生醤油(きじょうゆ)と生醤油(なましょうゆ)の違い

 普段の料理に欠かせない調味料の1つが醤油です。大豆・小麦・塩から作られる醤油には種類や製法によっていくつかに分類されています。こいくち醤油やうすくち醤油は聞いたことがあると思いますが、その中でも「生醤油」という醤油はご存じですか?
近年商品にも記載されているものがあるため、認知されてきている生醤油ですが、どのような特徴があるのか、また使い方についてご紹介していきます。

生醤油とは

 まずはじめに、生醤油には2種類あり、同じ字を書きますが読み方が違います。さらに大きな違いとしては製造工程が違ってきます。

生醤油(きじょうゆ)の特徴と使い方

 1つは「きじょうゆ」と読み、いくつかある製法の中でも本醸造方式という製法により大豆・小麦・塩だけで作られた醤油のことになります。JAS規格(日本農林規格)では塩だけが添加物として認められており、ラベルにも大豆・小麦・塩のみが記載されているのが特徴です。
もともとは料理業界でだしやみりんなどが入っている味付がされた醤油との区別をするために使われており、一般的に使われている醤油は基本的に生醤油(きじょうゆ)に該当することが多いです。また、添加物の入っていない醤油という意味合いで生醤油と記載している醤油もあります。

醤油は製造工程の中で原材料を発酵・熟成をさせて作っており、最後に“火入れ”という加熱処理をすることにより醤油に含まれる微生物や雑菌を取り除いてくれます。さらに、醤油特有の味や色、香りもこの火入れをすることで生まれます。

生醤油(きじょうゆ)の使い方としては先ほども伝えた通り、基本的に一般的な醤油であるため、どのような料理にも調理用やかけ醤油として使え、醤油の風味を楽しむことが出来ます。煮物や照り焼きなど濃い味付けをする料理に使うとコクや深みを出してくれます。

生醤油(なましょうゆ)の特徴と使い方

 もう1つは「なましょうゆ」と読み、生醤油(きじょうゆ)と同じく本醸造方式で作られた醤油になりますが、最後の火入れをしないで作られています。ここが生醤油(きじょうゆ)との1番の違いとなります。火入れによる加熱処理をしていないため雑菌などが醤油に残っているのではと思われますが、代わりに“ろ過”をして微生物や雑菌を取り除いています。そのため、搾りたての新鮮な醤油が味わえるという意味合いで生醤油(なましょうゆ)と言われています。

火入れをしていないため、通常の醤油に比べると香りは控えめですが爽やかな香りが感じられ、色も淡い色合いをしています。味わいもまろやかで素材を引き立てる働きをしてくれるため、使い方といてはかけ醤油やドレッシング、刺身のつけ醤油として使うと生醤油(なましょうゆ)本来の味わいを楽しむことが出来ます。風味、色など全体的に穏やかなイメージがありますが料理全般に使うことが出来、炒め物など料理をする際に火が加わると香りが強く感じられるのも生醤油(なましょうゆ)ならではの特徴となります。

開封後の保存方法としては、どちらも冷暗所や冷蔵庫で保存するのが良いでしょう。特に、生醤油(なましょうゆ)は加熱をしていないため酸化がしやすくなっており、開封後は早めに使うか冷蔵庫で保存した方が良いです。メーカーによっては空気に触れないよう密封された特殊なボトルに入っているものもあるため、早めに使い切れない場合などはボトルによって選択するのもおすすめです。

代表的な生醤油の製造メーカー

  • 佐々長醸造
  • 丸島醤油
  • キッコーマン
  • ヤマサ
  • 純正食品マルシマ

 同じ字を書きますが読み方や製造方法、特徴などに違いのある生醤油は、どちらもさまざまな料理に使うことが出来ます。ですが、それぞれの特徴を活かして使い分けることでより醤油の美味しさを味わうことが出来ます。ぜひ醤油を選ぶ際にこいくちかうすくちかだけではなく、火入れをしているかしていないかも選択の要素として取り入れてさらに料理の幅を広げてみて下さい。