アールグレイ、アッサム、ダージリーン 紅茶の種類と違い

ダージリン、アッサム、アールグレイ・・・様々な種類のある紅茶。普段見かけるけど、実際のその差まで分からないという人も少ないはずです。今回は紅茶の種類や産地について解説します。そして紅茶とフレーバーティーって実は別物・・・って知っていました?というような、これから紅茶を勉強したい人、お茶の席で少し知識自慢したい人にぜひ読んでもらいたい記事です。

アッサム

最もよく見る品種の1つアッサム。実はアッサムはインドの地名だと知っていましたか?インドは紅茶の世界的な産地として有名ですが、アッサムはインドで発見された品種なのです。

 1600年代、インドはイギリスの支配下にあった国です。世界初の株式会社である東インド会社ができて依頼、インドはイギリスの植民地でした。当時イギリスは中国からお茶を仕入れていましたが、航路の途中にあるインドに目をつけ、インドでもお茶の栽培ができないか?と実験を繰り返していました。しかしインドと中国では気候も異なりお茶はなかなかうまく栽培ができませんでした。そのような試行錯誤を繰り返し長い年月が過ぎましたが、1823年イギリスのロバート・ブルースという少佐が北東インドのブラマプトラ川の両岸に広がるアッサム平原において新しい品種のお茶を発見します。それがアッサム種です。そこからアッサムの栽培が広がります。

 アッサムは濃い赤褐色の水色です、コクのある芳醇な香りが特徴です。味わいも濃いことからアッサムはミルクティーに向いていると言われています。

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ダージリン

 こちらも見かける機会が多い種類です。実はダージリンもアッサムと同じくインドの地名が付けられた品種です。

 インド国内でお茶の栽培実験をしていたイギリスですが、1841年インド北東部のヒマラヤ山嶺標高2,000m付近にあるダージリンで栽培が可能であることを発見します。そこからイギリスはダージリンでのお茶栽培を広げ、その地域で栽培生産される紅茶をダージリンを名付けることとなったのです。

 さて、アッサムと同じく1800年代に栽培が可能であることが発見されましたが、実は当時まだイギリスは紅茶よりもコーヒーの消費量が多く、むしろコーヒー文化の国であったとされています。当時のイギリスはアジア圏にコーヒーのプランテーションを持ち、そこで栽培したコーヒーを仕入れていました。しかし、1860年代にプランテーションを行っていたアジア圏でコーヒーのさび病という病気が広がりコーヒーの生産量が一気に落ち込みます。そうなるとイギリス国内での需要を賄うことができず、コーヒーの代わりに紅茶を飲みだし、そこ加えにアッサム、ダージリンという2品種がインドで発見されたことも重なり、インド国内での紅茶栽培が更に広がったとされています。

 さて、ダージリンはアッサムと比べると水色が少し明るいオレンジ色をしていて、よくマスカットのようなさわやかな香りがする品種として知られています。ミルクティーやレモンティーなども合いますがダージリン自体が爽やかな香りがあるためストレートティーで飲むのがオススメです。

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ウバ

 お次はウバ。ウバと聞くとあまりピンと来ない人もいるかと思いますが、実はウバはダージリン、キーマンと並ぶ世界三大銘茶の1つとして知られています。ウバはスリランカで栽培をされており、1800年代スリランカはイギリスの植民地で、スリランカは当時主にコーヒーを栽培する国でしたが、1800年代スリランカでもコーヒーのサビ病が広がりコーヒーの生産量が一気に落ち込みます。インド国内でアッサムやダージリンの栽培に成功していたインドは同じく、スリランカで紅茶の栽培を開始します。当時スリランカはセイロンという国名でセイロン国内で栽培されたお茶はセイロンティーと呼ばれるようになります。

 セイロンティーは茶園の標高によりいくつかのランクに分けられ、標高1,200m以上の茶園で栽培されたものを最高級品種のハイグロウンティーと呼び、その中でもウバ地方で栽培されたもののみをウバと呼びます。

 ウバは赤みの濃いオレンジ色の水色で、ストレート、ミルクティーどちらでも楽しめる紅茶ですが、少し渋みが強い品種でもあるため、ストレートでチョコレートなどと一緒に飲むとよりその味わいが楽しめます。

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キーマン(キーモン)

 キーマン(キーモンとも呼ぶ、漢字で書くと祁門)はダージリン、ウバと並ぶ世界三代銘茶の1つで、中国の上海の西のほうにある祁門地方で栽培される紅茶です。その歴史は古く清の時代から飲まれていたとされるお茶で、紅茶のルーツとも呼ばれる品種の1つです。しかし、いつから紅茶のように完全発酵した状態飲まれていたかの明確な記録はなく、キーマンが紅茶として世界的に認知されるようになったのは意外にも遅く1875年頃と言われています。キーマンは生産時期が短かく、量も多く生産できないため高級品種として知られており、時に品評会などで破格の値段をつけることもしばしば見られます。

 紅茶としては独特な、いぶしたような香りがあり、ストレートで飲むのがオススメです。

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アールグレイ

 アールグレイも良く聞く品種ではないでしょうか?アッサム、ダージリン、ウバ、キーマンのように地名が付けられた品種ではなく、もっと言うとアールグレイは品種ではなく、実は渋みの少ない品種にベルガモット(イタリア原産の柑橘類)の香りをつけたフレーバーティーなのです。アールグレイはアールグレイとは、1800年イギリスのるグレイ伯爵が持ち帰った中国茶を元に、ブレンドされるようになったという説や、中国に派遣されていた者がグレイ伯爵に送った茶葉気に入り、ロンドンの商人に同じものを仕入れて欲しいと依頼したが、輸入が難しかったため、ベルガモットで香りを付けし代用したという説が有力のようです。

 アールグレイの茶葉のベースはセイロンティーが使用されることが多く、ベルガモットの香り楽しむという意味でもストレートがおすすめです。また香りが特徴的で爽やかな香りがあり、冷やしてアイスティーにも向いた紅茶と言えるでしょう。

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フレーバーティーとは

 

さて、ここでフレーバーティーについて紹介したいと思います。フレーバーティーと紅茶の違いは?と聞かれて答えられるでしょうか?実際紅茶専門店としているお店にもフレーバーティーが売っていることもあり、その違いが結構難しくなっています。

 簡単に説明すると、紅茶はアッサムやウバ、ダージリンのように農園で採れた茶葉そのもののお茶です。中には複数の農園で採れた茶葉をブレンドしていることもありますが、それも紅茶です。一方フレーバーティーとは茶葉に対してフルーツやキャラメルなどの甘味料などの香り付けをしたお茶がフレーバーティーと呼ばれます。そのため、先に紹介したアールグレイは茶葉にベルガモットの香りをつけたお茶のため、厳密には紅茶ではなくフレーバーティーとなります。もう1つ紹介すると、実は女性に人気のジャスミン茶も茶葉にジャスミンの一種であるマツリカの香りをつけたもので、フレーバーティーの1種ということになります。

 さて、ここまでフレーバーティーと説明してきましたが、フレーバーティーも厳密にはフレーバードティーとセンティッドティーの2種類に分けられます。全社は香り霧状にして吹きかけ、着香したもので、後者は茶葉とマンゴーやラズベリーなどの果実やジャスミン茶のように花びらを加え茶葉に香りを吸収させて作ります。

 歴史的にはセンティッドティーのほうが古く、フレーバードティーのほうが新しいとされています。正確にはセンティッドとフレーバードと分けられるのですが、日本においてはどちらもまとめてフレーバーティーと呼ばれること一般的です。

 さて、フレーバーティーは元々ある茶葉に香り付けをするため、茶葉と着香に使用する花や果実との微妙なバランスが重要となります。あまりに香りの強すぎる着香をしてしまうと茶葉の香りや味が損なわれ、また着香する量が少なければ香りもつきません。そのため作り手のバランスや香り選びのセンスに大きく影響をします。

 さてここまで基本的な紅茶を紹介してきました。紅茶を飲む時にちょっと豆知識的に産地のことや歴史、香りの特徴などを説明すると、少し会話が弾むかも知れません。ミルクティーにするならアッサムだね、冷やすならアールグレイかな?と一言添えるだけでぐっと紅茶通の雰囲気です。