米油とオリーブオイルの比較、違い

日常的にオリーブオイルや米油、ごま油など用途によってなんとなく使い分けている油ですが、油によってどんな違いと使い分けができるのでしょうか?今回は米油とオリーブオイルの違いについて比較をしたいと思います。

米油とオリーブオイル 栄養成分の違い

カロリータンパク質脂質炭水化物ビタミンAビタミンEビタミンK
米油106kcal012g003.12mg4.32μg
オリーブオイル107kcal012g01.8μg0.89mg5.04μg
カロリーSlismより作成

米油とオリーブオイルではカロリー、タンパク質、脂質、炭水化物に差はほとんどありません。一方でビタミンを見ると、ビタミンA、ビタミンKはオリーブオイルが多く、ビタミンEは米油が多いという結果になります。

ビタミンA、ビタミンK

植物油にビタミン群は多く含まれていますが、ビタミンAが含まれる油はオリーブオイルくらいではないでしょうか?他の植物油は種子を絞って搾油するのに対して、オリーブオイルはオリーブの果実を絞って搾油するため、果実に含まれるビタミンAがそのまま含まれるということが特徴的です。

オリーブオイルに含まれるビタミンAの主要な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。厚生労働省が定めるビタミンAの1日の目安摂取量は成人男性で850μg、成人女性で650μgとなっており、オリーブオイルでビタミンAを目安量を摂取することは難しいでしょう。そのためビタミンAについては米油とオリーブオイルはほとんど差がないと言って良いでしょう。

また、米油、オリーブオイルでは米油のほうがビタミンKが若干多いですが、成人の場合男女ともに1日の目安摂取量は150μgとなっており、必要量から見るとビタミンKもその差はほぼないと言って良いでしょうか。

ビタミンE

ビタミンEは米油のほうが4倍近く多く含まれます。現在日本人のビタミンE摂取の30%は植物油からされているとされており、米油にはそのビタミンEが多く含まれます。ビタミンEは抗酸化作用があり、血管を健康に保つほか、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりする作用もあることが知られています。また、細胞の酸化を防ぐため、老化防止にも効果があります。厚生労働省の定めるビタミンEの摂取目安量は成人男性で6.0mg、成人女性で5.0mgとされており、米油が効率的に摂取できる油であることがよくわかります。またビタミンEの抗酸化作用は油自体を酸化させない機能をもっており、米油はこの働きにより保存している状態でも酸化しにくいという特徴があります。

米油とオリーブオイル 脂肪酸の違い

オレイン酸リノール酸α-リノレン酸パルミチン酸その他
米油42.8%35.7%1%以下16.5%4%
オリーブオイル75.7%7.4%1%以下11.6%4%
https://www.j-oil.com/oil/type/vegeoil/ より作成

オレイン酸

オレイン酸はオメガ9(系)と呼ばれる不飽和脂肪酸に分類される一価不飽和脂肪酸の一種です。オレイン酸は体内で生成できる脂肪酸の一種ですが、体内で生成されるだけでは不足気味になるとされており、食事からも摂取することが望ましいとされています。高コレステロール、高エネルギーの食事が原因で過剰に増えた悪玉(LDL)コレステロールを抑制する効果があります。

オレイン酸についてはオリーブオイルの方が多い結果となっています。さらにオリーブオイルにはポリフェノールも多く含まれており、酸化を防ぐ成分が含まれます。オリーブに含まれるオリーブポリフェノールはLDLを酸化抑制することで動脈硬化の予防効果があります。一方でポリフェノールの効果は様々研究が行われているものの、具体的な必要量までは明確になっていないとろこもあり、今後の研究が待たれるとことです。また、オリーブオイルに含まれるポリフェノールはオリーブの品種や製造方法、流通時間などによって変わってしまうところがあり、一律に全てのオリーブオイルにポリフェノールが多量に含まれているということではありません。そのため、オリーブオイルはオレイン酸が多く、オレイン酸の効果でLDLが抑制されると覚えておきましょう。

リノール酸

リノール酸はいわゆるオメガ6(系)と呼ばれる多価不飽和脂肪酸の1種です。リノール酸を含む多価不飽和脂肪酸は体内で生成できないため食事によって摂取をする必要がある成分です。そのため、米油などからオメガ6を摂取する必要があります。オメガ6の代表的な効果は血中コレステロール値の低下で、悪玉コレステロールの減少を期待できます。しかしオメガ6の過剰摂取は善玉コレステロールの減少も招くことから高血圧を招くともされています。

オメガ6(系)のリノール酸は非常に有用な効果を持つものの、その効果が強すぎるというデメリットを持っています。特に食事の欧米化によりむしろリノール酸は過剰摂取気味であるとされており、必要成分でありながら摂取を減らす意識も重要であるとされています。またオメガ6(系)と同じく、多価不飽和脂肪酸であるオメガ3(系)は、非常に洗い解説ですが、オメガ6の強すぎる効果を抑制する効果があるとされています。理想的な摂取比率はオメガ6を2に対してオメガ3を1です。

リノール酸は成人男性の場合1日の目安摂取量は8〜11g、成人女性は7〜9gとされていますが、日常生活においてリノール酸は摂取をしており、意識しなくても摂取量は十分たりていると言われています。特にリノール酸やオメガ6について摂取を控えるように指示を受けている場合はオリーブオイルのほうが良いのではないでしょうか?

パルミチン酸

パルミチン酸は植物油だけでなく動物性の油にもふくまれる飽和脂肪酸で、人間が活動するのに必要なエネルギーになる成分です。一方では飽和脂肪酸はとりすぎると血液中に悪玉コレステロールを滞らせ、動脈硬化の原因となる脂肪酸です。もちろん飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸とバランスよく摂取することが望ましいですが、飽和脂肪酸は日常生活の中で摂取する機会が多い脂肪酸の摂取であるため、意識的に摂取するというよりも意識的に減らすという方向性になりそうです。

オリーブオイルと米油ではパルミチン酸が含まれる量に大きな差はなく、飽和脂肪酸を避けたいと思ったときにはその差はほとんどないと言って良い差になるため双方あまり気にする必要はないでしょうか。

オリーブオイル、米油料理での使い分け

生食

結論:オリーブオイル

生食の場合はオリーブオイルが向いているでしょう。オリーブオイルは品種や産地、時期によってワインのように香りと風味が異なることが特徴的です。そのため、オリーブオイルと一言で言っても味や香りは異なり、その差を楽しむことができることから生色はオリーブオイルに軍配があるでしょう。また、オリーブオイルは加熱することでその香りや苦味などが飛んでしまうことがあり、特に香りや苦味などが期待できる比較的効果なエキストラヴァージンオリーブオイルは生食用として使用し、ピュアオイルやバージンオリーブオイルなど比較的安価なオリーブオイルは加熱用としましょう。編集部では、効果なエキストラヴァージンオリーブオイルは生食用、安価なオリーブオイルは加熱用として分けて使用しています。

一方で米油は米糠を絞って作られますが、精米する際米糠をある程度まとめて保管し、出荷するという仕組みになっている精米所やライスセンターが多く、コシヒカリやハエヌキなど品種や産地によって米糠を分けることが難しく、オリーブオイルのように産地や品種の違いによる味や香りの違いを出しにくいという構造上の差があります。

揚げ物

結論:米油

揚げ物は米油に軍配があがるでしょう。米油には揚げ物を行った際に発生する原因物質が他の油と比較しても少なく、油酔いしにくいとされています。また、揚げ物を行った際に鍋に残る酸化重合物を調べたところ、他の油として圧倒的にものが少ないことがわかっており、洗い物をした際に油が落ちやすく便利です。

さらに米油はビタミンEの働きもあり、油自体が酸化しくい、つまり揚げ物そのものも酸化しにくいという特徴があります。そのため、揚げ物もしばらく時間を置いても油臭くならないというメリットがあります。お弁当にフライを入れるという場合は米油が向いていると言えます。

オリーブオイルを揚げ物として使用する場合、オリーブオイルの香りがしてカラッとあがるメリットもありますが、その後の酸化しやすさや油酔い(香りが強いため)など米油と比べると若干見劣りする部分です。また種類や商品にもよりますが、単価で見てもオリーブオイルの方が割高になりやすいため、揚げ物のように大量のオイルをしようる場合はコスパ的にも米油のほうが良いでしょう。

炒め物

結論:料理による

炒め物にはどちらが良いか?ということはあまりなく料理によるでしょう。ペペロンチーノはもちろんですが、オリーブの香りをつけたい料理にはオリーブオイルが向きますし、香りをあまり気にせず使用したいという場合は油酔いしにくい米油のほうが良いでしょう。編集部では洋食で肉以外ならオリーブ、肉や和食なら米油と使い分けているようです。

以上オリーブオイルと米油の比較でした。どちらも特徴がありました。栄養成分的には今必要なものや控えたいものを意識して選択し、料理は使い方で分けると良いしょう。編集部でも米油とオリーブオイルはどちらも常備しているメンバーが多く、どちらもあって良いオイルではないでしょうか?