香りに特徴のある紅茶にはアールグレイやセイロン、ダージリンといった種類がいくつかあり、香り以外にも水色や味の濃厚さ、苦みなどが種類により大きく違ってきます。それらの特徴は茶葉から紅茶を淹れることにより一層感じられるのですが、どのように淹れたらよいのか、また茶葉の種類によって淹れ方が違うのかなど迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。今回はそんな紅茶の淹れ方やちょっとしたポイントについて紹介していきます。
紅茶の美味しい淹れ方
まずは1番基本となる紅茶の淹れ方です。茶葉から紅茶を淹れることは難しそうに思えますが、ポイントさえ押さえておけば誰でも上手に紅茶を淹れることが出来ます。また、紅茶は茶葉の種類ではなくどのように飲むかによって淹れ方が変わるため、この基本の淹れ方をマスターしておくだけで自宅でも紅茶の風味を思う存分楽しむことが出来ますよ。
準備しておく道具
- 茶葉
- ティーポット
- ティーカップ
- ティーストレーナー
- ケトル
はじめに準備するものとしては茶葉です。これがないと紅茶を淹れることが出来ませんね。茶葉には大きく分けると葉の形が残っているリーフとカットされた状態のブロークンがあります。好みの茶葉を用意するのが1番よいですが、初めて紅茶を淹れる場合はストレートとして飲むことに向いているリーフタイプの方が、淹れた時の香りや茶葉の形を楽しむことが出来ておすすめです。また、茶葉自体初めて購入する場合は専用の保存容器も揃えておくことで湿気から茶葉を守ってくれます。容器もいくつか種類がありますが、日光によっても劣化しやすいため透明なビンより缶や陶器など遮光効果もある方がより茶葉の鮮度を維持することが出来ます。
他の準備しておく道具は代用出来るものが多いため、家にある場合はとりあえず代用してどのように淹れるのかを把握するだけでも紅茶は美味しく飲むことが出来ます。例えば、ティーポットやティーカップは急須やマグカップ、茶葉が入らないようにするために使うティーストレーナーは茶こしなどを代用します。もちろん、専用のティーポットやティーカップ、ストレーナーを揃えることで雰囲気もプラスされ、より美味しく感じることに繋がるため形からこだわるのもおすすめです。お気に入りのデザインのティーカップで紅茶を飲むなんてとっても気分が上がりますね。ですが、現在はティーポットにストレーナーがついているタイプなど使いやすいように作られている道具もたくさんあるため、どれを購入したらよいか迷う場合は淹れ方を把握した後に自分の好みの道具を揃えることもおすすめです。
美味しく淹れるためのポイント:ゴールデンルールを知っておく
ゴールデンルールとは紅茶を美味しく淹れるための基本ルールです。絶対に取り入れなければいけないわけではありませんが、英国式の正統的な淹れ方がルーツとなっているため知っておくことで本来持っている紅茶の香りや味を楽しむことが出来ます。
- 水は汲みたての軟水を使う
- 鉄分の含まれたポットは避ける
- 内側が白いカップを使う
水は使う直前に汲みたての水を使うことが美味しく淹れられるポイントになります。汲みたての水には空気がたくさん含まれており、茶葉が開くために重要なジャンピングと呼ばれる動きをするにはこの空気がとても大切になります。また、紅茶を淹れるには硬水より軟水の方が向いており日本の水道水は基本的には軟水に分類されるため、ミネラルウォーターや浄水器を通した水を使うよりも水道水をそのままやかんに入れて空気をたくさん含ませた方が美味しい紅茶を淹れられるのです。
さらに、紅茶の醍醐味は香りと水色です。鉄製のポットを避ける理由としては、ポットに含まれる鉄分と紅茶のタンニンが反応することで色が黒っぽくなり香りや味も落ちてしまうためです。せっかくの紅茶の風味を生かすには陶器やガラス、銀製などのティーポットや急須を代用するようにして下さい。また、内側が白いティーカップを使うことで紅茶の水色をしっかり楽しむことも出来ます。
場所によっては水道水が硬水の場合がありますが、軟水と違って硬水で淹れると水色が濃くる分味はマイルドになるため必ずしも軟水でないといけないわけではありません。そのため、他のポイントも取り入れた場合と取り入れなかった場合の違いを知っておくことでより紅茶のよさやゴールデンルールの重要性を感じられるでしょう。
基本のストレートティーの淹れ方
1.汲みたての水を入れたやかんを火にかけて沸騰させる
2.沸騰させたお湯をポットとカップに注ぎ温めておく
3.温めたポットに人数分の茶葉(1人分目安=ティースプーン1杯)を入れお湯を勢いよく注ぐ
4.蓋をして蒸らす
5.スプーンで軽くかき混ぜカップに紅茶を注ぐ
美味しい紅茶を淹れるにはお湯の温度が非常に大切です。紅茶を淹れる際の適温はタンニンが溶け出す95~98℃といわれており、温度が低いとえぐみが強くなってしまいます。また、お湯は注いだ時点で温度が下がってしまうため、沸騰前にお湯をポットやカップに入れて事前に温めておき、沸騰したお湯がすぐに入れられるよう茶葉を入れて準備をしておくことが重要です。
沸騰したお湯は勢いよく注ぐことでジャンピングがおこり茶葉がゆっくり開いていきます。蒸らす時間は細かい茶葉の場合が2~3分、大きい茶葉の場合は3~4分を目安に軽めが好きなら短め、重めが好きなら長めと、好みや茶葉の種類によって調整して下さい。また、蒸らしている間も温度が下がってしまうためよりこだわるのであれば専用の保温カバーを使うのもおすすめです。
蒸らした後は茶葉を軽くかき混ぜストレーナーや茶こしを使いまわし注ぎ入れます。最後の1滴までしっかりカップに注ぎ切るようにすることで、濃さが均一になり一層美味しい紅茶が淹れられるのです。この基本の淹れ方を応用するとティーバッグでもとっても美味しい紅茶を淹れられます。
ティーバッグ紅茶の淹れ方
1. 汲みたての水を入れたやかんを火にかけて沸騰させる
2.沸騰させたお湯をポットとカップに注ぎ温めておく
3.温めたカップにお湯を入れ、ティーバッグを静かに沈め蓋をする
4.蒸らした後は1~2回ティーバッグを振る
やることとしては基本の淹れ方と変わりませんが、大きく違うこととしては茶葉を後から入れることです。ティーバッグの場合、茶葉に比べると成分が抽出されやすいためカップにお湯を入れた後からティーバックをそっと入れ、蒸らした後に数回だけティーバッグを振ることで渋みやえぐみのない美味しい紅茶を淹れられます。
煮出し式の淹れ方
通常のミルクティーは基本の淹れ方で紅茶を抽出させ常温のミルクに注ぐだけですが、ロイヤルミルクティーやチャイと呼ばれる種類は茶葉を煮出すことで成分をしっかり抽出させてからミルクを加え沸騰させて作ります。そのため、煮出し式で紅茶を淹れる場合は香りや味わいが強いブロークンタイプを使うのがおすすめです。今回はロイヤルミルクティーの淹れ方を紹介します。
1杯分:水80ml・茶葉ティースプーン山盛り1杯(多め)を目安
1.手鍋に水を入れ沸騰させた後、茶葉を入れて火を止める
2.蓋をして2~3分蒸らしミルクを加えて軽く混ぜる
3.弱火で全体が温まったら沸騰直前に火を止め、ストレーナーや茶こしでカップに注ぐ
ポイントは沸騰したお湯で一度茶葉から成分を抽出させ、ミルクを加えてから加熱するしてしっかりミルクとなじませることです。甘くするのであれば後から砂糖などを加えるよりも、ミルクを加えた後に砂糖やはちみつを加えておくとコクが出てきてより一層美味しく仕上がります。
水出し紅茶の淹れ方
暑い日には体温を下げるため冷たい飲み物が飲みたくなりますよね。もちろん、紅茶も冷たいアイスティーで飲むことが出来ますが、お湯で抽出して作ったアイスティーよりも冷水を使い時間をかけて抽出した水出しのアイスティーの方が渋みなどが少なくすっきりした味わいを楽しむことが出来ます。
1.蓋つきの容器に冷水1Ⅼに対して茶葉10~12gを目安に入れる
ティーバッグの場合は2~3を目安に入れる
2.冷蔵庫で一晩(約8~10時間)おき茶葉を取り出す
水出し紅茶は時間こそかかってしまいますが、お湯を沸かす必要がなく茶葉を入れて放置しておくだけととっても簡単に紅茶を淹れることが出来ます。水出し紅茶でしか味わえないすっきりした風味はのどごしがよく暑い日にはごくごく飲めてしまえるのが特徴です。また、成分を濃く抽出しないため香りの高いダージリンやフレーバーティーとの相性が非常によくさわやかな印象となります。ただし、味わいがやさしいためミルクティーとして飲むことは向いておらずストレートで飲むのがおすすめです。また、お湯から作るアイスティーに比べると傷みやすい性質を持っていることから必ず冷蔵庫での保存をするようにして24時間以内に飲み切るようにして下さい。
紅茶は淹れる工程がシンプルであるため、茶葉の特徴を理解しポイントをしっかり押さえれば、誰でも簡単に美味しく紅茶を淹れることが出来ます。さらに、お湯を使った基本の淹れ方以外にも煮出し式や水出し式といった違う淹れ方をすることで一味も二味も違った紅茶の香りや味わいを楽しむことも出来ます。ぜひ、基本の淹れ方をマスターして茶葉の種類の違いや淹れ方による違いも味わってみ紅茶の奥深さを感じてみて下さい。