グレープシードオイル(ぶどう油)の特徴と使い方

 近年ではスーパーの油売り場で見かけることが増えているグレープシードオイル。別名ではぶどう油と呼ばれていますが一体どのような油なのでしょうか。

グレープシードオイルとは

日本ではまだまだマイナーな油であるグレープシードオイルですが、ヨーロッパでは古くから貴族を中心に愛されており、近年ではアメリカや韓国などでも多く消費されています。ワインの製造過程で作られるグレープシードオイルはワインの生産で有名な、イタリア・フランス・スペイン・チリで多く生産されていますが、日本のぶどうを使ったグレープシードオイルも存在します。

グレープシードオイルはぶどうの種を搾油して作り出されています。ワインを作る際に大量の皮や茎、種子が搾りかすとして残り、それを再利用して作り始めたのがグレープシードオイルです。他の食用油と違い、無味無臭でありクセがなく、油特有の粘り気や香りが少ないのが特徴です。そのため、様々な料理に合わせやすく特にドレッシングや調味料として使うことに向いています。また、食用油のみだけではなく、マッサージや化粧品など美容関係に使われることも多い油です。

 油には脂肪酸と呼ばれる脂質を作るために必要な成分が含まれており、主な種類は4種類あります。そのうちオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は体内で作り出されることが出来ない成分のため食事として取り入れなければなりません。グレープシードオイルには体内では作られないオメガ3とオメガ6、強い抗酸化作用を持つビタミンEが含まれており、さらにコレステロールが低いのも特徴です。また、ぶどうの持つポリフェノールが豊富に含まれているのもグレープシードオイルの良いところです。

グレープシードオイルの製造方法(作り方)

油を作る際に製造方法の違いによって、特徴や風味が変わってきます。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

低温圧搾法
過熱をしないで30℃以下の低温で時間をかけて搾油する方法です。コールドプレス製法とも呼ばれる昔ながらの製法であり、低温圧搾法で搾り出した油はフレッシュでさわやかな風味が感じられます。また、ビタミンEなどの栄養成分も壊れにくいため高い栄養値のまま体内に取り入れることが出来ます。しかし、低温圧搾は時間と手間がかかるため値段も高めになっており、種から20~30%ほどしか搾油することが出来ないことがデメリットになります。

高温圧搾法
圧力をかけた時に出来る摩擦熱を利用して、加熱して搾油する方法が高温圧搾法です。高温が加えられることにより風味や栄養成分は低温圧搾法に比べると損なわれてしまいますが、種からは60~70%搾油することが出来る効率的な製法のため、基本的にグレープシードオイルはこの高温圧搾法で作られていることが多いです。製造量が多いため価格も安価なものが多く、初めてグレープシードオイルを手にする人には買いやすくなっています。

溶剤抽出法
高温圧搾法で残った搾りかすに溶剤を混ぜて99%まで無駄なく搾油する方法です。溶剤は最終的に除去されますが、製造過程でトランス脂肪酸が生まれ、油に含まれる可能性があるのがデメリットです。

健康志向の人やグレープシードオイルの風味を味わいたい人は少し高めですが低温圧搾法で作られた油がおすすめです。安価でも使ってみたいという人には高温圧搾法や溶剤抽出法で作られた油の方が流通も多いため手にしやすいです。また、容器はペットボトルよりビン、さらに濃い色で遮光してあるビンの方が酸化はしにくいです。しかし、ペットボトルの方がコスパがいいものが多いため、短期間で使い切ってしまう場合や少量のものはペットボトルタイプでも問題ありません。

グレープシードオイルの使い方

 グレープシードオイルは風味や香りが弱く、素材の味を邪魔せずに引き立てる特徴があり、さっぱりした味付けや食材の味を活かしたい場面で使用したいオイルです。ドレッシングやマリネなどとの相性はよいですが、香りは弱いため香り付けをしたい場合にはオリーブオイルとブレンドすることもおすすめです。

 また炒めもの、揚げ物の油としても利用できます。香りが弱いため揚げ物をする際に特有の香りも立ちにくく、加熱料理とも相性が良いです。一方で加熱をすると過酸化脂肪が増加し健康被害が生じる、危険という情報もありますが、日本植物油協会によれば、動物試験においてはリノール酸の健康被害は確認されているが、重量(体重)に対して12%以上のリノール酸を与えた場合であり、現在の日本人の摂取量と比較すると健康被害が発生するほどの量は接種していない、との見解を示しています。そのため、加熱したグレープシードオイルを毎日大量に飲むとか、なんらかの方法で多量に接種するということでない限りはあまり気にする必要はないかもしれません。しかし、体調や体質に異なることもありますから、心配だという方は生食をするか、加熱時は他の油を使用すると良いでしょう。