調味料の中でも使う頻度の高いお酢ですが、賞味期限はどのくらいかご存じですか?酢の種類によっても違いますが、使いやすいように調整された調味酢やポン酢なども賞味期限が違うのです。今回はお酢の賞味期限と保存方法について紹介していきます。
お酢の賞味期限
お酢にはいくつか種類があり、原材料や製造方法の違いによって特徴も違ってきます。基本的なお酢は食酢と呼ばれるもので、穀物酢・米酢・黒酢・リンゴ酢・バルサミコ酢・ワインビネガーなどが含まれます。お酢は酢酸を主成分として作られているため酸性がとても強く、殺菌力や防腐力が高いことから未開封であれば基本常温保存でも腐ることはありません。賞味期限も2年程度のものが多く開封後も常温で保存することが出来ますが、冷蔵保存することで長持ちします。
種類 | 未開封 | 開封後常温 | 開封後冷蔵庫 | |
食酢 | 穀物酢 | 2年 | 6か月 | 1年 |
米酢 | ||||
黒酢 | 2年 | 3~6か月 | 6か月 | |
リンゴ酢 | 1年 | |||
バルサミコ酢 | 4~5年 | × | 1年 | |
ワインビネガー | 2~4年 | 半年 | 1年 | |
もろみ酢 | 2~3年 | × | 1か月 | |
調味酢 | すし酢 | 1年 | 3~4か月 | 6~8か月 |
ポン酢 | × | 3~4か月 | ||
加工酢(カンタン酢など) | 3か月~1年 | |||
お酢ドリンク用 | 1か月 |
上記の表はあくまで目安であり商品や保存状況によっては賞味期限も変わってきますが、一般的なお酢として使われる穀物酢や米酢は比較的賞味期限が長いです。しかし、りんご果汁とアルコールから作られるリンゴ酢は果汁が使われている分未開封であっても短めで、さらにりんご果汁だけで作られている“純りんご酢”はさらに短くなります。ブドウを使い長期熟成して作られるワインビネガーやバルサミコ酢は未開封であれば長期間保存が可能ですが、開封後は常温保存の可否が分かれます。食酢ではないですが泡盛から作られるもろみ酢は未開封であれば賞味期限が長いのに対し、開封後は冷蔵庫で1か月とかなり短くなり、お酢の中でも種類によってはバラバラです。
さらに注意したいのが、調味酢と呼ばれる加工されたお酢です。お酢に砂糖や塩、醤油などを加え加工してあるすし酢やポン酢は他の材料が入っている分未開封であっても賞味期限が短く、開封後はさらに短くなり冷蔵庫での保存が必須になります。近年はカンタン酢や万能酢など見た目も表記も食酢と間違えやすい商品が増えており、酢の酸味が抑えられているため使いやすく購入する人も増えていますが、それらも砂糖や果汁などが加えられている調味酢の1種であるため、常温ではなく冷蔵庫での保存が必要になります。
お酢ドリンク用として販売されている“黒酢”や“リンゴ酢”なども加工されているため食酢の黒酢やリンゴ酢とは別物となり、賞味期限が短く冷蔵庫での保存が必要です。お酢によっては賞味期限も保存方法も変わってくるため、家庭で使われているお酢を1度確認してみて下さいね。
お酢は古くなるとどうなるのか
お酢は腐るとどうなるのか?と質問される方がいますが、先述した通りお酢は理論上腐りません。しかし、腐りはしないものの、製造から時間が経つと徐々に風味が落ちたり、色が変わったりします。今回は未開封と開封済みそれぞれについて解説をします。またお酢の種類は複数ありますが、穀物酢や黒酢、りんご酢など基本的な保存方法は同じです。
未開封の場合
お酢は始めにもお伝えしたように酸性が強いため簡単に腐ることはなく、未開封で正しい保存方法をしていれば多少賞味期限が過ぎてしまっていても加熱などをすれば使うことが出来るものが多いです。食品産業センターでも「風味(色、香り、味)の変化や濁り及び沈殿物の発生等を賞味期限の目安とする」としており、保存方法によっては長くも短くもなります。
賞味期限から半年くらいたっていても色・香り・味に変化がなければ使うことが出来ます。1年経つと色が濃くなり風味は落ちますが、確認して問題なければ使うことが出来ます。しかし、2年~3年経ったものは風味も落ちかなり劣化するため、食べられたとしても美味しくないため使わない方がよいです。
いずれにしても未開封であった場合の目安であり、開封後は早めに使いきるようにして下さい。
開封済みの場合
開封すると時間とともに色が濃くなり風味も落ち、時間が経つと白っぽく濁ったり浮遊物が浮くことがあります。これは自然界にいる酢酸菌がお酢の中に入り込み再び発酵が始まることで作られるセルロースという物質です。食べてしまっても体に害はありませんが劣化している可能性が高いため使わない方がよいでしょう。
お酢の保存方法
未開封の場合
直射日光を避け冷暗所にて常温で保存
開封後の場合
一般的な食酢であればしっかり蓋をして、出来るだけ涼しいところであれば常温での保存が可能です。なるべく劣化させず長期保存をしたい場合は冷蔵庫での保存をおすすめします。
お酢を作る際に欠かせない酢酸ですが、酢酸は商品化されたあとも生きており発酵を続けます。発酵が続くと刺激臭が強くなったり、酸味が増したりします。つまり、美味しくお酢を保存するためには酢酸発酵を止めてあげる必要があります。
お酢を長持ちさせる方法
お酢を長持ちさせる方法は、
・時々お酢の中身を揺らし酢酸発酵を防ぐ
・冷蔵庫で保存する
・食塩を加える
基本は冷蔵庫での保管になります。酢酸菌は、30℃前後の常温で静かに置いておくと繁殖しやすいため、冷蔵庫で保存すると良いでしょう。また立てて保存することでお酢が空気に触れる面積が減り、酢酸菌の発酵の進みを抑えることが出来るため横などにしないことが大切です。
またお酢を使わないときは、時々、瓶のまま中の液体を揺らしましょう。揺らすことで、酢酸菌の再発酵を防ぐことができます。そして、米酢については1%程度の塩を加えておくと酢酸発酵を抑えることができるそうです。塩を加えることで塩味がδてしまうため、使用できる料理は若干制限されますが、お酢を使用した煮物などを作り際は下味の塩を少し減らすとか、醤油の使用量をへ減らすなど多少工夫をすれば、お酢の香りや風味をしっかり残すことができます。
古くなってしまったお酢の再利用方法
賞味期限が過ぎてしまったり、劣化して食べることが出来なくなってしまったお酢は掃除や消臭・除菌などに使うことが出来ます。よくある使用方法としてはまな板やスポンジの除菌です。
まな板の場合、お酢50ml・水150ml・塩大さじ1/2を混ぜ、綺麗に洗ったまな板にふきんなどをかぶせてからかける、または直接そのままかけて、1時間ほど放置して洗って終了です。
スポンジの場合、お酢大さじ2・塩大さじ1を45℃のお湯200㏄に加えスポンジを揉みこみ、15分ほど漬け置きしておけば終了です。
お酢と水を1:1で薄めれば鏡の水垢の掃除に使えるだけでなくアンモニア臭などが気になるところへの消臭スプレーとして、1:2で薄めれば窓ガラスの掃除などにも使えます。他にも、食器用洗剤を混ぜてコバエの対策としてや重曹と混ぜて排水管の掃除などにも使えます。もともと食品であるお酢は薬品などに比べると安心して使えるだけでなく環境への影響も少なく済むため、古くなって使えなくなってしまったお酢はすぐに廃棄せずさまざまな形で再利用してみて下さいね。