柔らかくアレンジしやすい食パンやロールパン、硬めの食感が特徴のハードブレッド、種類が豊富な惣菜パンや菓子パンなど種類が豊富なパンはごはんの代わりとして食べる人も多く、販売するベーカリーも多様な形として各地に増えています。たくさん買って家でもそのおいしさを味わいたいところですが、時間が経つと硬くなり本来の美味しさが薄れてしまいますよね。しかし、リベイク(温め直し・焼き直し)や保存の仕方を変えるだけで焼きたてのような美味しさを味わうことが出来ます。今回はパンのリベイク・保存方法について紹介していきます。
食パンの美味しいリベイクの仕方、焼き方
朝ごはんの定番でもある食パンのリベイクの仕方を調理機具別に紹介していきます。特に食パンは切られた状態で販売していることが多いため乾燥しやすくなっていますが、焼く前にあることをしておくと外はサクっと中はもちもちした食感を味わうことが出来ます。
焼く前にしておくこと
- 食パンの表面を軽く濡らす
- 切れ目を入れる
しっかり予熱をして温めておく
焼きたての食パンは含まれている水分が多いためもちもちした食感を出すことが出来ますが、時間とともに水分が抜けてパサついてしまいます。そのため、焼く前に食パンの両面の表面や耳全体を霧吹きなどで軽く濡らしてあげることで蒸発してしまった水分を補うことが出来ます。霧吹を使う場合は1~2回吹きかける、霧吹きがない場合は手でパッパッと水を飛ばして濡らす・湿らせたキッチンペーパーや布巾で包むなどをして濡らしてみて下さい。
食パンに切れ目を入れる
もちろん軽く濡らした後、そのままの状態でリベイクしても美味しく焼くことは出来ます。ですが、表面に切れ目を入れてあげることでそのまま焼く時とは違った食感を楽しむことが出来るのです。
〇バターやはちみつを使う場合
1つ目は「田の字切り」や「格子切り」とも呼ばれているパンの表面に十字や格子上に切り込みを入れる切り方です。バターを使う場合は取り入れていることも多い切り方になりますが、表面に十字や縦横2~3本ずつ格子状に切れ目を入れることで間にバターやはちみつが染み込み、サクサクした食感とじゅわっとした食感の両方を楽しむことが出来ます。表面のサクサクした食感を多く残したい場合は十字、バターなどをよく染み込ませたい場合は格子状に切り込みを入れるのがおすすめです。また、バターを塗っても全体をサクッとさせたい場合は切り込みを入れた後にバターを塗ってから焼くとサクサクした食感とバターの香ばしい香りが楽しめます。
〇耳はサクサク中はもっちりさせたい場合
2つ目は「縁切り」と呼ばれている切り方です。食パンの耳にそって切り落とさない深さで内側に切り込みを入れていきます。この切り込みが食パンの中まで熱を伝えやすくさせ、高熱で焼いても耳はサクサク中はもっちりした食感を生みます。特に厚切りの食パンを食べる時にはおすすめの切り方となっています。
予熱でしっかり温めておく
実はまだ温まっていない状態のトースターにパンを入れて焼くと、温度が上がるまでにパンに含まれている水分が抜けやすく焼きあがった時にパサついてしまいます。食パンは190℃~220℃の温度で表面にこんがりした焼き色がついてきます。事前にしっかり予熱をしておくことで必要以上に水分が蒸発する前に焼き色がつき、パサつくのを防いでくれるのです。
焼き方
トースターで焼く
予熱時間:約3分
余熱後は熱が逃げないようになるべく素早く食パンを中に入れ3分前後ほどリベイクすれば大丈夫です。
焼き目をつけることに向いているトースターはサイズがコンパクトであるため熱源が近く焼き色がつきやすくなっています。しかし、4枚切りなど厚みのある食パンやトースターの種類・パワーの違いによっては焦げやすくなるため、様子をみながら焼くようにしてください。
両面にしっかり焼き色をつけたい場合は途中でひっくり返し、焼き色が足りない場合は時間を追加して焼き上げて下さい。また予熱のタイミングでアルミホイルに包んだ食パンを入れ5分加熱した後、食パンだけを30秒から1分さらに焼くと最初にトースターと食パンが温まっているため焼き色がつくまでの時間を短くして焼くことが出来ます。
オーブンで焼く
予熱時間:約10分
オーブンはトースターと違い、じっくり加熱して中までしっかり熱を加える調理器具になっています。そのため食パンの水分が抜けやすく実はトーストをリベイクするのにはあまり向いていないのです。最近のオーブンはトースト機能がついているものも多いため余熱する時間を10分ほどに伸ばしてしっかり温め、5~10分かければトースターと同じように焼くことは出来ます。しかし、時間が倍以上かかってしまうためトースターのような美味しさは出しにくいです。通常のトーストよりハニートーストなどかなり厚みのある食パンを焼く場合はオーブンのほうが向いており、予熱した後180℃~230℃で10分前後焼くと美味しく仕上がります。温度はパワーやパンの厚みなどによって調整してみて下さいね。
フライパンで焼く
予熱時間:1~2分
フライパンの種類によって熱伝導率が違い予熱の時間が変わります。
目安…鉄製・強火1分/フッ素樹脂加工・強火1分30秒/セラミック加工・強火2分
※IHはさらに20秒追加
オーブンしかない場合や時短をしたい場合におすすめなのがフライパンでリベイクすることです。予熱をしたフライパンに食パンを乗せ蓋をして中火で1~2分焼きます。ひっくり返したら蓋をせず30秒~1分焼けば完成です。
フライパンで焼くと短時間で焼けるため水分が蒸発しにくく、他の方法で焼いた食パンよりしっとりした食感を味わうことが出来ます。食パンの風味をしっかり味わいたい場合やテフロン加工がされている場合は油を引かなくても大丈夫ですが、鉄製のフライパンを使う場合や加工が取れて焦げ付いてしまう場合は油を引いた方がよいです。また、バターやオリーブオイルを引くとその風味がパンにプラスされるので必要に応じて引くのもおすすめです。1つ注意点としては、フライパンの大きさによって食パンが入りきらず角などに焼きムラが出てしまうことがあるため、食パンが十分入る大きさのフライパンを使うと失敗しにくいです。用意出来ない場合は半分に切るなどして調整してみて下さい。
魚焼きグリルで焼く
予熱時間:強火で約1分
予熱したグリルに食パンを入れ、両面焼きの場合は上火:弱、下火:強にして2分ほどで焼きあがります。片面焼きの場合は弱火で2分焼いた後ひっくり返し、1~2分焼いて完成です。
意外かもしれませんが魚焼きグリルを使う方法はいくつかあるリベイク方法の中でも特におすすめしたい焼き方になります。グリルはトースターと同じく焼くことに特化した調理器具であるだけでなく、短時間で高熱に達するため食パンの表面から水分が抜けにくいのです。ちょうどトースターとフライパンの間くらいのサクサクした食感とモチモチした食感の両方を楽しむことが出来ます。火加減を調節しないといけないため慣れていないと手軽ではありませんが、魚のにおいがつくこともなく非常に美味しく焼けるためぜひ試してみて欲しいです。
食パンの保存方法
基本的にベーカリーなどで購入したパンは1~3日ほどを賞味期限として食べられるものが多いです。食パンも乾燥を防ぎ美味しい状態をキープしたい場合は一斤など切られていない状態を購入するのがおすすめです。しかし、食べきれず余ってしまった時やパンをたくさん買ってきた場合は正しく保存すれば美味しい状態で長く保存することが出来ます。
保存が出来るパン
まず長期保存出来るパンとしては食パン・フランスパン・ベーグル・クロワッサン・ロールパンなどの食事系のパンです。これらのパンは冷凍すれば長期保存することが出来ます。冷凍保存する場合は、1食分ずつに切り分けてラップやアルミホイルで包み、冷凍可能な保存袋に入れて冷凍してしまえば2週間を目安に長期保存が可能です。
解凍する場合は、布巾などに軽く包み自然解凍させるのが1番よいです。しかし、夏場など室内が熱くなりがちな時や総菜パンは冷蔵庫での解凍がよいでしょう。また、翌朝食べる場合は前日の夜のうちに冷蔵庫に移動させておくのがおすすめです。レンジで加熱して解凍すると乾燥して硬くなりやすいため、自然解凍が出来ない場合は凍ったままトースターなどに入れ、焼き時間を1~2分足して焼くことで美味しく食べることが出来ます。
また、カレーパンなどの総菜パンも食パンなどに比べると保存期間は短くなりますが冷凍することで長持ちします。1~2日であれば常温保存で食べきり、それ以外は冷凍保存してしまいましょう。
長期保存が出来ないパン
食事系のパンや総菜パンと違い、生クリームや野菜など水分が多く含まれているパンは長期保存することが出来ません。またマヨネーズを使っている場合も長期保存することが出来ないため、常温で保存してなるべく早めに食べるようにしましょう。さらに、通常日持ちさせるには冷蔵保存をするのがよいかと思われますが、パンの場合だと含まれているデンプンが劣化しパサついたり硬くなってしまいます。そのため、生クリームなどが使われているパン以外は冷蔵庫での保存はおすすめしません。
このように、食パンは時間が経つにつれて水分が蒸発し硬くなってしまうため、保存する前提であればなるべく早いうちに冷凍保存してしまいましょう。長期保存出来る種類のパンは基本的には食パンと同じリベイクの仕方で美味しく食べることが出来ます。リベイクの仕方だけでなく保存方法や解凍方法によってもパンの美味しさが変わってくるため、たくさん買う場合は購入時に冷凍保存出来るかも考慮しながら買うことがおすすめです。