豆腐を美味しく食べるための基礎知識 -水切りと保存方法-

安くてヘルシーな豆腐はシンプルな冷やっこや湯豆腐以外にもサラダや揚げ出し豆腐、肉豆腐などレパートリーが多く比較的短時間で作れるため重宝されています。和食以外にも中華料理や韓国料理にも使われる豆腐ですが料理によってはそのまま使うより水切りをした方がよい場合があるのをご存じですか?今回は身近な食材でもある豆腐の水切りや保存方法について紹介していきます。

豆腐の保存方法

大豆から作られる豆腐はカロリーが低い上に栄養素も豊富であるため、日常的に摂取したい食べ物です。さらに価格も安いため、多めに買って常備している人も多いのではないでしょうか。一度にすべてを使ってしまう分にはよいですが、必要な分だけ使ったあとの余った豆腐はどのように保存していますか?保存方法によっては傷みやすくなるため注意が必要です。余った豆腐は ”冷蔵保存”や”冷凍保存”といったいくつかの方法で保存しておくことが出来ます。

ポイント
豆腐の種類によって保存方法を変える

  • 絹ごし豆腐:冷蔵保存〇・冷凍保存×
  • 木綿豆腐:冷蔵保存〇・冷凍保存〇

基本的にどちらの豆腐も冷蔵保存することが出来ます。しかし、水分が多くつるっとした柔らかい食感の絹ごし豆腐は冷凍してしまうとその食感がなくなってしまうため冷凍保存は避けた方がよいです。反対に水分をある程度抜いて作られる木綿豆腐は冷凍保存することも可能で、冷凍保存した場合は冷蔵保存では味わえない高野豆腐やお肉のような硬めの食感を楽しむことが出来ます。

水に浸けて冷蔵保存

基本的な保存方法としては購入した時と同じように水に浸けた状態にして保存します。

保存期間の目安:3~4日

1.余った豆腐の水を切り、入っていたパックに戻す
2.豆腐が隠れるくらいの新しい水を入れラップをして冷蔵庫に入れる
◎自宅に蓋つきの保存容器がある場合はそちらを使っても問題ありません

ポイント
水道水には塩素が含まれており雑菌の繁殖を防ぐため、使う水はミネラルウォーターや浄水器を通した水ではなく水道水を使用するほうがおすすめです。

買った豆腐に入っている水は封入水と呼ばれ、豆腐が空気に触れることで繁殖する雑菌から守る役割を持っています。また衝撃による型崩れからも守るために入れられていますが、保存する時にそのまま使うと雑菌が繁殖する可能性があるため一度捨てて必ず新しい水を入れるようにして下さい。また、新しく入れ替えた水も雑菌が繁殖しないように毎日取り替えるようにして下さい。

しかし、水に浸けておくと豆腐の風味や旨みは落ちやすいため2~3日を目安に早めに食べきることで美味しく食べることが出来ます。さいの目に切った状態で水に浸して保存することも出来ますが、取り出す時に崩れやすくなる・風味がさらに抜けやすくなるため細かくカットはしない方が保存する場合はよいです。

一度加熱してから水に浸けて冷蔵保存

時間がある場合や3日以上保存したい場合、また賞味期限が近い豆腐は水に浸す前に一度加熱してから保存するのがおすすめです。

保存期間の目安:4~5日程度

1.沸騰したお湯に豆腐を2分ほど浸ける
2.取り出して豆腐が冷めたら水に浸して保存

加熱することである程度の雑菌の繁殖を抑えることが出来るためそのまま水に浸して保存するより衛生的に保存することが出来ます。お湯から豆腐を取り出す際に崩れてしまうようであれば布巾に豆腐を包んでからお湯に入れ、布巾ごと取り出してしまえば崩れにくくなります。また、パック入りのものもそのままお湯に浸けてしまえば加熱処理することが出来ますよ。

一度加熱した豆腐の方が長もちしますがそのまま水に浸す時と同じく、水道水を使うことや水の入れ替えは毎日行うようにして下さい。

水に浸けて数日保存したものは加熱ありなし関係なく賞味期限を守り、食べる際には加熱調理してから食べるようにして下さいね。また、開封していない豆腐はそのまま保存しておくとアクがたまりやすい状態となり傷みやすくなってしまうため、すぐに使わない場合は一度取り出して新しい水に浸ける方がおすすめです。

水に浸けずに冷蔵保存

水に浸けておく保存方法が基本の方法になりますが、豆腐の風味や旨みが落ちやすいのが難点です。しかし実は豆腐を水に浸けずにそのまま冷蔵庫で保存することも可能なのです。

保存期間の目安:2~3日(目安)

1.余った豆腐をキッチンペーパーで包む
2.蓋つきの保存容器に入れて冷蔵庫で保存

この方法は水に浸けない分日持ちはしませんが、豆腐の持つ風味や旨みが水に溶けださず美味しさをキープすることが出来ます。実はこの水に浸けない保存方法は豆腐の専門家もおすすめしている方法になります。早めに使いきることや正しい保存をすれば水なしでも美味しく保存出来るため、豆腐の風味が好きな人はぜひ試してみて下さい。

冷凍して保存

絹ごし豆腐や豆腐の食感を残したい場合には不向きですが、木綿豆腐を長期保存したい場合や高野豆腐のような硬めの食感が好きな人には冷凍保存をおすすめします。

保存期間の目安:1ヶ月

1.余った豆腐の水分をキッチンペーパーで拭き取る
2.密閉出来る保存袋にそのまま入れるor1つずつラップでくるんで冷凍庫に入れる

冷凍する場合はまるごと冷凍しても大丈夫ですが、使いやすいようにカットしてから冷凍すると必要な分だけ取り出しやすくなります。また、未開封の場合はパックごとそのまま冷凍庫に入れて凍らせてしまえば手間を省くことが出来ます。時間がない時にはとてもよい方法ですが、パックごと冷凍した場合は電子レンジなどで解凍することが出来ず時間をかけて自然解凍か流水解凍をしないといけないため、状況によって使い分けてみて下さい。

パックから取り出した豆腐の解凍方法は5~6時間かけて冷蔵庫で自然解凍、調理前に室温で解凍、電子レンジで加熱して解凍することが出来ます。電子レンジを使う場合は豆腐の大きさにもよりますが、まるごとの状態は600wで4~5分、カットしている状態は解凍モード(200w)で1~2分を目安に調整してみて下さい。

冷凍した豆腐は水分が抜け弾力のある食感になります。噛み応えがあり高野豆腐やお肉のような食感を楽しむことが出来るためひき肉の代わりにカレーやつくね、ハンバーグを作ることも出来ます。また、味が染み込みやすくなっているため肉豆腐のような煮物に使うと非常に美味しくなるため試してみて下さい。

豆腐の賞味期限

豆腐の賞味期限は豆腐の種類によって変わります

水入り豆腐の場合
“水入り豆腐”は木綿豆腐・絹ごし豆腐関係なく作った豆腐をカットしてパックの中で水に浸かった状態で販売しています。作った後に空気に触れてしまうため賞味期限が3~10日程度と短いです。開封後は基本的には日持ちせず冷蔵保存の場合2~3日を目安に早めに食べるのがよいでしょう。木綿豆腐を冷凍保存した場合のみ1ヶ月ほど長期保存することが出来ます。

充てん豆腐の場合
水入り豆腐と似ていますが水に浸かっておらず、少し小さめのパックいっぱいに豆腐が入っている“充てん豆腐”は賞味期限が約1ヶ月程度と長く、商品によっては長いものだと6~10か月ほど持つ豆腐もあります。充てん豆腐は容器に材料を入れてそのまま加熱して固めているため、雑菌の繁殖が水入りに比べると圧倒的に少なくなることが賞味期限の長さにも影響しています。

賞味期限を過ぎたら
賞味期限が多少過ぎてしまっていても正しく保存していれば食べることが出来ます。1~2日過ぎたものはにおいの異変やぬめりがなければ食べられることが多いです。ただし、生では食べず必ず加熱してから食べるようにして下さい。

1週間ほど過ぎてしまうと水入り豆腐は傷んでいることが多いため処分してしまった方が安全です。充てん豆腐は同じく異変やぬめりがなければ加熱して食べられる可能性が高いですが、判断が難しい場合は無理に食べず処分してしまった方がよいでしょう。

賞味期限が過ぎてしまっても水入り豆腐より充てん豆腐の方が傷みにくいため食べられることが多いですが、判断を誤ると食中毒に繋がるため出来るだけ賞味期限内に食べるようにして下さい。また、開封後は賞味期限前でも傷みやすくなるため早めに食べてしまうようにして下さいね。

豆腐の水切り

豆腐は水分を多く含んでいるため、料理によってはそのまま使うと水っぽくなります。仕上がりをよくする・味を引きしめる・崩れにくくするなどの目的がある場合は使う前に水切りをして豆腐から水分をしっかりとっておくことが重要です。

水切りをする方法

  • ザルに豆腐を乗せてそのまま置いておく
  • キッチンペーパーで包んでおく
  • 重石を乗せる
  • お湯でゆでる
  • レンジで加熱する
  • パックのまま水を切る

水切りをする方法はいくつか種類がありますが今回はその中でもおすすめの手軽な方法としっかり水分を取り除く方法の2種類を紹介します。

おすすめ1:パックのまま水を切る

手軽に水を切る方法としてはパックのまま水を切る方法です。蓋の一部分に切れ込みを入れボウルなどに下向きにして立てかけておき放置しておくだけです。一般的な水を切る方法として出てくるザルに乗せておく方法と近い工程ですが、ザルを使う場合は一度豆腐を取り出さなければなりません。しかし、パックのままの場合は取り出す必要もないため手軽で同じ時間水を切ったとしてもザルよりパックのままの方が多く水を切ることが出来ます。軽く水を切る程度であれば5分でも十分ですが、しっかり切るのであれば調理前に30分ほど置いておけば大丈夫です。

おすすめ2:電子レンジで加熱する方法

しっかり水を切る方法は電子レンジで加熱する方法です。キッチンペーパーで豆腐を包み耐熱容器に入れて600wで約3分加熱し、豆腐が冷めたら新しいキッチンペーパーで水気を拭いて終了です。もう少し硬めにしたい場合は様子を見ながら30秒ずつ追加で加熱していけば大丈夫です。

しっかり水切りをする方法でよく出てくるのが重石を使った方法ですが、重石を用意したり水切りするのに30分ほどかかってしまいます。しかし、電子レンジを使った方法であれば短時間で水抜きすることが出来るだけでなく、重石を使った方法よりしっかり水を切ることや豆腐をカットしてから水抜きをすることも出来るため非常に便利です。ただし、加熱時に形が崩れてしまうことがあるため、豆腐ハンバーグなどの崩して使うレシピの時に使うのがよいでしょう。

今回は豆腐の保存方法や賞味期限、水切りの方法について紹介しました。そのまま食べても美味しい豆腐ですが、美味しく食べるには正しく保存しないと傷みやすく風味も落ちやすいです。また、料理によっては水切りをすることで味がぼやけずそのまま食べる時とは一味違った豆腐のよさを感じることが出来るでしょう。基本的にはどれも簡単でシンプルな工程であるため豆腐の種類を理解して使い分け、美味しい豆腐を楽しめるようにしてみて下さい。