キヌアとはどんな食べ物か?

穀物には私たちが日常的に食べている主食の原料となる米や小麦以外にも、あわやひえ、麦など雑穀と呼ばれる種類の穀物がたくさんあります。その中でも特に栄養価が高い「キヌア」はスーパーフードの1つとして注目されていますが、実際にはどのような食べ物なのかご存じですか?今回は、キヌアについて特徴や含まれている栄養、食べ方などについて紹介していきます。

キヌアとは

キヌアはほうれん草やてん菜の仲間でもある“ヒユ科アカザ亜科”という植物の種子の部分を食用としており、その大きさは2mm程度と非常に小さいです。雑穀として扱われていますが、主要穀類であるイネやムギではないため疑似穀類とされており、味のクセが少なくモチモチ・プチっとした食感が特徴です。色は黄みがかった明るめのベージュの印象が強いですが、実は他にも白・赤・紫・オレンジ・黒などたくさんの色をした種類のキヌアが存在しています。

南米のアンデス山脈が原産地となっており、ペルー・ボリビア・アルゼンチン・チリ・エクアドルなどの国々で広く栽培されています。このアンデス地方では約5000年も前から原住民によりキヌアの栽培が行われており、インカ帝国では「母なる穀物」と呼ばれ長いこと食用として親しまれてきた植物です。冷涼少雨の高山地ややせ地といった恵まれない条件の土地でも育ちやすく、栽培期間も短めであるため救荒作物でもあります。

インカ帝国が滅亡した後は長いこと重要視されてきませんでしたが、NASA(アメリカ航空宇宙局)がキヌアの高い栄養価に着目し、宇宙食や次世代の主食として話題にしたことがきっかけで1990年代頃から世界で再度注目されるようになりました。

国連が2013年を国際キヌアの年に定めたことや海外セレブがダイエットにキヌアを取り入れたことから、日本でも急激にキヌアの認知が広まり、近年では北海道や山梨など国内でもキヌアの栽培を始めている場所があるほどです。しかし、海外に比べると国内ではまだまだ馴染みが少ないため、聞いたことはあってもどのような栄養が含まれ、どのような効果を期待することが出来るのか分からない人も多いはずです。では、栄養価が高いと言われるキヌアに含まれる栄養素や効果はどのようなものがあるのでしょうか。

キヌアの持つ栄養と効果

キヌアには、特にたんぱく質・ミネラル・脂質・食物繊維が豊富に含まれています。キヌア100gと精白米100gに含まれる栄養素を比較してみましょう。

 キヌア白米比較
カロリー344kcal342kcal 
たんぱく質13.4g6.1g2倍
脂質3.2g0.9g3.5倍
炭水化物69g77.6g 
食物繊維6.2g0.5g12倍
ビタミンE2.6mg0.1mg26倍
ビタミンB10.45mg0.08mg5.6倍
ビタミンB20.24mg0.02mg12倍
ビタミンB60.39mg0.12mg3倍
ナイアシン1.2mg1.2mg 
葉酸190μg12μg15倍
パントテン酸0.95mg0.66mg1.4倍
ビオチン23μg14μg1.6倍
カリウム580mg89mg6倍
カルシウム46mg5mg9倍
マグネシウム180mg23mg7倍
リン410mg95mg4倍
4.3mg0.8mg5倍
亜鉛2.8mg1.4mg2倍
0.47mg0.22mg2倍
マンガン2.45mg0.81mg3倍
モリブデン23μg69μg 

期待出来る効果

  • 骨粗しょう症や肥満などの生活習慣病の予防
  • 美肌効果・改善
  • 腸内環境の改善
  • 便秘解消
  • 貧血予防
  • 冷え性改善
  • ダイエット効果 など

100gのキヌアと精白米のカロリー自体はあまり変わりませんが、キヌアに含まれているほとんどの栄養素が精白米より多く含まれており、その中でも食物繊維とビタミンB2は約12倍、葉酸は約15倍、ビタミンEにいたっては26倍も多く含まれています。

キヌアは良質のたんぱく質が豊富に含まれており、必須アミノ酸もバランスよく含まれているため、筋肉・臓器・肌・髪など健康な身体を作り維持するのを助けます。また、豊富な食物繊維は便秘の解消や腸内環境の改善、さらに悪玉コレステロールを下げ肥満の予防に繋がり、カルシウムも多いことから骨粗しょう症の予防など生活習慣病の改善や予防を期待することも出来ます。

他にも血液を造り出し身体の不調を助ける鉄や葉酸、冷え性の改善にも繋がる亜鉛、肌荒れを改善し美肌効果を期待出来る多種類のビタミンなど、女性にとって特に嬉しい効果を期待出来る栄養素が多く含まれているため、女性を中心に健康や美容を意識している人の間で人気が高い食材です。

さらに、急激な血糖値の上昇を抑える低GI食品であることや満腹感を感じやすいこと、エネルギー源としてもすぐに利用出来ることから、ダイエットやトレーニングをする人の間でも取り入れやすい食材でもあります。

栄養価の高さからスーパーフードと呼ばれるのも納得のキヌアですが、栄養面に加え恵まれない条件下でも栽培出来るため健康や美容目的だけでなく、栄養失調や貧困・飢餓の問題を解決するために重要な役割を果たす食材でもあるのです。

キヌアの摂取量と使い方

これだけ豊富に栄養素を含んでいるため積極的に取り入れたくなりますが、栄養価が高いからこそ摂取しすぎてしまうと下痢や胃痛、吐き気などの体調不良を起こす可能性が高くなります。

そのため、キヌアの1日の摂取目安量は乾燥した状態で20~30g、大さじだと約2杯、ゆでた状態だと100gを目安に取り入れるのがよいでしょう。キヌアは水に膨らむ性質を持っているため、乾燥した状態とゆでた状態の量を間違えないようにして下さいね。また、生で食べることが出来ないため、事前にゆでる・炊くといった加熱調理をすることで特有のモチモチ・プチっとした食感を楽しむことが出来ます。

しかし、キヌアにはカリウムが多く含まれているため腎臓に疾患がある人や腎臓が弱っている場合は高カリウム血症となり人体にとって悪影響が出る可能性があるため注意が必要です。また、馴染みが少ない食材でもあることから、初めて食べる人の中にはアレルギーを発症してしまう場合があるため、アレルギー体質の人や穀物系のアレルギーを持っている人も注意して下さい。

キヌアの使い方・ゆで方

基本のゆで方・炊き方
1.よく洗ったキヌアの水分をしっかりきる

2.鍋にキヌア1に対して水2(キヌア100gの場合水200g)を入れたら中火にかける

3.煮立ったら軽く混ぜて蓋をし、キヌアが少し透き通るまで10分程度炊く

4.熱が通ったら火を止めて蓋をしたまま5分蒸らして完成

キヌアの表面にはサポニンと呼ばれる苦い成分がついているため、使う前に必ずしっかり洗うことが大切です。粒が小さく洗いづらい場合にはザルを使うと洗いやすくなります。

ゆでたキヌアの使い方としてはサラダ・パスタなどにトッピングとしてやクッキーなどお菓子を作る際に加えるとプチっとした食感を楽しめます。スープや煮込み料理に使う際には加熱済みのキヌアを使うことも出来ますが、乾燥した状態のまま入れて一緒に煮込んでしまえば手間を省くことが出来ておすすめです。

味や香りにクセが少ないため、和食洋食とジャンル問わず使うことが出来るのもキヌアのメリットになります。しかし、人によっては独特の風味を感じることがあるため、その場合や初めてキヌアを食べる場合には、ごはんを炊くときに一緒に炊くと食べやすいでしょう。

ごはんと一緒に炊く場合
白米2合に対してキヌア大さじ1杯を目安にして下さい
キヌア大さじ1杯を加える場合、水も大さじ1杯を追加

1.洗った白米に大さじ1~2杯のキヌアを入れる

2.白米の量に適量の水+大さじ1~2の水を追加して炊飯器で炊く

ごはんと一緒に炊く場合は、普段ごはんを炊く手順にキヌアと少量の水を加えて炊飯器のスイッチを入れるだけで炊くことが出来るため、手間がかからず忙しい時でも手軽にキヌアを取り入れやすいです。

栄養価が高く低GI食品、さらにグルテンフリーでもあるため日本でも普段の食生活に取り入れる人が増えてきており、現在は、イオンやイトーヨーカードーなど大型店舗のスーパーで取り扱っていることも増えてきたため、より身近な食材になりつつあります。気になるけど家で取り入れるのが心配という場合は、飲食店やキヌアを使った惣菜など出来上がったものから試してみるのもおすすめです。健康にも美容にもとってもよい影響を与えてくれるため、少しずつ取り入れてぜひキヌアの凄さを実感してみて下さい。

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