白い見た目の白砂糖(上白糖)は「太りやすい・切れやすくなる・疲れやすい」といった体にとってよくない情報を目にしたり聞くことがあります。料理やお菓子を作るには欠かせない調味料であるため日常的に摂取することも多いですが、白砂糖は本当に体によくないのでしょうか?白砂糖が体によくないと言われる理由や体に及ぼす影響について紹介していきます。
白砂糖が危険と呼ばれる背景
白砂糖が危険と呼ばれている内容としては次のようなものがよく挙げられています。
- 白いから体によくない
- 栄養素が含まれていない
- 砂糖と調べると体に起こるさまざまな悪影響が記載されている
白いから体によくないと言われる理由には“漂白剤などの化学薬品を使っている”や“白い食べ物には栄養がないから茶色いものを選ぶべき”という内容が多いです。ですが実際には、色が白い理由としては精製して作られていることが原因です。原料のサトウキビやてん菜と呼ばれる植物から取り出されたしぼり汁を煮詰めて不純物を取り除き、分離させるといった工程を繰り返すことで白砂糖を作っていきます。
しかし、この精製する工程の中には石灰乳を使って不純物を分離・沈殿させるといった工程が入っています。消石灰と水から作られる石灰乳は消毒剤などにも使われることが多いため化学薬品を使っている・体に悪いという印象に繋がりやすいですが、炭酸ガスを使って石灰乳を中和し無害な炭酸カルシウムに変化させ、最終的には分離機で除去されてしまうため残留することはありません。そのため、直接石灰乳などが体に影響を及ぼすことはありませんが、精製する中で元々含まれていたミネラルやビタミンがほとんど取り除かれてしまうため、白砂糖には栄養素が含まれておらず、精製していない種類の砂糖の方が栄養素を多く含んでいるというのは本当です。
ですがここにも1つ落とし穴があります。精製していない砂糖の種類には茶色いものが多いため“茶色い砂糖=体によい”という印象も強くなりがちですが、見た目が茶色い三温糖は精製後にさらに煮詰めて作られることで茶色くなっているため栄養素は白砂糖とほとんど変わりません。茶色いというだけですべての砂糖に栄養素が多く含まれているわけではないため、精製していない種類の砂糖を把握しておくことが大切です。
また、インターネットで白砂糖と入力するとキーワード予測として“体に悪い・危険・依存・悪影響”といったネガティブなワードを目にすることが多いです。実際に調べてみても白砂糖を摂取することで起こるさまざまな健康被害について記載されている記事も多く目にします。しかし、基本的にはどの記事にも過剰摂取することで悪循環や依存症に繋がり悪影響が出るということが書かれているのですが、どうしても被害や症状の内容などネガティブなワードの方ばかりを注目してしまい“白砂糖=体によくない”という印象や知識がつきやすくなってしまいます。こういった簡単に検索出来る環境からも白砂糖が危険と呼ばれる背景となっているのです。
白砂糖は本当に危険なのか
では、本当に白砂糖は危険なのかということですが、結論からいうと白砂糖自体が体によくないということではなく摂取する量が非常に重要になります。しかし、これはどのような食材でも大量に摂取することで弊害が出るのと同じであり、白砂糖だけでなく他の砂糖に置き換えたとしても同じようなリスクがあるのは変わりません。
砂糖を摂取しすぎると起こる悪影響としては
- 太る・肥満になる
- 歯を弱くする・虫歯になる
- 疲れやすい
- 集中力がなくなりイライラする
- 切れやすくなる
- 貧血
- 頭痛
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- アルツハイマー
- 統合失調症
- 錯乱
- 痙攣
など軽度のものもあれば生活習慣病や生死に関わるような重度の内容も挙げられます。
本来砂糖は体のエネルギー源として働いたり脳内の神経物質に働くことでリラックスさせる効果などがあるため適切な量は体に必要です。この糖分を上手くエネルギーとして代謝させたり健康を維持するために使うにはビタミンやカルシウムが必要となりますが、これらの栄養が不足することで疲れやすくなる・イライラするといった症状が出て悪化すると生活習慣病などに繋がります。そのため、砂糖だけが悪いわけでなく他の栄養素もバランスよく摂取しないと起こりやすくなってしまうのです。
しかし、WHO(世界保健機関)によると肥満や虫歯を予防するためには、砂糖の1日の摂取量の目安を砂糖などを1日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるべきだとされており、 平均的な成人でいうと約25g(ティースプーン6杯分)の量になっています。実際には私たちの生活では料理以外にもジュースや缶コーヒー、お菓子、アイスなどさまざまなものに思っている以上の砂糖が使われており、知らず知らずのうちに過剰摂取しているのが現状です。
過剰摂取しすぎると砂糖の甘さに慣れて物足りなさを感じるようになることや糖分を使うための栄養素が不足することでイライラしたり疲れやすくなり新たな糖分を求めて摂取する悪循環がおこります。
過剰摂取による悪循環
イライラする・集中力が欠ける・疲れる
↓
砂糖などの糖分を摂取
↓
ドーパミンなどの幸せホルモンが分泌されて満足する・すっきりする
↓
血糖値が急激に上昇
↓
血糖値を下げるためインスリンが分泌される
↓
エネルギー不足で低血糖になる
↓
イライラする・集中力が欠けるに戻り繰り返される
この悪循環が続くと砂糖に依存して過剰摂取し、結果的に体に悪影響が出て危険となってしまします。切れやすくなる理由も血糖値が下がりイライラする状態が続く・悪化することが原因です。また、砂糖は炭水化物の一種であることや過剰摂取してエネルギー源などに使いきれなかったものは、内臓脂肪として体内に留まってしまうため太りやすくなり肥満にも繋がるのです。
健康面や肌質の改善などの理由により食生活から砂糖を抜くライフスタイルの「砂糖断ち」を取り入れることもありますが、正しいやり方で取り入れないと低血糖症になる・リバウンドする・筋肉量が落ちるなどのデメリットに繋がる可能性は高くなります。体質によっては合わないこともあるため慎重に判断する必要があるでしょう。
そのため、砂糖を摂取しすぎていると感じた場合に取り入れやすい改善方法としては、間食などで口にするお菓子や飲み物を気を付けることから始めてみて下さい。市販の食品に使われる砂糖は白砂糖を使っていることが一般的であるため、量を減らしたり無糖のものに置き換えるだけでも大幅に白砂糖の摂取を抑えることが出来ます。おやつにお菓子ではなく果物を取り入れるのもよいです。
また、白砂糖は甘みが強いのも特徴であるため、家庭で使う砂糖をきび砂糖やてんさい糖などに変えてまろやかで優しい甘みに慣れておくのもおすすめです。きび砂糖やてんさい糖には白砂糖より多くの栄養素も含まれているため栄養面においてもおすすめです。さらに、多くの栄養素を摂り入れたい場合や健康を意識したい場合には少しクセがあるものの精製していない黒砂糖を使うのもよいです。
主に過剰摂取やその他の栄養素が不足すること、摂取した砂糖を消費しきれないことが白砂糖=体によくない・危険といわれる原因になりますが、最初にもお伝えしたように摂取する量が多ければどの砂糖であったとしても体にはよくないです。
砂糖は欠かせない調味料でもあるため日常的に摂取するのであれば、上白糖よりきび砂糖やてんさい糖、黒砂糖などの精製されていない砂糖を取り入れた方が栄養素も多く摂取出来るためおすすめですが、量や他の栄養素とのバランスが1番大切となるため、味の好みや使いやすさなどを考慮した上で無理なく改善することが何より大切です。正しい知識や砂糖の種類を把握して適切な量を摂取するようにして下さいね。