片栗粉とは?片栗粉の代用になるものは?

 あんかけやスープなどにとろみをつける時や揚げ物の衣に使ったりする際に欠かせないのが片栗粉です。そのため常備している人も多いのではないでしょうか。そんな片栗粉の特徴や今と昔の原料の違い、代用になるものなどを紹介していきます。

片栗粉とは?

 パッケージに“馬鈴薯100%使用”や“ばれいしょ澱粉使用”などと記載されていることも多い片栗粉の原料はじゃがいものでんぷんから出来ています。

すりおろしたじゃがいもを水にさらし、沈殿したでんぷんを乾燥させて粉状にしたものが片栗粉です。主成分がでんぷんなので、黄みがかった小麦粉に対して真っ白な色をしており、水を加えてもまとまらずさらっとした質感をしているのが特徴です。

しかし、水と合わせた片栗粉は熱を加えると強いとろみがつくため、とろみのあるスープやあんかけなどの料理には欠かせないものとなっています。これは“糊化”という現象を利用しており、60℃前後の温度になるとでんぷんが水分を吸収し膨らみ、粘度が増し糊状に変化します。片栗粉の量が多いとより強い粘度が生まれますが、粉状の片栗粉を直接入れてしまうとダマになってしまうため一度水で溶いて少量ずつ入れる必要があります。また、熱を加えることで粘りが生まれる性質から温度が下がってしまうとせっかくつけたとろみがなくなってしまうため、温かい料理に使うことに向いています。

片栗粉の使い方

 片栗粉は料理にとろみをつける以外にも揚げ物の衣に使うと小麦粉とは違ったカリっとした食感にすることが出来、べたつかず時間が経っても食感が落ちにくい特徴があります。また、調理前の肉や魚に片栗粉をまぶすことが多いのは水分を閉じ込め柔らかくする効果があることや、食材のうま味を閉じ込める、調味料が絡みやすくなるなどの働きをしてくれます。

料理に使うイメージの強い片栗粉は、お菓子にも使われており、昔から愛されているしゅわっとしたくちどけが特徴のラムネ菓子は実はぶどう糖と片栗粉(でんぷん)で作られています。他にももちっとした食感が特徴のわらび餅やサクサク・ホロっとした食感のスノーボウルクッキー、たまごボウロなどは実は少ない材料で簡単に家庭でも作ることが出来るのです。

片栗粉の原料と名前の由来

 始めの方にもお伝えしたように、現在の片栗粉の原料はじゃがいも(馬鈴薯)のでんぷんから作られています。これは明治以降にじゃがいもの栽培が盛んになったことや、大量生産をするためにじゃがいもが使われるようになったためとされています。しかし、それまではじゃがいもではなく、「カタクリ」と呼ばれる“ユリ科”の植物の地下茎から作られたでんぷんが原料とされていました。そのため、その原料であるカタクリの名前がそのまま商品名としても使われ、原料が変わった現在でもその名前が使われているのです。カタクリから取れるでんぷんの量はそこまで多くない上に、江戸時代末期頃には食用だけではなく、滋養薬としても使われており多くのカタクリを使用したことにより数が減ってしまったため、原料が同じでんぷんが作られるじゃがいもに移行していきました。

片栗粉の栄養成分

 じゃがいものでんぷんが主成分の片栗粉はそのほとんどが糖質の炭水化物になります。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルは含まれていますが、そこまで種類は多くなく栄養価も高くはありません。しかしカロリーは100gの片栗粉が338kcalに対して小麦粉が349kcal、米粉が375kcalと他に比べると低めであるなのが特徴です。また、小麦粉に含まれるグルテンが片栗粉には含まれていないため、グルテンフリー食材としても注目されています。

片栗粉の代用

 料理のとろみや揚げ物の衣などに使われることが多い片栗粉ですが、代用出来るものがあるのはご存じでしょうか?いくつかあるため、用途別に見ていきましょう。

まず代用できるものとしては次のものが挙げられます。

  • コーンスターチ:とうもろこしを原料にしたでんぷんを粉末にしたもの
    1番片栗粉に近く、粒子が細かくさらっとしており白いのが特徴です
  • 米粉:お米を細かく砕き粉末状にしたもの
    ダマになりにくく水に溶けやすいが、油の吸収率は低いのが特徴です
  • 葛粉:マメ科の“クズ”の根から取り出したでんぷんを粉末状にしたもの
    なめらかで多少の苦みがある本葛粉とじゃがいもんなどの他のでんぷんが混ざっているものがあります
  • 小麦粉:小麦を製粉したもの
    強力粉・中力粉・薄力粉の中では薄力粉が1番使いやすいです
  • おからパウダー:大豆から豆乳を搾った後のおからを粉末状にしたもの
    大豆の栄養分を豊富に含んでおり、ヘルシーな仕上がりになります。

とろみの代用

コーンスターチ
片栗粉と同じくでんぷんが主成分のコーンスターチは片栗粉ほど強いとろみはつきませんが、ほとんど同じような使い方をすることが出来るので手軽に代用が出来ます。片栗粉に比べると少し白濁した色は出てしまいますが安価で手に入れることが出来、冷めてもとろみが残りやすいのでおすすめです。

葛粉
秋の七草の1種でもあるクズの根から出来ている葛粉は透明感が高く片栗粉に似たとろみをつけたい場合は葛粉がおすすめです。価格は少し高めですが、実は料亭などでも重宝されています。

小麦粉
片栗粉のようなとろみは出ず軽いとろみをつけることが出来るため、片栗粉の代用よりホワイトソースやカレーなどさらっとしたとろみをつけたい料理に使うことに向いています。

揚げ物の衣の代用

小麦粉
小麦粉もうま味や水分を閉じ込める効果があるため、素材を柔らかく仕上げることが出来ます。また、揚げた際には小麦特有のキツネ色に仕上がりますが、片栗粉のようなサクサク感は少なくどちらかというとジューシーな印象が強くなります。

コーンスターチ・おからパウダー・米粉
片栗粉に似た軽いサクサク感を感じる仕上がりになります。しかし、米粉はつけてから揚げるまでに時間がかかるとべたっとしてしまうため、揚げる直前につけるなどの工夫が必要になります。

コーンフレーク・パン粉
粉末状のものではありませんが、家に余っているコンフレークやパン粉を代用して使うことが出来、片栗粉などでは出せないザクザクした食感を楽しむことが出来ます。

肉団子などのつなぎの代用

小麦粉
小麦粉に含まれるグルテンのたんぱく質の粘りがつなぎの役割をしてくれるため、片栗粉と大差なく使うことが出来ます。しかし、混ぜすぎてしまうとグルテンの働きで硬くなってしまうため混ぜすぎには注意して下さい。

米粉
片栗粉や小麦粉に比べるとまとまりにくいですが、焼いてしまえば崩れることは少ないため米粉もつなぎとして使うことが出来ます。

パン粉
パン粉はパンを細かく砕いて粉状にしたもので、ハンバーグを作る際には定番のつなぎとしてよく使われています。

片栗粉の代用としては上記で紹介したものは基本的にどの調理の代用としても使えますが、種類によっては硬くなってしまったりべたっとしてしまうなどおすすめしないものもあります。それぞれの特徴を上手く使って代用すれば、片栗粉には出せない食感やおいしさなど新しい発見にも繋がるため、いざという時の代用以外としても試してみてはいかがでしょうか。