オリーブオイルの種類と使い方、使い分け、承認マーク

 サラダだけでなく料理や揚げ物などにも多く使用されるようにオリーブオイル。スーパーやECを見ると、1本数百円のものから数千円のものまで様々で、一体何が違うのだろか?と思った人もいるのではないでしょうか?今回はオリーブオイルの種類と違いについて解説をします。

オリーブオイルの区分

 オリーブオイルはIOC(国際オリーブ協会)によって、品質が細かく分類されています。一般的にスーパー等で販売されているエクストラヴァージンオリーブオイルは、酸度0.8%以下の最高等級になります。酸度とは、オイル中に遊離している脂肪酸の割合で、この割合が高いとオイルは劣化しやすくなります。

 一方で、日本はこのIOCには加盟しておらず、日本のJAS法ではオリーブ油、精製オリーブ油の2区分しかなく、それ以上の厳密な区分はないため、IOCで定めるエクストラヴァージンオリーブオイルより等級の低いオイルがエクストラヴァージンオリーブオイルとして販売されていることがあります。

分類品質(等級)酸度
バージンオリーブオイルエキストラバージンオリーブオイル0.8%以下
ファインバージンオリーブオイル2.0%以下
オーディナリーバージンオリーブオイル3.3%以下
ランパンテバージンオリーブオイル3.3%以上
オリーブオイル精製オリーブオイル0.3%以下
オリーブオイル
(ピュアオリーブオイル)
1.0%以下
オリーブポマースオイル精製オリーブポマースオイル0.3%以下
オリーブポマースオイル1.0%以下
IOC(International Olive Council/国際オリーブ協会)による区分
精製度が低い精製油
オリーブ油オリーブ油精製オリーブ油
JAS法(日本)によるオリーブオイルの区分

オリーブオイルの使い分け

 オリーブオイルを選ぶ際のポイントは使用する調理方法によって選ぶのがおすすめです。サラダやパンにつけて食べるような、いわゆる生食で食べる場合には、IOCの定めるエクストラヴァージンオリーブオイルを使用したほうが、オリーブ本来の香りや辛味、味を楽しむことができます。IOC基準のエクストラヴァージンオリーブオイルは価格は比較的高価になることが多いですが、生食の場合風味が重要であることと、1度に大量には使用しないため、少量良いものをという考え方ですと決してコストパフォーマンスは悪くないでしょう。

 一方で加熱をする場合、例えば揚げ物やパスタなどは、日本基準のオリーブオイルを使用しても良いのではないでしょうか?オリーブオイルはオレイン酸が多く含まれており、このオレイン酸は熱に強い成分と言われているため、加熱することにより大きく成分が変わることはないとされています。一方で、加熱をすることでオリーブオイルの風味などは多少なりとも失われる傾向があり、加熱する場合は比較的安価なオイルを選択しても良いでしょう。

オリーブオイルの生産国

 次にオリーブを生産している国についても解説していきます。オリーブオイル最大の生産国はイタリアではなくスペインです。世界で生産されるオリーブオイルのうち50%以上がスペインで、次いでイタリア、ギリシャとなります。スペインの生産量が約173万トンで、イタリアが29万トン、ギリシャが20万トンと、スペインが圧倒的なことが分かります。いずれもヨーロッパの国ですが、チュニジアが第4位となっており、生産量も17万トンと3位のギリシャに肉薄しており、アフリカ最大のオリーブオイル生産国となっています。
 近年は各国で発生している猛暑や豪雨などの天候不順の影響もあり、オリーブは不作が続いています。また2022年に発生したウクライナ戦争の影響により、オリーブオイルの需要が高まったことから価格も高騰傾向にあります。ウクライナは菜種油やひまわり油の原料生産が盛んな農業大国ですが、戦争により輸出が不安定になったことから、それらオイルの代替品としてオリーブオイルの需要が高まったことが理由として挙げられます。今後の天候や戦争の状況によっては価格が更に高騰するか高止まり傾向になる可能性が示唆されています。

 一方で、日本は香川県小豆島での生産が盛んで、日本全体の90%以上は香川県で生産されています。次いで熊本、広島でも生産されており国内全体で500トン未満と世界と比べるとまだまだ少ないのが現状です。オリーブは江戸時代末期に日本に伝来し、以降横須賀、神戸で栽培試験を行ったものの十分に生育結実しませんでしたが、1900年に入ってから小豆島で栽培試験を行ったところ気候条件が合い国内生産が始まったとされています。近年は様々な栽培技術が研究され、香川県だけでなく和歌山県、静岡県、神奈川県などでも栽培する農園が増えてきています。

オリーブの種類

オリーブオイルの種類はIOCで定める種類とJAS方で定める種類があることを冒頭説明しました。次はオリーブオイルではなくオリーブの種類を紹介したいと思います。

ピチュアル(Picual)

 主にスペインで生産される品種で、オリーブオイルの生産に適しています。果実の大きさが中程度で、辛味のあるオイルを生産します。

アルベキーナ(Arbequina)

 スペインのカタロニア地方を中心に栽培され、果実が小さく、甘味のあるオイルを生産します。また、この品種は他の地域でも生産されています。

コルニクア(Koroneiki)

 ギリシャで主に生産される品種で、小さな果実から高品質なオリーブオイルを生産します。耐久性があり、オイルの芳香が特徴です。

フルト・ダ・ハス(Frantoio)

 イタリアのトスカーナ地方で栽培され、フルーティーで辛味のあるオリーブオイルを生産する品種です。

マンザニーリャ(Manzanilla)

 スペインのアンダルシア地方で広く栽培されており、主に食用として使用される独特の味を持つ品種です。

 品種によって風味、特に香りと辛味に大きな違いがあります。食べやすく複数の品種をブランドしたオイルや、特徴をより楽しむために1つの品種のみを利用したオイルがあり、品種による使い分けも楽しみの1つです。好みのため個人差はありますが、辛めの匂いが強いタイプは男性に好まれ、マイルドな辛味で匂いが少なめなタイプは女性に人気のようです。

オリーブオイルの認証マーク

 販売されるオリーブオイルには様々認証マークがついていることがあります。その中でも代表的な認証マークを紹介します。

DOP 保護原産地呼称

 EUによって付与されるマークで、生産地、品種、栽培および生産方法、品質条件などをクリアしている食品に与えられるマークです。特定の地域で生産され、その地域で特定の方法で加工され、その地域で特定の品質を担保していることという要件をクリアする必要があり、全て同一地域内で一連の作業を行う必要性があることから取得難易度が最も高いマークの1つも言われています。

IGP 保護地理表示 

 DOPと同じくEUから付与されるマークです。生産地、品種栽培および生産方法、品質条件など評価項目はDOPと似ていますが、すべての生産工程を同一地域内で完結する必要性はなく、どれか1つが同一地域内で行われていることという条件になります。そのため、DOPよりは取得しやすいとされています。

EUオーガニック認定

 EUの定めるオーガニック基準をクリアしている商品に対して付与されるマークです。生産から加工、流通までそれぞれに専門の検査機関があり、取得難易度が非常に高い認証になります。なお、現在の日本の法律ではEUオーガニック認定を受けていても国内では「有機」「オーガニック」という表記、表現の使用をすることができません。国内でその表現を使用する場合は日本の有機JAS承認を受ける必要があります。

その他

 イタリアの承認ICEA、ギリシャの承認BIO HELLAS、日本の有機JASなどが国ごとの承認としては有名な承認になります。一定の基準が担保されていることから、オイルを選ぶ際の参考にしていただければと思います。

 以上がオリーブオイルの特徴と選び方、品種についての解説でした。オリーブオイルは種類も豊富で選び出すと非常に奥深いオイルで、自分の好みにあるオイルを探すのもまた1つの楽しみです。

編集部おすすめのオリーブオイル

スペイン産のエキストラヴァージンオリーブオイル、エグレヒオです。スペイン国内で最も取得が難しいとされているDOPを取得しており、日本の規格である有機JASも取得をしているオリーブオイルです。現地では、自然環境保護のため農薬や化学物質は一切使用せず栽培し、コールドプレス製法という熱をかけない方法で絞ったオイルです。

フレッシュなハーブやバナナのような爽やかで芳醇な香りと、後味のスッキリとした辛味、苦味のある非常にバランスの良いオリーブオイルです。サラダやパン、マリネなど生食で万能に活躍でき、白身さかななど刺し身につけて食べる方法もオススメです。