そばは日本食の代表的な1つとして男女関係なく子供から大人まで人気があります。そばを選ぶ際に、かけそばやざるそばなどどこのお店にもある定番のそばとは別に、藪そばや更科そば、二八そばなどの名前を聞いたことはありませんか?見たことや聞いたことはあるけれど、一体どんなそばなのかよく分からないという人も少なくないと思います。定番のそばと一緒に特徴を紹介していきます。
定番のそば
はじめに、定番のそばの種類を紹介します。チェーン店から老舗まで扱いがある種類が多いです。
かけそば
麺に温かいつゆがかかっているそばです。基本的には具材はなくネギなどの薬味をかけて食べます。
温かいそば
かけそばに具材が入っているのが一般的で、厚揚げが入ったきつねそばや天ぷらの乗った天ぷらそばをはじめ、天かすが入っているたぬきそば、山菜そば、とろろそば、肉そばなど種類はたくさんあります。
鴨南蛮
鴨肉とネギが入った温かいそばで、南蛮そばや南蛮と呼ぶこともあります。鴨肉の代わりに鶏肉が入ったものを鶏南蛮やかしわ南蛮として提供しているお店もあります。ちなみに名前に入っている南蛮は「ネギ」のことを指します。
ざるそば
茹でたそばを冷水で締め、濃いめのつゆにつけて食べる冷たいそばです。
冷たいそば
温かいそばの冷たいタイプとして、入っている具材も同じものが多いですが、大根おろしやすだちなどの柑橘系、梅など冷たいそばの方が多く見かける具材もあります。
もりそば・ざるそば・せいろそばの違い
ここで1つ疑問になりやすいのが、「もりそば・ざるそば・せいろそば」です。現在は基本的にはどれも濃いめのつゆに麺をつけて食べる冷たいそばになり、お店によって呼び方が違うというのが大きいです。
もともと江戸時代に食べられていたそばは、冷たいそばをつゆにつけて食べる「そばきり」が主流で、その後に誕生したつゆをかけて食べるぶっかけそばと区別するために「もりそば」と名付けられました。このぶっかけは冷たいそばでしたが、温かいそばも食べたいと作られたのが現在のかけそばの原型となっています。
せいろや椀に乗せたもりそばより、高級な冷たいそばに位置づけとして生まれたのが「ざるそば」です。区別するためにざるに乗せ、麺に海苔をかけて提供していました。当時はもりそば用とざるそば用のそば粉が違っていたり、食べる際のつけ汁や薬味などにも違いがありましたが、現在はせいろに乗せてあるそばがもりそば、ざるに乗せて海苔がかかっているそばがざるそばと、器の違いくらいしかないお店がほとんどです。
「せいろ」は冷たいそばではなく、蒸籠で蒸して作る温かいそばでしたが、現在はもりそば・ざるそばと変わらない立ち位置のそばとして提供しているお店が多いです。また、ざるそばを運びやすいようにせいろに入れているお店もあるため、あえて区別しているお店は少ないと思われます。お店によっては蒸しせいろとして、本来のせいろの形で提供しています。
そばの種類
定番のメニュー以外で見かけることが多いのが二八そばや十割そばです。これは、使うそば粉の割合によって種類が変わっています。また、そばの実のどこの部分を使って製粉したそば粉かによってもそばの種類が変わります。
二八そば
そば粉が8割に対し、つなぎとして2割りの小麦粉を使って作られたそばです。切れにくくなめらかでコシも持ち合わせており、食感が良いのが特徴になります。お店で使われているそばや販売しているそばは二八そばのものが多いです。
十割そば
つなぎを使わずにそば粉を100%使って作られているのが十割そばです。そば粉のつぶつぶした特徴的な食感やそばの香りを強く感じられますが、つなぎが使われていないため麺が切れやすいです。
更科そば
そばの実は中心に近いほど実が柔らかく、一番粉という上質なそば粉になります。その中でもさらに上質な更科粉を使った更科そばは見た目が白いのが1番の特徴であり、甘みも感じられます。香りは控えめですがのどごしがとても良いです。
田舎そば
そば殻が含まれた状態で製粉された挽きぐるみというそば粉で作られた田舎そばは、香りが豊かで黒っぽい見た目が特徴です。殻が入っているため、少しえぐみを感じることがありますが栄養素が高いのも田舎そばの良さになります。更科そばが白米というイメージであれば田舎そばは玄米という位置づけであり、どちらもざるそばなどつゆをつけて食べることで、それぞれのそばの風味や良さを感じることが出来ます。
藪そば
藪そばもよく聞きますが、これは麺の種類などではなく、江戸中期に現在の豊島区にあった”藪の中にある美味しい蕎麦屋”が名前の由来となっています。そば殻を取り除いたそばの実の外側にある甘皮という部分を含んで製粉したそば粉を使っており、緑がかった麺と塩辛いつゆが特徴になります。
砂場そば
大阪発祥の二八そばを使ったそばであり、濃いめの甘いつゆにつけて食べます。天ぷらとざるそばがセットになっている天ざるの始まりも砂場そばからと言われています。
藪・砂場・更科の3つは「江戸三大そば」と呼ばれ、江戸時代から続く代表的なそばの系統であり、現在も暖簾分けをしたお店がいくつもあります。
定番のそばにも具材の違いや、温かいか冷たいかによって種類はたくさんあります。さらにそば粉の種類や配合による違いも含めれば数えきれないほどの種類になります。特に、江戸三大そばを提供しているお店は限られてくるため、3種類を食べ比べてそれぞれの特徴や違い、定番のそばとの違いを感じてもらいたいです。