ごま油の種類と特徴、使い分け

 中華料理などで馴染深いごま油ですが、スーパーやECなどで見かける際、比較的安いものから高級なものまで様々です。実はごま油には、焙煎ごま油、低温焙煎ごま油、太白ごま油の3種類があるということはご存知だったでしょうか?またごま油は健康に良いという話もよく聞くかと思いますが、実際どうなのか?ということとそれぞれのごま油の特徴や違いなどを解説していきます。

ごま油の栄養成分

まずはごま油の栄養成分について解説します。ごま油の栄養成分的な特徴は2つです。
①脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)のバランスが良い
②ゴマリグナンが含まれる

①脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)のバランスが良い

 ごま油にはオレイン酸が39%、リノール酸が44%とバランスよく含まれます。オレイン酸、リノール酸はバランスよく(同量)含まれることが重要で、ごま油はそのバランスが非常に良い油と言えます。このバランスはこめ油とも似ており、植物油の中でこのバランスは米油と並んでトップクラスです。リノール酸は、コレステロールを低下させる一方で善玉コレステロールも低下させてしまうというデメリットを持っていますが、オレイン酸は悪玉コレステロールを低下させるとされており、同時にこれら2つの脂肪酸を接種することが重要です。

②ゴマリグナンが含まれる

 健康番組等でごまにはセサミンが含まれるというような話を聞いたことはないでしょうか?セサミンは体内で抗酸化作用のある物質に変化し、肝臓の働きを活性化させる効果、血圧の上昇を抑える効果のある成分と言われています。またセサミン以外にもセサモリン、セサミノールが含まれ、これらの総称をゴマリグナンと呼びます、ゴマリグナンはその名の通りでゴマにしか含まれない成分(ポリフェノールの一種)で、抗酸化作用があります。

 ごま油もこめ油と同じく酸化しにくい油として知られています。ごま油が酸化しにくい理由は抗酸化作用を持つゴマリグナンが含まれるからとされています。以下は細かい話になりますから読み飛ばしてもらっても大丈夫ですが、ゴマリグナンに含まれるセサリモンは焙煎することでセサモールに変わりに抗酸化作用を持ち、セサモリンはごまを生のまま絞った際セサミノールに変わり抗酸化作用を持ちます。ごま油の製造方法による違いは後ほど解説しますが、焙煎したごま油でも生のまましぼった太白ごま油どちらでも、ゴマリグナンのおかげで抗酸化作用を持ちます。

ごま油の種類

ごま油は製造方法によって3種類に分かれます。濃い茶褐色の焙煎ごま油、薄く透明感のある低温焙煎ごま油、ほぼ無色透明の太白(たいはく)ごま油です。

①焙煎ごま油

濃い茶褐色のごま油で最も多く販売されているごま油で、3種類の中では比較的安価に流通している油です。焙煎ごま油は高温で焙煎したあと圧搾をした油です。ごまの香りとごま油独特の風味が最も引き立つ種類です。
 ごまの香りが強く残っていることから、その香りを活かした料理に使用するのがオススメです。中華料理の炒め物に使用したり、韓国料理のビビンパやナムル、チョレギサラダなどに使用したりすると良いでしょう。

②低温焙煎ごま油

 焙煎ごま油より色は薄く透明感のある琥珀色をしています。低温でじっくりと時間をかけて焙煎したあと圧搾して作るため、焙煎ごま油より手間がかかり比較的高価な油として販売されます。
 ごまの香りはしっかりしますが、焙煎ごま油よりはその香りが弱いため、中華や韓国料理よりも和食の和え用の油としての使用や、天ぷらの揚げ油などがオススメです。天ぷら屋さんなどはでは低温焙煎のごま油を揚げ油として利用される傾向があります。

③太白ごま油(たいはく)

太白ごま油はごまを焙煎せずに生のまま絞って精製されるごま油です。太白ごま油は、ほぼ無色透明で風味は他のごま油と比較するとほとんどありません。
 太白ごま油は油自体にクセがないため様々な料理に使用できますが、和物やマリネなど生食がおすすめです。高級天ぷら店などでは揚げ油としても利用され、揚げ油としても人気のある油です。またシフォンケーキやクッキーなどに使用するとしっとりとした仕上がりになることから、お菓子作りに用いられることもあります。焙煎ごま油、低温焙煎ごま油はごまの香りを活かしたい際に使用する油ですが、太白ごま油は、素材の味を活かしたい、引き出したいときに使用するときにオススメの油と言えます。

ごまの種類

 ごま油に使用されるごまは外皮の色によって黒ごま、白ごま、金ごまの3種類があります。白ごまは世界中で生産されており、黒ごまはアジア、金ごまはトルコや中国で主に生産されています。メーカーによっては、特定の種類だけに絞って黒ごま油、金ごま油のように差別化をしている油もあります。

 白ごまは甘みが強く、黒ごまはコク、金ごまは香りと言われています。そのため、金ごま焙煎ごま油としてより香りの強いごま油や、白ごまを低温焙煎ごま油にして甘みを活かし食材の味を引き立てるなど精製方法とごまの種類で異なる風味を生み出すことができます。

このようにごま油はいくつか種類があり、調理によって使い分けをするとより料理に深みが出るのではないでしょうか?