そば粉や乾燥状態の違いと製粉方法

 そばはメニューの違い以外にも、使うそば粉や麺の乾燥状態によって種類がたくさんあります。どのようにそば粉が出来ているのか、そば粉の種類を中心に製粉方法や乾燥状態の違いによる特徴について紹介していきます。

そば粉の種類

 そばは穀物であるそばの実を粉末状に挽いたそば粉を使って作られています。そばの実は中心部である内側から外側に向かって、胚芽→胚乳→甘皮(種皮)→殻という構造になっており、どこの部分を使っているかによって4種類のそば粉に分かれます。基本的に石臼などで製粉される場合は殻を取り中心部からそば粉にしていきます。

一番粉
1番中心の部分である胚芽を使って作られたそば粉が一番粉になります。柔らかいため粉上にしやすくサラサラとした純度の高い一番粉は「更科粉」とも呼ばれていますが、厳密に言うと更科粉は製法が違い一番粉よりさらに純度の高いそば粉になるようです。

一番粉で作られたそばは、そばのイメージにある茶色や薄茶色の色ではなく麺が白いのが最大の特徴となります。そばらしい香りは弱くなりますが、甘みが感じられ上品です。しかし、たんぱく質がほとんど含まれない一番粉はそばとして打つことが難しく、栄養素も他のものに比べると少ないです。

二番粉
一番粉に使われた胚芽の残りや胚乳の部分を使って作られているのが二番粉です。そばとしてイメージの強い、白みのある茶色のそばになり栄養素も高く、そばらしい香りもありバランスが良いです。中層粉とも呼ばれていますが、挽きぐるみと呼ばれるそば粉と性質が似ているため、現在は二番粉だけで製粉されることは少ないです。

三番粉
三番粉は殻に近い甘皮の部分が入るため、そばの色は濃く香りや栄養素も1番強くなりますが、えぐみを感じる場合があります。また、タンパク質が多いためぼそぼそとした食感を感じやすいですが、そばらしい本来の風味を味わいたい場合は三番粉を使ったそばがおすすめです。

挽きぐるみ
最後はそばの実を一番粉から三番粉のように分けず、殻をむいた状態のまま挽いたそば粉を“挽きぐるみ”と呼びます。そば粉によっては殻がついたまま挽いているものもあり、そばの実の粒を感じることが出来る黒っぽい見た目のそばになります。粘りや香りを感じられるのも特徴です。

製粉方法の違い

 そばの実をそば粉として製粉するには大きく分けて2種類の方法があります。1つ目は石臼を使った“石臼挽き製粉”です。石臼の間でゆっくりと時間をかけて押しつぶしながらそばの実を挽く昔ながらの製粉方法です。そばの実は熱が加わると香りが飛んでしまいますが、摩擦熱の少ない石臼で挽くことにより香りが飛ぶのを抑えることが出来ます。また、そばの実を外部や内部など分けずにそのまま挽くため、栄養素や風味が残りやすく弾力のあるそばに仕上がります。しかし、挽くのに時間がかかるため、大量生産には向いていません。

もう1つは”ロール挽き製粉”と呼ばれる機械を使った製粉方法です。2本の回転する金属製のロールの間にそばの実を通して製粉します。機械の中の異なる大きさの網目を通って粒度を揃えることが出来るため、一番粉から挽きぐるみまで挽き分けることが出来ます。大量生産することに向いており安定性や品質が高く、弾力が出るのもロール挽き製粉の良いところです。

乾燥状態による違い

生そば
打ちたての生の状態のそばです。お店でそばを打っているところは生そばを出している所も多く、新鮮だから味わえるそばの香りや味わいを感じることが出来ます。日持ちは出来ず、冷蔵保存であっても長くて2~3日です。生のため短い時間で茹でることが出来ますが、茹ですぎには注意が必要になります。

漢字で書かれている「生蕎麦」という言葉がありますが、読みが”なま”ではなく“きそば”に変わり、つなぎなどを使わずに100%そば粉で作られた十割そばのことになります。

半生そば
専用の部屋で冷風などにより完全に乾燥する前に仕上げられたそばです。生そばに比べると香りは落ちてしまいますが、茹でた後は生そばとほとんど変わらない食感で味わうことが出来ます。保存が出来るように水分を飛ばすなどの加工が入るため、常温で2か月ほど保存することが出来、そばによりますがゆで時間は、生そばが2分前後に対して半生そばは倍の4分前後になります。

乾そば
そばを干して完全に乾燥させたそばであり、干しそばとも呼ばれています。乾燥時には麺に亀裂が入らないように塩を加えて作られているそばが多いようです。長期保存向きであり、常温で1年程度保存することが出来ます。乾燥しているため茹でる時間は1番長く、4~8分程度のものが多いですが、伸びにくい性質から温かいそばに向いています。また、事前に乾そばを水に浸しておくと半分の時間で茹でられ、生麺のような美味しさも味わうことが出来ます。

出来上がったそばには乾燥の状態によって3つに分けられます。それぞれに良い点があり美味しさにも違いがあるためお店ごとにこだわりながら使うそばを選んでいます。お店で石臼で挽いているのか、乾燥の状態はどれなのか紹介しているところも多くあるため、そばを食べに行ったときには注目してみるとよりそばの美味しさに気づけるかもしれません。