湯を入れた「クコの実茶」を飲む習慣があり、お酒で漬け込んだ「クコ酒」も美容や滋養強壮によいとされているため人気が高いです。他のスーパーフードと一緒に具材として使い、エナジーバーやチアプディングを作るのも流行っているため、自分の好みや取り入れやすい摂取方法をぜひ見つけてみて下さい。
ただし、ゴジベリーに含まれるビタミンCなどの栄養素には熱に弱いものもあるため、料理に使う場合は加熱しすぎず、仕上げのタイミングで加えるのがよいでしょう。
ゴジベリーはもともと果実が小さめですが、乾燥させることでさらに小ぶりになっています。そのため、サプリメントのように持ち運びがしやすく、外出先でも手軽に摂取出来るのが大きなメリットでもあります。また、豊富な栄養に加えて赤いその見た目はサラダやマリネなどの料理に加えると見た目を一気に華やかにしてくれるため、料理やスイーツなどに色どりを加えたい場合にも重宝します。邪魔しすぎない風味も使いやすさに繋がるため、さまざまなものにゴジベリーを加えて健康や美容に繋がる効果を手軽に摂取してみてはいかがでしょうか。
こちらではスーパーフードや他の種類について紹介しています。