みそ汁などで毎日使うことも多い味噌ですが、一人暮らしやタイミング、購入した味噌のサイズなどによりなかなか使いきることが出来ない場合、いつまでに使い切ればいいのかなんて思ったことはありませんか?今回は味噌の賞味期限と保存方法について紹介していきます。
味噌の賞味期限
まず賞味期限とは「おいしく食べられる期限」のことであり、開封せず正しい保存方法で保管していた食品は記載してある期限まで品質が変わらずおいしく食べることが出来ます。品質が劣化しにくいスナック菓子やカップ麺、ペットボトル飲料、缶詰などに付けられており、賞味期限が過ぎてしまってもすぐに食べられなくなるわけではありません。
消費期限とは「安全に食べられる期限」のことであり、同じく開封せず正しい保存方法で保管していた食品を安全に食べられるように設定している期限です。賞味期限とは違い、お弁当や総菜、ケーキなど劣化しやすい食品に付けられており、消費期限が過ぎた食べ物は食べない方が良いです。
どちらも食品表示法という法律によって定められていますが、味噌には賞味期限が付けられています。味噌は大きく分けると米味噌・麦味噌・豆味噌の3つに分かれており、味噌の種類によって賞味期限に違いがあります。商品や製造元によっても違いますが、平均で6~12か月の賞味期限を設けいている味噌が多く、麹の割合が高い味噌や塩分が少ないものは賞味期限が短く、反対に麹の割合が低い味噌や塩分が多いものは長くなります。熟成期間が長い味噌も賞味期限が長めにつけられているものが多いです。
米味噌
原材料に大豆・米麹・塩を使って作られており、生産率は味噌全体で見ると約80%と1番多く広い範囲で作られています。クセが少なく、地方や地域によって大豆に対する麹の量が変わりそれに伴い種類がさらに“甘味噌 白/赤・甘口味噌 淡色/赤・辛口味噌 淡色/赤”の6つに分かれます。辛口味噌は塩分濃度が高いため賞味期限が長く6~12か月、辛口に対して麹の割合が多い甘口味噌や塩分濃度が低い甘味噌は3~6か月と短くなっています。
麦味噌
原材料に大豆・麦麹・塩を使って作られており、生産率は全体の10%弱、主に九州を中心に中国や四国地方でも作られています。香りがよく甘味がありあっさりしているのが特徴ですが、意外と塩分濃度は高めであるため賞味期限も3~12か月と味噌によっては長めになっています。
豆味噌
原材料は大豆・塩ととてもシンプルで、米麹などを加えず大豆に直接麹を付けて作っています。味噌によっては小麦を少量加えるものもあり、生産率は全体の約5%強、愛知県を中心とした中京地方で作られています。熟成期間も他の味噌に比べたら長く、甘味が少なく味も香りも濃厚で色も濃い赤褐色をしているのが特徴です。見た目よりは塩辛くないですが、塩分濃度は高めで長期熟成させているため賞味期限も6~12か月と長めになります。
調合味噌
米味噌・麦味噌・豆味噌を2種類以上混ぜ合わせたものや、使う麹を複数混ぜ合わせて作られた味噌を調合味噌と呼びます。調合することで、それぞれのクセが調和されマイルドな味わいが楽しめたり、それぞれの特徴を活かして調合味噌でしか味わえない風味を感じることが出来ます。賞味期限は3~12か月です。
これらの賞味期限は美味しく食べられるように全国味噌工業共同組合によって決められていますが、化学調味料を使わずシンプルな原材料で伝統的な製法で作られた味噌に賞味期限はないという味噌蔵もあります。そもそも味噌は発酵食品であり塩分濃度も高めであるため長期保存に向いている食品です。しかし、あくまでその期限がないだけでやはり食べ始めて1年の間に消費するのが美味しく食べられる期間になるようです。
味噌の保存方法
賞味期限があるからと言っても正しい方法で保存をしていないと、賞味期限より前に傷んでしまうことはあります。傷むとカビが生え黒っぽい液体が出てしまったり、異臭がする、渋みや酸味を感じることがあるため注意して下さい。
開封前
開封前であれば、直射日光が当たらず温度の変化が少ない冷暗所で常温で保存することが出来ます。しかし、湿気の多い梅雨の時期や年々気温が高くなっている夏など温度や場所によっては未開封でも傷むことがあるため心配であれば冷蔵庫に入れておくのが良いでしょう。
開封後
開封後はフタやラップでしっかり密閉し、冷蔵庫で保存するようにして下さい。味噌は塩分濃度が高く冷凍しても凍らないため実は冷凍庫で保存することが出来ます。冷蔵庫に比べると劣化が遅くなるため、大量に余ってしまった場合などには冷凍庫で保存するのもおすすめです。
開封後は常温で保存すると風味が劣化しやすくカビも生えやすくなります。特に出汁入り味噌や減塩しているものなど加工している味噌は賞味期限も短く傷みやすいため、必ず冷蔵庫で保存するようにして下さい。冷蔵庫でカチカチになってしまった味噌は水分が抜けてしまっただけであるため、みりんや料理酒で浸しふやけさせてから使えば問題なく使うことが出来ます。また、味噌煮やカレーなどに固まったまま入れても問題なく使うことが出来ますが、水分が抜けて味が濃くなっているためみそ汁に使うのは避けましょう。
味噌は賞味期限内でも酵母や麹菌の働きによって色や風味に変化が出ます。味噌の表面にカビのような白っぽいものがつくことがありますが、これは産膜酵母という酵母の働きによって出来るものであるため、スプーンなどで取り除けば使うことが出来ます。単純に色が濃くなった味噌も基本的には問題なく使うことが出来ます。味噌の色は糖とアミノ酸が結合することで起きるメイラード反応によって作られ、製品になってからも熟成が進むため時間が経つにつれどんどん色は濃くなっていきます。しかし、判断が分からない場合は無理に使わない方が良いです。いずれにしても、あくまで賞味期限は美味しく食べられる目安となっているため、正しい保存方法で美味しく食べられるうちに使いきってしまいましょう。
味噌にカビが生えた
味噌を保存していると白いカビのようなものが生えることがあります。これはカビではなく産膜酵母と呼ばれるものでカビではないと考えられます。産膜酵母はの特徴は白カビのようにふわふわ毛のようなものはなく、表面にべたっとつくような状態になります。そのような産膜酵母が発生すると味噌の風味は著しく落ちますが、食べることには問題ありません。また、カビは塩に弱いという特性があり、塩を多く含む味噌にカビはそもそも発生しにくいと考えられます。
しかし、産膜酵母自体には耐塩性があるとされており、産膜酵母の上にカビが生える可能性は0ではないようです。そのため産膜酵母と思われるものが発生した場合は品質的には問題ないが、風味は落ちており、また別のカビ、例えば黒カビを誘発する可能性もあるということから、不安と思う方は無理をせずに買い替えることも検討しても良いかもしれません。
味噌から水が出た
味噌を冷蔵庫で保存していても、水が滲み出てくることがあります。これは味噌の熟成成分「たまり」と呼ばれるもので、味噌の旨み成分(塩分、糖分、アミノ酸など)が詰まったものです。そのため、品質には問題はありません。ただ、旨味成分になりますから、水が出ており気になるようであれば1度味噌に混ぜ込み使用すると良いでしょう。
この現象は固液分離と呼ばれる現象で、味噌をつくる過程、特に発酵、熟成するタイミングで大豆から水分が分離されます。製造中は滲み出た液体は味噌としては使用せず分けるのですが、味噌の麹は生きた状態で販売されているため、その後も発酵、熟成が進み水分が滲み出るということです。裏を返せば、その味噌の中にいる麹は活発的であるとも言えます。
またどうしても期限内に味噌を食べきれないとか、量が多いという場合は冷凍庫に保存する方法もあります。味噌の冷凍保存については別のページで解説をしていますのでぜひ参考にしてみてください。
味噌の冷凍保存に関するより詳しい解説はこちら
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