バナナの保存方法

おやつや朝食、ちょっとしたエネルギー補給をしたい時に手軽に食べられるバナナは、美味しく栄養も高いことから年齢・性別問わず幅広い世代に食べられている果物です。しかし、正しい保存方法が分からず気づいたら真っ黒になっていたなんてことはありませんか。また、黒くなってしまったバナナは食べられるのか迷ったことも一度はあるはず。今回はそんなバナナを正しく保存して長持ちさせる方法や食べられるかどうかの見分け方などを紹介していきます。

バナナの正しい保存方法

基本の保存方法

常温で風通しのよい場所で保存

保存期間の目安:3~4日

フィリピンやインドなどを中心とした熱帯地域で栽培されるバナナは、保存する温度も15~20℃くらいが最適とされています。そのため、寒い環境が苦手であることから基本的には常温で風通しのよい場所での保存がベストです。また、バナナを房ごと仰向けや横向きにしてテーブルなどに置くと、接触面が多いことやバナナ自体の重みにより果肉が潰れて傷みやすくなるため、かごなどを使い山型になるように伏せて置くかバナナスタンドなどを使い吊り下げて保存するのがよいです。伏せられない場合はタオルや緩衝材など柔らかい素材の上に置くのもおすすめです。

しかし、保存期間が3~4日と短く日持ちさせることに向いていないため、食べる人数や食べる機会が多い場合に取り入れるのがよいでしょう。

おすすめの保存方法

1本ずつ切り離して保存
状況により冷蔵庫の野菜室で保存

保存期間の目安:10~15日

バナナはエチレンガスという植物ホルモンを発生させることで収穫後も自ら追熟を促しています。この影響により果肉が徐々に柔らかくなり甘みを増し、硬めの果肉ですっきりした味わいのバナナから熟して甘く柔らかいバナナへと変わっていきます。しかし、エチレンガスは周囲にある他の果物や野菜にも追熟の影響を与えるため、房の状態でバナナがいくつも隣り合っているとお互いが追熟を促して熟すのを早めさせてしまい、長持ちさせることが出来なくなってしまいます。より日持ちさせたい場合やすぐに食べきれない・バナナスタンドなどがない場合には購入後に1本ずつ切り離して保存するのがよいでしょう。

さらに、長持ちさせる場合には切り離したバナナを新聞で包むまたは袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存すると通常より2~3倍長い期間長持ちさせることが出来ます。キッチンペーパーやラップで包む場合は包んだ後にビニール袋に入れるのがおすすめです。この方法で保存した場合、冷蔵庫に入れてから10日~15日頃には全体の見た目が茶色くなってしまいますが、中身の色はほとんど変わらずに新鮮さをキープしたまま保存することが出来ます。

温かい環境で育ったバナナは寒い環境が苦手なため、そのままの状態で冷蔵庫に入れてしまうと追熟しにくくなり甘さが増えず、さらに“低温障害”がおこって皮が黒くなってしまいます。また、温度の急激な変化により皮の水分が奪われて皮が裂けやすくなってしまうため、必ず新聞紙や袋で包んでから少し温度の高い野菜室で保存するようにして下さい。ただし、追熟の進行速度がかなり遅くなってしまうため、バナナの状態(青くて若すぎるなど)によっては少し追熟してから冷蔵庫に入れるのもおすすめです。また、食べる際に冷蔵庫から取り出して少し常温に戻してから食べる方がより甘さを感じられます。

季節による保存方法

夏場:1本ずつ切り離して冷蔵庫の野菜室で保存
   または冷凍保存

保存期間目安:冷凍保存の場合1ヶ月

夏場など室内の温度が高くなり、バナナの保存に適した温度を維持することが難しい場合にはおすすめの方法と同じく、1本ずつ切り離して野菜室で保存するのがよいでしょう。また、バナナは冷凍保存することも出来るため、上手に冷凍保存すると1ヶ月ほど長期保存することが出来ます。さらに冷凍することでバナナに含まれるポリフェノールが増加する、カリウムやマグネシウムが活性化するといった栄養の効果を高めることも出来るため、生活習慣病や肌荒れの予防などにも繋がりやすくなります。

冷凍保存するやり方としては
1.皮を剥いて使いやすいサイズにカットする
2.ラップに包んで冷凍可能な保存袋に入れて冷凍する

皮ごと冷凍してしまうと食べる時に皮を剥くことが出来なくなってしまうため、必ず皮を剥いてから冷凍して下さい。1本まるごと冷凍することも可能ですが、バナナを一口サイズにカットしラップに並べた状態で冷凍することで”そのまま食べる・トッピングとして使える・加工しやすい”といったメリットも多くなります。また、潰してから冷凍保存しても非常に使い勝手がよいためおすすめです。

ただし、冷凍してしまうとほとんど追熟することがなくなってしまうため、熟してから冷凍した方がしっかり甘さを感じることが出来ます。冷凍したままでも使えますが、解凍させる場合は常温で30分、冷蔵庫で2~3時間を目安に半解凍の状態で使うのがよいでしょう。

冬場:新聞・タオルに包み温かい場所での保存

保存期間目安:5~7日

冬場は気温が低いため常温で保存していてもなかなかバナナが熟さないことがあります。そんな時は、新聞紙やタオルで包んだバナナをさらにビニール袋に入れ、リビングなど比較的暖かい場所で保存すると追熟しやすくなります。通常より追熟しにくいことから常温でも冬場の方が保存期間が長めになりますが、追熟してしまったり部屋が温かすぎると傷みやすいのは変わらないため、様子を見て早めに食べてしまうか状態によっては保存方法を変えるようにして下さい。

黒い斑点は食べることが出来るのか

バナナは日が経つごとに皮に黒い斑点が増えていきます。野菜や果物は傷むと黒くなることも多いため、この斑点を見て傷んでいるのではないか、食べられるのかという疑問を一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

このバナナの皮に出る斑点は「シュガースポット」と呼ばれ、果肉の熟成が進むにつれて少しずつあらわれていきます。そのため、傷んでいるというよりむしろ食べごろを教えてくれる目安となっているのです。増えれば増えるほど甘くねっとりと柔らかい食感のバナナになるため、シュガースポットを目安に好みの甘さや食感を見極めて食べて下さい。

皮の黒い斑点が傷んだ目安ではないとなると、バナナが傷んでいるのかを見分けるには何をポイントにしたらよいのでしょう。傷んでいる場合には見た目以外にも香りや味に異変を感じやすくなります。

傷んでいるのか見分けるポイント

  • 軸やヘタの部分にふわっとした白いカビが生えている
  • 皮のついたままでも触るとぶよぶよしている
  • 汁が出てくる
  • 実が全体的に黒い(茶色い)
  • 異臭がする
  • 酸味・苦味を感じる
  • 実がベチャっとしている など

表面上ではなかなか判断しにくいですが、軸やヘタの部分に白いカビが生えていたら傷みはじめのサインとなります。果肉が傷んでなければカビが生えている部分を切り落としてしまえば食べることが出来ますが、カビが広範囲についている場合や果肉も傷みはじめている場合は無理に食べず処分してしまいましょう。

また、皮がついた状態でも触るとぶよぶよしている場合は果肉が傷み溶け始めている証拠です。こうなってしまうと皮を剥いても全体的に色が黒い(茶色い)・酸っぱいにおいがする・ツンとした異臭がする・ドロドロに溶けて汁が出ているといった状態になっていることが多く、完全に傷んでしまっているため必ず処分して下さい。見た目が大丈夫だったとしても食べた時に酸味や苦味を感じる場合も傷んでいる可能性が高いため食べないようにして下さい。

ただし、皮を剥いた時に一部分だけ黒くなってしまっている場合は、何かしらの影響で衝撃を受けたかキズがついてしまったことでバナナに含まれるポリフェノールが酸化し黒くなってしまった可能性が高いため、食べられることは多いです。また、熟しすぎて皮が真っ黒になった場合でも果肉に問題がなければ食べられます。しかしどちらも状態によっては傷んでいることもあるため、香りや味に少しでも異変を感じたら無理に食べない方がよいでしょう。

硬いバナナを食べごろにする裏技

買ってきたバナナがまだ若く、食べたいのに硬い・甘くないという状態の時があります。そんな時にある方法を使えば追熟を待たずに柔らかく甘いバナナに大変身させることが出来ます。

電子レンジで加熱する
バナナ1本を皮ごとラップで包み耐熱皿に乗せ、500~600wで40~50秒加熱するだけです。たったこれだけですが、加熱をすることで硬くて甘くなかったバナナが柔らかく甘みを増します。皮が少し焦げ付くこともありますが、問題なく食べられます。ただし、バナナの熟成度や加熱時間、電子レンジのワット数によっては熱を加えすぎて柔らかくなりすぎることがあるため様子を見ながら加熱して下さい。

他にもオーブンで焼く方法やお湯で温める方法もありますが、電子レンジで温めるのが1番手軽で失敗もしにくいためおすすめです。

バナナは基本的には常温保存が適切とされていますが、傷みやすい果物でもあるためなかなか日持ちさせることが出来ません。しかし、保存方法を変えるだけで日持ちさせることが出来、同時に栄養効果が高まったり活用方法も幅広くなるといったメリットも増えます。もちろんベストなタイミングで食べるのが1番美味しくバナナを食べることが出来ますが、熟しすぎていても傷んでいなければフライパンで焼く・潰してパンケーキやマフィンなどに加えるなど、どのような状態でも美味しく食べることが出来るため、上手に保存して美味しいバナナを楽しんでください。