薄力粉の特徴や産地と片栗粉との違い

 普段の料理やお菓子を作る際に特に使うことが多い小麦粉が薄力粉です。1番馴染み深く身近にある薄力粉にはどのような特徴があるのでしょうか?ここでは薄力粉の特徴や産地について紹介していきます。

薄力粉の特徴と産地

 薄力粉は軟質小麦という粒が柔らかい小麦を製粉して作られている小麦粉です。たんぱく質の含有率が高い強力粉に比べると少なく、全体の8.5%以下に定められています。お菓子作りにタンパク質量の多い小麦粉を使用すると、グルテンの働きによって生地の膨らみが妨げられ、仕上がりが固くなります。そのため、サクッとした食感のクッキーやふわっと軽いスポンジケーキなどには、タンパク質量の少ない薄力粉が使われます。また、薄力粉は他の小麦粉に比べるとキメが細かくさらっとしているのが特徴ですが、ダマになりやすい性質のためお菓子などに使う際にはふるいにかける作業が必要となってきます。

この特性を生かして小麦粉を握ってみると、見た目だけでは判断しにくい薄力粉と強力粉を分かりやすく見分けることが出来るのです。さらっとした細かい粒子の薄力粉はしっとりとしていて、ぎゅっと握ると粉が固まり指の跡がしっかり残ります。さらに打ち粉のように投げてみると綺麗には広がらず、ところどころに塊が出来てしまいます。反対に粒子の粗い強力粉をぎゅっと握ってみると薄力粉のようには固まらず崩れてしまいます。打ち粉のように広げてみると薄力粉とは違い、綺麗に均一に広がります。

薄力粉の原料である軟質小麦は日本国内での栽培は少なく、国産の小麦を使って作られているものもありますが、そのほとんどはアメリカから輸入した小麦を使っています。軟質小麦は断面を切ると繊維が密になっておらず白っぽい見た目をしていることから「粉状質小麦」とも呼ばれています。

薄力粉は水を加えると適度な柔らかさにすることができるため、天ぷらの衣に使うとサクッとした食感が生まれたり、たこ焼きやお好み焼きの生地に使うとふわっとした食感を出すことが出来ます。お菓子を作る際に、小麦粉を“切るように混ぜる”とレシピなどに書かれていることが多いですが、混ぜすぎてしまうとグルテンの働きによって粘り気が出てしまい、薄力粉の持つふわっとした食感などが失われてしまうからです。これは天ぷらの衣を作る際も同じであり、衣を混ぜすぎてしまうとせっかくのサクッとした食感が出なくなってしまうため注意が必要になります。

薄力粉と片栗粉の違い

 シチューなどを作る際に市販のルーを使わずに作る場合、とろみを出すために薄力粉を使います。このように薄力粉もとろみをつけるために使うことがありますが、八宝菜や中華あんかけを作る際にとろみをつけるのは片栗粉の方ではないでしょうか。似たような使い方が出来る2つですが、実は全く別物であるのをご存じですか?最後に薄力粉と片栗粉の違いを解説します。

原料の違い

小麦粉は小麦を粉末状にして作られていますが、片栗粉は小麦ではなくじゃがいもから出来ています。じゃがいもを擦り下ろしたものを水にさらし、沈殿したデンプンだけを乾燥させて粉末状にしたものが片栗粉です。もともとはユリ科の“カタクリ”という植物から作られていましたが、じゃがいもの栽培が盛んになったことをきっかけに大量生産できることからカタクリからじゃがいもへ原材料は変わっていきました。しかし、名前だけはそのまま残ったため現在でも片栗粉と呼ばれています。余談ですが、もともと原材料として使用されていたカタクリは片栗粉の原材料として乱獲されたり、都市開発が進み生息地が減ったことから現在は多くの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。

料理による使い分け

薄力粉も片栗粉もデンプンを含んでおり、このデンプンがとろみをつける成分になります。デンプンでとろくみがつく仕組みはデンプンの糊化(こか)と呼ばれる現象によるものです。デンプンに水を加えて加熱すると、60度前後で急激に水を吸って膨らみ始め、粘度を増して糊状になります。この現象を糊化といい、料理の液量に対してでんぷんの量が多いほど粘度は高くなります。

薄力粉、片栗粉もデンプンを含みデンプンの効果によりとろみとなるのですが、大きな違いはとろみをつけ始める温度帯です。片栗粉は60℃、薄力粉は90℃とされています。また、片栗粉はとろみをつけ、粘りももたらします。そのためあんかけのような食材と絡ませて食べるときに便利です。薄力粉は粘りはほとんどないため、とろみが欲しくねばりはいらないときには薄力粉を使います。そのためシチューやカレーと相性が良いのです。また、片栗粉は揚げ物などの衣に使うと白っぽい見た目になりますがカリっとした仕上がりにすることも出来るため、常備しておけば小麦粉の代用として幅広く使うことが出来る万能な粉でもあります。

原料も特徴も違いますが、料理の手助けとしてもワンポイントアップにも繋がるためそれぞれの特徴を上手に活用してぜひ料理に活かしてみて下さい。